山下敏明さんのあんな本、こんな本

第366回舛添が購入した中村不折と河野道勢について

2016.5月寄稿

北海道新聞の文化担当記者・岩崎志帆女は過グル5月18日(水)の朝刊で、「ふくろう美術講座50回に」なる見出しの下、「美術書を解説し、講座代を市立図書館の図書の購入に充てる”ふくろう文庫ワンコイン美術講座が”28日の開催で50回目を迎える」と書き出し、「講座は美術書の購入費を寄付金だけでなく”ボランテアでも稼ごう”と山下代表が発言し、2007年に始まった」と続け、「これまで延べ2,280人が参加し、講座代で230点を購入した」と紹介してくれた・ありがたいことに、これまでの稼ぎ得た金は100万を超える。

ところでご存知舛添前知事の講演料は、伝えられるところによると1回100万円だそうな。こちらは50回で100万円を多少超えた額、あちらは1回で100万円。何たる差!!と私はひがむか?否、全然そうではない、聞いて私が思うのは、舛添ごときを講師に招ぶ側も招ぶ側、これを聞きにき行く方も行く方。私はこれを...北側景子の旦那に収まった竹下の孫の頭文字男の真似をして...SBと呼ぶ。その意は「双方(S)馬鹿(B)」。

さて、その舛添だが....神田の古書店主が、舛添が購入した絵が政治資金で買うのに適したものかどうか、みなさんに”精査”してもらいたい、と語る...記事が出た。紙上に二出たものは点で、一つは中村不折(なかむらふせつ)の画賛色紙「水汲図」。一つは河野道勢(こうのみちせい)「自画像」。古書店主はこの絵を舛添が外国人へのプレゼントと言うが、外国人に送るなら、人気が高い「伊藤若冲」の複製を買うはずと付け加える。

この2名の内、中村不折が「ふくろう文庫」に既に2点ある。中村についての解説を道新連載の「ふくろう文庫」からここに転写する読めば分かるように、不屈の中村不折は刻苦勉励して、己が業(画と書)に成功し、私財を投じて蒐めたものを、私財を投じて建てた「書道博物館」に収めた。それは今なお下谷根岸に現存して、我々に正しく文化の恩恵をもたらしてくれている。

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しかるに舛添は政治資金なるものを流用して...要するに不折と正反対なのが舛添で、人間の

できが違うのだ。不折も舛添に買われて不本意だろう。

一方、「自画像」の河野道勢は、と言うと、2008年に足利・長野他で開かれた「大正の鬼才・河野道勢ー新発見作品を中心にー」展の図録が手元にある。「こうの・みちせい」とは変わった読みの名を持つこの画家(1895〜1950)は美術教師であった父次郎の蔵書の中から好きな画家を見つけては模写し吸収するという独特の画家で、それでいながらダ・ヴィンチやディユーラーなどをよく咀嚼し得て、20歳頃に既に天賦の才を見せた異色の人だ。

9歳でハリスと正教の信者となり、その洗礼名は「ペートル・アレクセヴィッチ・ミチセイ・コーノ」。岸田劉生の草土社への参加、小説の挿絵も多数こなし...で中川一政をして「なんでも描けた」と言わしめた天才。自分でも「我に描けぬものなし」と意識した。言い忘れたが父は油絵の元祖高橋由一に学んだ人。この強い内面性の画家は,又しても舛添とは正反対の人なのだ。舛添には似合わない。

ところで、舛添を「せこい」と評した人間に対して、「そんな言葉は人まえで使うものではない」とコメント=意見するコメンテーター(解説者・評論家)がいたけれど、そうなの?と来客に聞かれたが、そんなことは全くない。「せこい」は役者や寄席芸人の隠語から出た言葉だと言うだけのこと。こんな時こそ使うべき言葉であって、上品ぶる人間には,じゃ、ナンといえばいいの?と逆に効きたい位のもんだ。豊かな日本語は豊かに使うべし。

コメンテーターと言えば、先日そば屋でのテレビで、北朝鮮の例の肥満児が、ナン年ぶりか、何十年ぶりかの党大会(?)を開いた渡河で、コメンテーターの一人が「ナニシロ聖地・白頭山での金日成は〜」などと口にしていて呆れた。何が聖地だ!!

金日成が、第二次大戦末期、白頭山の秘密基地で作戦を練り、革命軍の先頭に立って日本と戦い...ナンテことは作り話だということは、つまり、金日成は大戦末期ハバロフスク付近の村にいて、対日戦には不参加云々とは,和田春樹の「金日勢と満州抗日戦争」(平凡社)で明らかなこと。ここでは金賛汀のその名もズバリの「パルチザン挽歌ー金日成神話の崩壊ー1 」を出しておく。

金は1992年10月24日室蘭に講演に来た。私は朴重鎬さんに誘われて聞きに行き、この本にサインしてもらったが、その時、金が「サインして欲しくて今日買ってきたのか」と言うには呆れた「そんなさもしいいことするか!この本が出た7月に直ぐに買って読んだ、何様だと思ってんだ」と言いたかったが、朴さんに悪いからダマッテタ。本はいいが、あの人間は嫌だね。

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  1. 金賛汀.パルチザン挽歌ー金日成神話の崩壊ー.御茶ノ水書房(1992) []

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