第160回 博物学の巨人アンリー・ファーブル 他3冊

`00.3.17寄稿

私は白鳥台(はくちょうだい)と呼ばれる港の見える台地に住んでいるのだが、最近ごく近間にゴミ焼却炉が建設予定であるとの話がそれこそ降って湧いた。

そこで、先日開かれたゴミについての勉強会に出て話を聞いてみたダイオキシンについて、色々説明された中に「チャー」なる言葉が出て来た。うる覚えで書

くと、何でも、「未燃物」と言う様な意味の言葉だ(の筈だ)

ここで私は知り合い才媛(さいえん)が飼っている犬を思い出した。その犬の名が「チャー」なのである。今迄ナントモ思っていなかったが、「未燃物」と知

って妙な名だなと思ってしまった。飼い主は、才媛だが、犬の方は凡庸(ぼんよう)のようで、無芸で吠えるしかすることがないようだからお節介な話だが、一つ二つ芸を仕込んだら、先日進言したところだ。「どんな芸?」と聞かれても特別頭にうかぶものはないが、その芸をするたびに飼い主の美女がよろこびと幸せを感ずるような芸がいいなと思案しているところへ 「犬の日本史1 」 が出た。

巻末にあげられている文献をわたしも大体読んで(=持って)いるが、本書は、それらを踏まえて、平易にもらす所なく犬の全てを語っているとみていい(もっ

とも私の当面の問題即ち仕込むべき芸のヒントはでてこないが)と言う訳で、この本、件(くだん)の才媛に一冊進呈しようかと思っている。もっとも彼女既に

何かを仕込んで楽しんでいる最中かも知れぬ。

「市立室蘭図書館」のナニヤカヤを応援しようと言う、「図書館サーヴィスに期待する会」の人達が、先頃、本代のきわめて少ない当館に、すこしでも良書を

ふやそうとて、「ふくろう文庫」の名のもとに、寄附金をつのることになった。

¥1000でも¥2000でも出してもらって、それに応じて私の方で、図書館向けの特価本の中から、善本を選ぼうというものである。そこで、先日、母恋で「モン、パリ」なるケーキ屋さんを営んでいる須藤千重子さんが、「ファーブルの ”きのこ”」なるB4版450ページと言う、実に豪華な図譜を贈ってくれた。

かの昆虫記のファーブルによる”きのこ”の水彩図が221点ものっているすごい本だ。

喜んでいるところへ 「博物学の巨人アンリ・ファーブル2 」 が出た。

私が前に勤めていた室蘭工業大学の図書館にも、大杉栄の訳した昆虫記があって、かつて、「室蘭民報」に連載中の「本の話」の、ごく初めの頃に、この大杉と、第二の訳者  椎其二の訳業について触れていたので、本書の第一章「無政府主義者とファーブル」を殊の他、面白く読んだ。

とてもいい本なので、「きのこ」のお礼にこの本を須藤さんに送ろうと思っているところだ。ところで奥本は本書の補遺(「昆虫記」およびその他の著書の訳者たち)の箇所で(木下半治、土井逸雄については未詳)と書いている。未詳(みしょう)=まだつまびらかでないことであるから、お節介ながら、私は知ったかふりをして、この2人について知っていることを書いて、先日異本に送った。

要点だけ書けば、木下半治は昔、岩波文庫に入っていたジョルジュソレル「暴力論」の訳者である。東大卒の法学博士で、東京教育大の教授をつとめ、「日本ファシズム」などを書いた。

土井の方は、私が大学2年の時、古本で買ったフランスの作家の「シャルル、フィリップ全集」(全3巻)は、戦前の刊行なので、伏字が多かった。つまり当局が◯もしくは×になっていた。この全集の第2巻目を訳していたのが、土井であった。シャルル、フィリップ(1874〜1909)は市役所の小便をしながら、爛熟する資本主義社会の中の、自分とと同じような貧しい人達を共感をもって描いた作家だが、今じゃ誰も読まんのだろうなあ。もったいない。

「牧野植物図鑑の謎 3 」は牧野富太郎、あの植物図鑑の牧野から、インチキとののしられた男の話だ。この男も「図鑑」を書いていた。

1984年に「ダーウィンに消された男」と言う本が出た。博物学者ウオーレスはダーウィンに先んじて進化論を完成し、マレー諸島からイギリスへ送った。しかし、。つまり、もう一人のダーウィンが、いたと言う話なのだが、似た話もあるもんだ、そして、学界と言う世界の非情さよ!!と言うところだ。

「鐘の鳴る丘は4 」3部作。私が小学生の時、学校で観に行ったものだが、今度、50年振りに観て、おどろいた事に泣けた。飢え、いじめ、孤独その他その他。戦争で天涯孤独となった子供達の話だ。今の子供達に是非みせたいと思う。


  1. 谷口研吾.犬の日本史. PHP研究所(2000) []
  2. 奥本大三郎.博物学の巨人アンリ・ファーブル.集英社(1999) []
  3. 俵浩三.牧野植物図鑑の謎.平凡社 (1999) []
  4. 佐々木守.鐘の鳴る丘は.岩波書店 (2003) []

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