司書独言(76)

`07.12月寄稿

○月○日 まだ商社マンだった頃、琵琶湖湖畔のホテルを会場として、社長連中との合同研修会に出席させられた事がある。2泊3日だったが、つまらぬ講義にウンザリして夜の懇親会にも出る気が起こらず、私は持参の本を読んでいた。持って行ったのは、エレンブルクの「フランス・ノート」と大江健三郎の「短編集 」だった。 続きを読む 司書独言(76)

司書独言(77)

`08.1月寄稿

○月○日  山梨県の韮崎市に美術館が出来た。「韮崎大村美術館」。大村は寄贈者の名前で、この大村聡氏、北里研究所長だと言う.研究所長は分かるが、5億円相当と言う建物並びにコレクションの金、どこから出たのだろうと思ったら、この人、巨額の特許料を得ている人で、その内の一つ、イベルメクチンなる寄生虫駆除薬は、熱帯病のオンコセルカ病(河川盲目症)の代表的な予防・治療薬で、年間7千万人にも使われている由.イヤー驚いた。羨ましい。ところで、私は30年間室工大にいたが、その間、特許を持っている研究者は確かいなかったなあ。 続きを読む 司書独言(77)

司書独言(78)

`08.2月寄稿

○月○日 過ぐる2月26日の「室民」によると、ダボス会議(世界経済フォーラム)での福田首相の講演が、“後向き”と各国から批判続出の由.この会議は、石原都知事が「この会議の意味合いと言うのは、私は余り感じません」と評するようなものらしいが、 続きを読む 司書独言(78)

司書独言(79)

`08.3月寄稿

○月○日 ロシアはモスクワでの話。中心部にあるカール・マルクスの像を撤去し、代わりにプーチン大統領の像を立てようとの提案(市民によるものらしい)が市議会で却下された、と。あたり前だ.個人崇拝であれだけスターリンに苦しめられたのに、どうしてこう言う発想が出て来るのかな.ツアー(=皇帝)だ、スターリンだと何代もいじめられると、国民全体が被虐趣味になるのか知らん.市議会の答えは「偽政者の歴史的価値が決まるのは、権力の座を離れてから50年後」と言うものだが、これ、賢明なのか、どうなのか?。 続きを読む 司書独言(79)

司書独言(89)

`09,1月寄稿

○月○日   兵庫県は篠山市にある兵庫陶芸美術館で「創立250周年記念-ウエッジウッド-ヨーロッパ陶磁器デザインの歴史」と銘打って開かれていた展覧会が1月12日で終わった。西欧の王侯貴族に愛好された英国の陶磁器ブランドの歴史を辿る名品約250点を並べたものだ。それは結構だが,展覧会が終わる直前の1月6日の各紙に肝心要の会社.ウオーターフォード・ウエッジウッド社が倒産した、との記事が出た。 続きを読む 司書独言(89)