山下敏明さんのあんな本、こんな本

第012回 ガウディになれなかった男

`92.5.29寄稿

ミロー・パワーは美男タイロン・パワーと美女リンダ・ダーネルとの間に生まれた美人女優で`69年に「マルキ・ド・サドのジュステーヌ」に出演しました。私は中島劇場で見ましたが、話の筋よりも、ロミーの美しさよりも、魅きつけられたのは、ロケーションに使われた場所でした。その印象が余りに心に残るので調べましたら、そこは、スペインのバルセロナ市にある「グエル公園」の一部で、建築家「アントニオ・ガウディ」の設計によるものとわかりました。

その後`97年には、札幌パルコで「ガウディ展」が又`85年(?)頃には札幌・道新ホールで「勅使河原宏』製作の記録映画「ガウディ」の上映会があり、私はどちらにも足を運びました。

奇妙きてれつともみえる「ガウディ」の建築は、やがてテレビのコマーシャルに使われたためか、たちまち有名になりました。わざわざ、札幌まで出かけてみた前述の「勅使河原」の作品も、今ではわずか¥5,000弱のビデオになっている有様です。そこへ今度は、バルセロナ市でのオリンピックですから「ガウディ」を知り、その作品に興味を持つ人は、増々増えることでしょう。

さて、ここに、かってバルセロナに興った「モデルニスモ」なる芸術運動で、盛名を誇ったのは「ガウディ」にあらず、「ドメネク」という人だったが、死後、歴史の審判によって、その「ドメネク」は「ガウディ」にくらべて、全く影のうすい存在になってしまった。ーと説いた本が出ました。

「ガウディになれなかった男1

スペインの歴史を所々に挟みながら、「ドメネクと「ガウディ」以外の建築家、美術家の仕事、働きにも目を配ったいい本です読後「ガウディ』の大いなる姿が、より鮮明になるでしょう。



  1. 森枝雄司.ガウディになれなかった男.徳間書店(1990) []

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