山下敏明さんのあんな本、こんな本

第165回 ドイツの歴史教育と日本

`00.6.16寄稿

「ブッチホン」の小渕元首相は、私と同じ年か一つ下、森首相は更にその一つ下、位で、つまりは同年輩だが、私は時々、彼と我、育った時代が違うのではないか・・・と思う時がある。

故小渕元首相は、今おくとして、森首相に対しては殊にその感が強い。と言うのは、私は、いわゆる戦後の「墨ヌリ教科書」で育った世代で、言い換えれば、戦後民主主義の教育を会身に受けて小学校、中学校を終えたのであって、私自信は、いい時代に、いい教育を受けたものよと、ありがたい気持ちでいる。

だから、私は、自分を民主主義者だと思っていて、いささかも保守主義者だとは思わない。さて、そういう私から見ると、一才もしくは二才下の森首相の言動は実に不思議に見える。

殊にこの節の一連の発言「神の国」「国体」そして「銃後」の三連発には、おどろくばかりだ。おどろきの意味は、私と同じくあの一番いい時代の民主主義教育を受けた筈の人間が、どうしてこのような「死語」に等しい言葉、そしてそれが意味する「考え」を持ち、かつ述べることが出来るのか、と言うものであって、ひそかに思うには、彼は、戦後の「社会科」の授業をさぼっていたか、もしくは理解出来なかったのかのどちらかではないか。

森首相の発言は、内外の批判にさらされているが、ここで私が思い出すのは以前の地元紙「室欄民報」が、行なった若者へのインタビューに答えた室蘭工業大学の留学生のSさんとKさんの意見だ。Sさんは韓国人、Kさんは中国人で2人共二十才前後だったが、答えの中味は同じで、それは、「日本の、そして室工大の大学生達は、日本が韓国もしくは中国にして来たことの歴史的な数々をどうして知らないのか、学校では教わらないのか」と言うものだった。

話を元に戻すが、この2人の疑問と似た質問を何人かの人から受けている。

それは、日本と同じことをして同じ結果になった国・・・・はつまり言うと、他国に侵略して、他国の人々を災いへと巻き込みながら、果ては、敗戦国となった国・・・例えばドイツではそのような歴史的程過と言うものをきちんと教科書で教えているのか、つまり、韓国や中国の人たちが、日本の若者が何も知らない、となげく様に、ポーランドやチェコやスロバギアの人達は、ドイツの若者達に対して歴史の知識の欠如を難ずるようなことはないのか、との質問である。

その質問に答えるには口で言うよりは本を読んでもらうのが一番確かなので、私は数ある本の中から①と②をすすめることにしている。

1 は、ドイツの青少年用図書館や教科書には、ファシズム(ヒトラーのしたこと)と戦争とがどう扱われているかを本当に丹念に克明に辿(たど)ったものだ。

これを見ると、第二次大戦後のドイツが、ヒトラーのしたことを如何に若者達にはっきりと伝えてきたのか、がわかる。

2  は①の著者を含めて日韓の学者達が、ドイツやポーランドの学者達が採った様々な遣り方を、これからの日韓の教科書の書き方、それを使っての教え方に応用していこうとする動きを書いたものだ。

自分の、自分達の、自分達の親の国が、過去において成したことの諸々について、はっきりした知識を持つことははずかしいことでも何でもない。

ところで、6月13日に、ようやく「南北首脳会談」が実現した。これからどうなるのか。朝鮮民族は統合なるのか??色々なことを思いながら、先日「北と南をつなぐアリランとは何か3 」を読んだ。労働歌でもあり、喜びの歌でもあり、抵抗の歌でもあり・・・と言う「アリラン」は、何よりも朝鮮民族の心の歌だ(そうだ)。

「アリラン」のメロデーは186種で歌詞は2277連もある、などなど、私には「おどろき」の記述が続いたが朝鮮民族の心の「ヒダ」がわかるような気にさせられる本だ。

今回の最後は496年に出た「日本大歳時期」から、「食べ物」に関するものをまとめた嬉しい本だ

「冷奴=ひややっこ」は本当は「ヒヤヤカ豆腐」なんだって!!

昨夕、「冷奴」でビールを飲みながら、この箇所を読んで私は楽しかった。

悪酔いせぬために、軽く爛をしたものを冷やして飲むのを「冷し酒」と言うそうな。明日はこれを飲んでみよう。


  1. 藤沢法暎.ドイツ人の歴史意識 教科書にみる戦争責任論.亜紀書房(1986) []
  2. 日韓歴史教科書研究会.教科書を日韓協力で考える.大月書店(1993) []
  3. 宮塚利雄.北と南をつなぐアリランとは何か.小学館(2000) []
  4. 水原 秋櫻子 他監.日本たべもの歳時記 春・夏・秋・冬・新年.講談社(1998) []

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