山下敏明さんのあんな本、こんな本

第125回 最近読んだ本から4冊.アトランダムに

`98.2月19日寄稿

我が家の床の間に変則ですが大小様々な「こけし]が200本程並んでいます。中でも一番堂々たる体格のものはが尺5寸の「木地山」こけしです。作者は、故小椋久太郎で、こけしの背には「昭和47年5月5日.為敏明氏」と書いてあります。久太郎氏の直筆です。「木地山」は、奥羽本線、湯沢駅から、バスで1時間半の「小安温泉」から更に奥の「泥湯温泉」に行く途中にある部落です。小椋さんの家にたどりつくまで歩いた事、歩いた事。

さて、「小椋」なるは「木地屋=木地師=木を素材とし、ろくろを使って椀や盆やこけしを作るひと」を代表する姓です。木を求めて、山から山へと移って定着、定住する事をしなかった、この不思議な人達についての、珍しい本が出ました。教えられること多大です。「木地師光と影1

スピードスケート男子1,000mで清水が「銅」を取った日、の道新(2/16)に、帯広は「六花亭製菓」が、この4月にお菓子専門の私設文庫を設ける云々の記事が出ました。年間約1,000万円の本代で、お菓子の歴史や作り方の本を集めて行く由。この発案者、昨年大学卒の新入社員だと言います。発案者も会社も「やりますなあ」と言うところです。

室蘭でも、全国菓子工業組合連合会理事長をつとめる「富留屋」の社長さんが、市立病院の跡地に、お菓子の博物館を作ろうと、提案していましたが、是非実現してほしいものですね。

さて、本書は、御存知羊羹の「虎屋」の菓子資料室「虎屋文庫]で、和菓子の研究にいそしんでいる人のてになるもの。おいしい「話」がいっぱい。決して甘過ぎず、知的滋養満点の本です。「和菓子夢のかたち2

私は、変節(へんせつ=堅く守って来た従来の態度や主義を変えること)する人をどうも好きになれません。文学者では、例えば「江藤淳」が、私の好きになれない部類の人間です。「客にかしずくボーイやメイド、ドアマンに清掃ゴミ回収等々、労多くして報われることのない、下層階級の下支えあってこそ、恵まれた人々の快適な生活水準は、維持されているである」これがカナダ生まれの経済学者、J.Kガルブレイスの説明する保守主義の本音ですが、こうした説を採用する保守派江藤に対して、本書の著者天野は「江藤は政治を語るな、文芸に戻るべし」と言います。

私は又「小言幸兵衛」みたいな山口瞳が嫌いですが、天野は山口の主著「男性自身」に対して、「〜まさにギネスブックものといえる大長編なのだが、それに及ぶだけの意味や値打ちが果たしてあるのか、と言えば否と言わざるを得まい」と言いきります。かくしてこの本、全編まことに小気味よい。くだらぬ本を読まずにすますための、よき指針となるいい本です。「勝手口から覗いた文壇人3

もう32.3年前になりますが、旅先で電気カミソリが故障しました。実は、部屋の掃除に来た、女中さんが電気カミソリを床に落としてしまって、そのショックから、動かなくなってしまったのです。あわてた女中さんは近所の薬局から「シック」のカミソリを買って来て、詫びを言いながら、私に呉れました。このカミソリが「シック」独自の片刃インジェクター(替刃連発型)という、我が国では、新タイプの安全カミソリでした。

このカミソリを、ナントいまだに、私はつかっているのです。たまたまあたらしいのが欲しくなって変えようかなあと思っても、壊れて呉れないのです。つまりものすごく性能のいいカミソリなのです。

ところで、本書は「カミソリの文化史4 」とも言うべき、変わった本で、知らぬことだらけ...で...結論は、イヤ面白いです。男も女もお読み下さい。今回は最近読んだものの中からアトランダムにえらびました。


  1. 日本木地師学会.木地師光と影.牧野出版(1997) []
  2. 中山圭子.和菓子夢のかたち.東京書籍.(1997) []
  3. 天野哲史.勝手口から覗いた文壇人.第三書館(1997) []
  4. 竹内康起.カミソリ史記.日本マンパワー出版(1994) []

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