山下敏明さんのあんな本、こんな本

第241回 古本市と古本屋

`05.8月寄稿

7月16日(土)17日(日)と、2日続けて輪西の市民会館で古本市を開いた。いや古本市が開かれた。開いてくれたのは御存知「図書館サービスに期待するかい」の人達で、これで3度目である。1度目で¥120,000.2度目で¥100,000位の売り上げがあって、これで「近世風俗図譜」全13巻やら「日本の染織」全20巻やら、と合計50冊余の本が「ふくろう文庫」に集まった。

最初の時は、10月も末の寒い日で、本館前の、それこそひさしの下を借りての店開きで、目の前の歩道を往き来する人達に声をかけながらの商いだったが、 なにしろ「時雨」の季節だ。「時雨」と言うのは「過ぐる」から出た語で、通り雨のことだが、秋の末から冬の初め頃にかけて降ったり止んだりする雨を言う。

余談だが、室工大にいた頃、仲良くしていた中国人の留学生、大連から来た金さんに、時雨の話をしたことがあったが、金さんによると、中国には「時雨」にあたる言葉はないとの話だった。そのあと確かめた訳ではないから真偽はわからぬ。

話を戻すと、第1回目時には先記した如く時雨の時期であったからして、時々強風を伴う時雨が降って来た.外の当番はアノラックを着て、手袋はめてがんばっていたが、とうとう寒さに絶えきれなくなて、段ボール函に入れた本を図書館のロビーに移して販売を続けた.こうして得た12万円ナニガシのお金、又それこそ何円の円まで使って本を揃えて、市長室にて図書館側が受け取り、市長から感謝状を贈られた。

私は「図書館サービスに期待する会」がしてくれる「ふくろう文庫」の選書役を勤めている人間だから「期待する会」人共々、いい本が集まってよかった、本を集めてくるのは大変だったけれど。その労も報いられたと、初めての試みの成功を喜びあったものだ。

さて、3度目の今回、前日に御存知「ふくろう文庫」の安藤さんが、車でかけずる回って古本提供の知らせをくれた人達から本を集めて来た。それを分類して並べるのに7:30までかかって....てな苦労話は別として、2日間よくお客さんが入ってくれてよく売れた。

とは言っても、「Book    off」の店のある時代だから、薄利多売で行かねば抵抗できぬと割り切って、文庫本3冊で¥100、ハードカバーと言うより単行本はどれでも¥100、全集物は1set¥1,000と付けたから...とは言ってもこれで飛ぶように売れるか?と言うとそうでもなくて....それでも結構の売り上げ(計¥89,000)になったから良かった、良かった感謝々々!!これで買えた本は又後の報告に...として、さて古本の話。

古本と言えば神田だが、その神保町も大分様変わりして、去年暮れに行った時は、古さでは神保町でも5番内に入るであろうと思われる「奥野書店」が姿を消していた。文学・美術書で手堅い店だったが、息子がコンピューター関係の本に力を入れている聞いていたから、こうなった。コンピ ュ−ター関係の本なぞまさしく消耗品であって、本のうちに入らぬと私は見ているが、おまけにIT産業なるものが失敗しているのに、何でこんなものに手をだしたのか。

元気なのは小川町の「源喜堂ブックブラザーズ」だ。私が大学時代、ここで買った最初の本は式場隆三郎の「ロートレック」だった。ゾッキ 本を扱っていた「山田書店」も元気だ。美術書の充実は仲々だ。

古本に限らず、新刊書店の場合でもアメリカでも流行の品を置かず、何代にもわたって読み続けれれてきた古典、評価の定まった昔の本を置いている店が生き残っているそうだ。

私も長年古本をみつめ、集めて来たが、明治・大正/昭和(戦前)のならともかく、蒐書の基本は、新刊書によく目くばりして買い逃さぬことだ.新刊書の中から、後世に残るような本を見逃さぬためには、絶えず勉強し、好奇心を衰えさせず...と言ったことの持続が大切だ。

後になって何かのテーマであるべき本が無いと言うときは、その本が新刊で出た当時、自分にそのテーマに対する関心・好奇心が無かったのだ、と言うことだ。

繰り返すが、図書館であれ個人であれ、蔵書を豊富・充全なものする第一の手段は新刊を逃さぬこと。それでも、見逃した本を5年、10年、20年経って古本に頼るのは止むを得ない。

ここに古本関係の本4点だした。古本と言うと、今を時めくその道の達人らしき人が何人もいる。えば「子供より古本が大事と思いたい/青土社」の鹿島茂、「古本屋奇人伝/東京堂」などの古本屋の主人・青木正美、「古くさいぞ私は /晶文社」の通ぶった坪内祐三、「古本マニア・雑学ノート/ダイヤモンド社」の下手物好きの唐沢俊一...こう言った人達の本はモテハヤサレテイルからやめる。

ここに挙げた4点は、しみじみと本が好きだ、と言う人生を送ったであろう人達の本だ.つまり余時めく人達ではないが、どの本も文字通り、好き趣きで一杯だ。Book    offにあふれる雑書に慣れた感性に、たまにはこうした落ち着いた本を触れさせないと、心も頭も雑になるばかりではなかろうか.この4点それこそ古本で探して見て下さい。

「書痴半代記1 」「書物周游2

「蒐書散書3 」800部印行

「書物游記4


  1. 岩佐東一朗.書痴半代記。東京文献センター刊(1968) []
  2. 大屋幸世.書物周游.朝日書林(1991) []
  3. 坂本敏.蒐書散書。季節社(1980) []
  4. 秋朱之介.書物游記.書肆冷やね(1988) []

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