第299回 相撲と蜘蛛合戦のこと

`10.7.15寄稿

過ぐる7月10日、私は苫小牧の市立図書館で、「浅川伯教(のりたか).巧兄弟」について、2時間の講演をした。浅川兄弟とは言うまでもなく、朝鮮を愛し、朝鮮の人を愛し、その国土と、その人達が造り上げた朝鮮の美を愛した兄弟で、この兄弟ある故に、後の「民芸」運動の祖たる柳宗悦が存在したと言っても過言ではない大いなる兄弟だ。只今回の話題はこの兄弟ではない。講演の前後に、私を応援してくれている「ふくろうの森の会」の人から出た話の中で、私が「おやっ」と思ったことが、2つあって、今回はそのことを書く。 続きを読む 第299回 相撲と蜘蛛合戦のこと

第084回 シマフクロウ.みみずくに まつわる話

`95.12月21日寄稿



私は「学問の神様」であるふくろうに関する本やら、グッズなどを蒐めていますが、それがひょんなことから、室蘭工業大学のシンボルマーク(=エンブレム)を制定するに際して、いささか、お役にたちました。

室工大では、その後も、入試のパンフレットやポスターに私の蒐集になる,ふくろうの置物をデザインして用いました。

そのうちの一つが「大学入試センタ―」の表紙に採用されて、再度お役に立つことになりました。

私が、インターネットのホームページで、この「みみずく」につけた解説は下記の如し。

スペイン製(張り子)

張り子(=paper-mache)=(木型に紙を重ねて貼って形を作り、乾いてから型を抜き取って作ったもの)です。

張り子というのは、おそらく世界中にある技法なのでしょうが、「張り子の虎」なんて言う言いまわしがある位ですから、普段はなんとなく日本独自のもの、みたいに思っているところへ、スペイン製でオヤッと思ったことでした。

大ぶりで大胆な配色で棚の上で、ひときわ華やかです。

ところで、「張子の虎」の英訳は(paper  Tiger=威張り散らす人)ですが、中国、日本ならいざ知らず、英語文化圏にほんとうにこんな言い回しがあるのかしらん、と思っていたら、これは1946年に毛沢東が初めて使った「紙虎」なる言葉の翻訳とわかりました。これで納得!!

と言う訳で、今回はXmasも近いし、「みみずく」の登場する絵本を2冊紹介します。余り面白いので、誰かの子供にプレゼントと考えていたけど、惜しくなって、自分で自分にプレゼントしてしまいました。大人気ない、ケチなことと思いながら...。「火よう日のごちそうはひきがえる1

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「みみずくとねこのミミー2

今年も一年ご愛読多謝!!来年もよろしく.いい御年を!!

  1. ラッセル・E・エリクソン.火よう日のごちそうはひきがえる.評論社(1982) []
  2. E・リア/B・クーニー.みみずくとねこのミミー.ほるぷ出版(1982) []

第083回  和田芳恵のこと

`95.12月6日寄稿

11月15日に母を失った後、矢張り疲れた(と言うと、親不孝な言い種ですが)ので、温泉に行って来ました。

日本海の臼別温泉は、明治20年(1887)開設の古い温泉で、江戸時代の文人、旅行家、菅江真澄(ますみ)も浴したと言う名湯で、最初ここにしようかと思ったのですが、最近、湯が濁ったとかで、年内は閉鎖との知らせが入ったので、近くの貝取澗(かいとりま)温泉に変えました。はじめ、八雲から日本海にぬけようと考えていましたが、宿の人の助言で、なだらかだと言う、国縫(くんぬい)からの道を取りました。

国縫は、八雲と共に、かつて北海道最大の砂鉄鉱業地域だったところで、現在は酪農と、ホタテ養殖とで生活している町です。

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第185回 ハックルベリィ・フインの冒険

`01・7月18日寄稿

大江健三郎の語るところによると、彼は10才の時に、マーク・トウェインの「ハックルベリィ・フインの冒険」を読んで感動し、「自分の生き方は‘よし、 地獄に行こう’というやり方にしようと思った。」そうだ。
この所を一寸説明すると、小説の中で、ハックは逃亡奴隷の黒人ジムと行を共にするのだが、この当時(1840年頃)は、アメリカで奴隷制度が健在で(と 言うのも変だが)、奴隷が逃亡することと、逃亡した奴隷を助けることは、共に違法であった。 続きを読む 第185回 ハックルベリィ・フインの冒険