山下敏明さんのあんな本、こんな本

第124回  差別の起源と現代

`98.2.3寄稿

① 思想に関するリスト

○ 日本共産党員リスト   ○ 民生リスト   ○ 新左翼系リスト ○創価学会会員リスト

○ 各新興宗教信者リスト  ○ 社会党系リスト ○ 同盟系リスト  ○各組合幹部リスト ○右翼過激派リスト

② 差別に関するリスト

○ 同和関係リスト                     ○ 在日朝鮮人リスト     ○ 沖縄、アイヌ人リスト ○ 混血者リスト    ○ 障害者リストなど

①と②の一覧表を見て,貴方はこれを何だと思いますか。私はまだ実物は見てませんが、これは,武代典矢「リスト屋商法1 (啓明書房刊 1976 10月)に出ているリストだ,との事で,この他にも預金者リスト,だとか,前科リストだとか,高額所得者リスト、とかいうものが存在しているそうです。

これらのリストが、何の為につくられ、そして誰がこれを所持しているのか? 著者によると、「数多いこれらのリストを全部の企業が全部のリストを入手しているとはいわない。ただ、思想、差別 前科のリストについては、大方の企業が大切な秘宝として金庫の奥またはコンピューターに記録し,保管されている事は事実だ」そうです。詳細は友永健三「部落地名総監事件2」部落解放研究所`89刊参照

さて、今回は差別の本を取り上げますが、「えっ、差別なんてまだあるの?」ですって?そうです。残念ながら、まだあるのです。

「〜戦後50年を経た今日の日本社会には、在日朝鮮人やアイヌへの差別,被差別部落出身者への偏見と差別,不況になればたちまち女子学生に集中する就職難に典型的にみられる女性差別等が根強く残存している」(ー神野清―「卑賤観の系譜 3 」のです。

ところで,私達は被差別部落の起こりについて,今まで次のように教わってきました。つまり、これは「近世初頭に政治的につくられた身分差別を起源とし、その封建制のなごりが解消されないまま今日まで残存して来た,(政治的経済的に温存されてきた)(( 赤木伸明.被差別部落の起源.明石書店(1996))) 」と言うのです。

もうすこし、やさしくかいてみましょうつまり、

「被差別部落の起こりは,農民の不平、不満をそらし,民衆を分断支配するために,徳川幕府によって制度化されたものである」と言うことです。分断支配の精度とは、教科書にも出ていたあの「士・農・工・商・エタ・非人」と言うものです。

この説は果たして正しいのか。どうもそうではないらしいのです。と言うのも最近になって、「もうやめよう,近世政治起源説」とでもいいたい動きが出て来たからなのです。

その立場の一人、立命館大学の畑中敏之教授は、自著『「部落史」を問う4 』(`93年兵庫部落問題研究所刊)

      と

『 「部落史」の終わり5  』

(`95年かもがわ出版)の2冊で「近現代の部落差別は,江戸時代の身分差別と質が異なる.血縁の系譜をたどって部落の起源を論じるのは誤りだ」と主張しています。

畑中教授の論はこうです。「近代の部落差別は,近世の身分差別を条件としているが,本質的には近代天皇制社会の下でのこの時代固有の構造的差別である」。

「全国のあいつぐ差別事件、1997年版」なる本によると,近年はパソコン通信やインターネットによる差別事件が増加しているそうで、そうした例が実に19頁にわたって発表されています。

さて今回は,この問題について,私が読んだ物の中から,よく理解出来たと思えるもの,3冊をあげました。「差別なんて今の世にあるの?」と思っていらっしゃる貴方も読んでみませんか。6


  1. 武代典矢.リスト屋商法.啓明書房刊(1976) []
  2. 友永健三.部落地名総監事件.部落解放研究所(2006) []
  3. 神野清.卑賤観の系譜.吉川弘文館 (1997) []
  4. 畑中敏之.「部落史」を問う.兵庫部落問題研究所刊(1993) []
  5. 畑中敏之.部落史」の終わり.かもがわ出版(1995) []
  6. 斉藤洋一・大石慎三郎.身分差別社会の真実.講談社現代新書(1995) []

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