第178回 イギリス女流作家の本

`01.2.16 (金)寄稿

先頃、沼の端小学校の図書ボランテア代表の石本景子さんから、ジェーンオーステイン作「エマ」に関する質問が来た。石本さんは表面には出さぬが、本も良く読み、映画もしっかり観ている人で、話をしていると、言うなれば“お〜、おぬし、読んでるのう、おや、汝観てるのう、やるじゃねーの”とこちらが内心つぶやきたくなるような人なのだ。そんな石本さんに答えよう、禄ている矢先に、図書館常連の小林さんが、私に9本ものビデオを貸してくれた。9本の中に、6 本がオーステイン原作のものだった、ナンタル偶然か!!  と今度は、苫小牧ストリ−ラリング勉強会代表で、好学の墨谷真澄さんが、朝日新聞の2月2日付け(夕刊)に出ていたとて、東大教授.岩井克人の「小説.高慢と偏見」と題する文章のコピーを送ってくれた。

ハテサテ.ひょっとして.オーステインブームなるものが、起きつつあるのか、、、と首をひねってみたが、よくわからぬ。

岩井の論は、娘(女)は売れねばならぬ、即ち、結婚相手がみつからねばならぬ、この原理は、資本主義の論理と同じものである、、、しかし叉、売れればよいと言うものではないという、資本主義の論理を超越する論理もあって、それを描いたのが、オーステインだと言うのだ。まあ、こちたき論は岩井にまかせておいて、、、

私は「エマ」が昭和40年に、阿部知二の本邦初訳で出た時読んだ。面白かった。因みに阿部は多くの翻訳をもつ英文学者だが、松川事件の調査などにも参加した進歩派知識人で同時に小説家で代表作に昭和11年の「冬の宿」がある。私の好きな作家の一人だ。

「エマ」の映画の方は、‘96年英国作で、矢鱈と人を結婚させたがる「エマ」に扮したのは、この間「エリザベス」を演じたグウイネス.パルトロウだ、まあ〜面白い。「エマ」は目下中央文庫.阿部訳で¥740

もうひとつ、原題「分別(=ふんべつぶんべつでは無いぞ、ぶんべつはゴミの方だ)と多感」 を映画にしたのが、エマ.トンプソン主役の「いつか晴れた日に」ベルリン映画祭金熊賞をとった秀作。私は昔伊吹知勢訳で読んだが、今はこのタイトルでキネマ旬報刊 真野明裕訳¥1800

「高慢と偏見」も阿部訳で、河出文庫¥922、 私が学生時代に読んだのは名訳者「平田禿木(とくぼく)」のもので、73年前の昭和3年刊と言うと大変なもの。禿木(1873〜1943)大英文学者の随筆は、私の最も好むもので、この人について語りたいが、今はやめとく。この「高慢と偏見1 」には原文も付いていて、それは、夏目漱石が珍蔵していた高価な版を写したものだ。

石本さんのように、ジェーン.オーステイン(1775〜1817)を読んでみたい人のために、代表作をあと2、3点列挙すると、「マンスフィールド.パーク2 」大島一彦訳.マンスフィールド.パークキネマ旬報社、¥2400 「ノーサンガーアベイ(寺院)(( 中尾真理訳.ノーサンガーアベイ.キネマ旬報社(1997))) 」中尾真理訳.キネマ旬報社¥2200 「説きふせられて3 」富田彬訳.岩波文庫¥660

映画化を機会に、未紹介の作品の翻訳が出るのはありがたいことで、これを逃すと、あとで後悔する。‘75年映画化の.W.サッカレーの名作「バリー.リンドン」(パリ.ロンドンではないぞ)や.’67年のT.ハーデイの「遥か群集を離れて」など、どちらも角川から出たが、今では全然入手出来ぬ。(私は持っているけど)。そう言う意味でキネマ旬報社のはありがたい。

さて理由は何であれ、英文学の女流の大者は、J.オーステインが、今流行りとならばついでに、オーステインのあとをつぐる人(否、ブロンテ姉妹派3人だから)5人を紹介してしまおう。

「呪われた人々の物語 E・ギャスケル短篇集4」はエリザベス.ギャスケル(1810〜65)マンチエスターに住み、労働者の苦しい生活を描いた「メアリー.バートン(1848)」で名をあげた人。

この作品、昨今再評価著しい。‘98年に彩流社から松原.林共訳で50年振りに新訳がでた、¥4500  社会派小説家としての再評価の証拠に、「ギャスケル全集」が日本で出始めた。やさしい山下春美司書に調べてもらったら大阪教育図書.刊だ。「呪われた人々の物語E-ギャスケル短編集5 」はそのギャスケルの珍しい翻訳。

ギャスケルの翻訳では、他に長篇恋愛小説の「シルビアの恋人たち」大野竜浩訳彩流社¥6000があるが、もう一つ大事なのは、「シャーロット.ブロンテの生涯」。

シャ−ロト、エミリ−、アンのブロンテ三姉妹は余りにも有名だから、説明はパスするとして、ギャスケルの評伝を含む、全12巻の「ブロンテ全集」が本館にそなえてあるから、読みたい人はどうぞ。3人姉妹についてまとめて知りたい人は「ブロンテ姉妹6 」をどうぞ。

最後はジョ−ジ.エリオット(1819〜80)「ダニエル・デロンダ〈1〉7 」 19世紀イギリスの代表的な思想と人生観の代弁者.この人の「サイラス.マーナー」(土井治訳.岩波文庫.¥660)を読んだあと.図書室で原稿(研究者の全100巻の英文学叢書の中の一冊.昔は、高校でもこうゆう本がちゃんとあったんだ)を見付け、借りてみたが、ムンズカシクテ10Pとは行けなんだぞ。

今では、このイギリス小説史上最大の作家の作品は殆ど訳されて、「ダニエル.デロンダ」程の長大作でも2種類の訳がある位だ。

代表作は「牧師館物語」あぽろん社¥5000「アダム.ビード」開文社¥2800

「ミドル.マーチ1-4」講談社@¥1500 などなど山下春美司書の調べでは復刻版著作集全六巻(文泉堂刊)があるが、高過ぎてダメ.では皆さんジャンジャン読んで下さい。


  1.   J・オースティン/[著] 阿部知二/訳.高慢と偏見.河出書房新書(1996) []
  2. 大島一彦.マンスフィールド.パーク。キネマ旬報社(1998) []
  3. 富田彬訳. 説きふせられて.岩波文庫(1998) []
  4. エリザベス.ギャスケルメ.アリー・バートン大阪教育図書(2009) []
  5. エリザベス・ギャスケル著 伊達安子.呪われた人々の物語.近代文芸社(1994) []
  6. 青山誠子.ブロンテ姉妹.清水書院 (1994) []
  7. ジョージ・エリオット作 ・竹之内明子訳.ダニエル・デロンダ.日本教育研究センター(1998) []

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です