第142回 ことわざ図像学事典と蒐集本

`99.2.16寄稿

「爪(つめ)に火をともす」この「ことわざ」の意味は ──ローソクのかわりに爪に火をともすほど、過度に物惜しみすることのたとえ── と広辞苑に出ています。もう10年余も昔ですが、このことわざが、地元の大学の入学試験の問題として使われたことがありましたが、これ又地元高校からの受験生が、一人として解釈出来なかった、と言うことが新聞に出ました。国語力がないからと見るべきか、総体、生活が豊かになって来ているから、こういう節約ムードの言葉は必要ないのだ、と見るべきか!!

まあ、日本語はどんどん変わっていっているのでしょうが、先日も、最初に仲人した卒業生の子供が、4年制の大学を出て1年目で・・・・ バレンタインのチョコレートを送ってくれたのはいいけれど、又2とか呉2とか妙な記号が文中にあって、判読に苦しんだのですが、これは「又々」「呉々も」と書いたものとわかりました。今高校の先生をやっている男の卒業生から来る手紙には、「この間は、興白かった」 ・・・・なぞと書いてあって、これは面白かった・・・とのことです。何となく意味は分からぬではありませんが、こうなると「面(おも)+白(しろ)し」で本来は眼前が明るくなった状態をさす語、から来て、見て楽しい、心地よい意で使われる・・・(cf.「暮らしのことば 語源辞典」)と言うのがおかしくなって来ます。

それはともかく、ことわざに戻ると、

時田の本は非常にいい本です。文字通り、本邦初の「ことわざ図像学1 」で、最初にあげた「爪に火をともす」の家紋があるとは!! 私はびっくりしました。見たことのない絵と、知っているつもりで、案外とそうでないことわざとの、見事な合体辞(事)典です。

「刺青」この字が読めなくて、ナント「鯖(さば)の刺身」と読んだ学生を私は知っていますが、まあ、浪曲研究家の正岡容(まさおかいるる)に、「青きは鯖の肌にして、黒きは人の心なり」と言う名文句がありますから、「青」で「鯖」を想像するのは、あながち、おかしいことでもないかも知れない・・・・ と言ったら、無知に対して甘すぎるか。

さて、正岡のこの文句は、確か「天保水滸伝」か何かの文句だったと思いますが、浪曲と言えば、私は高校生位まではよく聞いたもので、艶のある声を出す、「春日井梅鶯(かすがいばいおう)」が大好きでした。梅鶯について書かれたものがあるかどうか私は知りませんが、「浪曲」と言えば誰もが思いうかべるであろう虎造の伝記(小説仕立て)が出ました。今「松方」ナントカが不倫だナンダと世の中かまびすしいけれど虎造は、3人の女性との間に、合計13人の子供をつくったといいます。

だから何なのよ? と聞かれると、私も困りますが、まあ、読んでごらんなさい。面白い2。2

あと2冊はコレクション(蒐集)の本。私は梟(ふくろう)を蒐めていますから、物を蒐めるという心理に何の抵抗もありませんが、ガラクタ蒐めが嫌いな人でもまあ、ちょっと目を通してごらんなさい。3

何がしか、楽しい気分になることだけは請け合います。長野の善光寺にお参りした時、寺もさることながら、参道傍の池にいるおびただしい亀にいたくおどろいたことがありますが、「亀」にこれだけ面白い背景があるとは!! イヤ、

「ひょうたん4 」の世界も御同様。

北辰中学で音楽を習った斉藤チヨ先生は、後に、有珠の善光寺近くで「ひょうたん」を育てていたが、この本見せてあげたかったなあ。

’99.2.17.(水)


  1. 時田 昌瑞.ことわざ図像学.河出書房新社(1999) []
  2. 吉川潮.江戸っ子だってね.ランダムハウス講談社( 2007) []
  3.   宮田保夫.かめものがたり.成星出版 (1998) []
  4. 栗田口省吾.世界ひょうたん風土記.本の森(1998) []

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