第396回(ひまわりno213)「ヘイト本の増加、自由を奪うNG社会

2019.3.15寄稿

東京新聞の望月衣塑子記者は昨年、室蘭で講演した。「すごい元気な人で・・・」と聞きに行った黒光ひさ市議は、その元気な様子を身振り手振りで私に教えてくれた。この元気な望月記者は先頃、「人を鼻であしらう」ことでは日本一の陰気男、官房長官菅に舌鋒鋭く迫って、ギューと言わせた。「タジタジ」となって面目を失った菅は案の定、陰険な手を打ってきた。それは・・・定例の内閣官房長官会見で「事実に反する質問」があったなどとして、昨年12月に首相官邸の報道室長から、東京新聞の特定記者の質問を事実上封ずる申し入れを内閣記者会に行われたことだ。これは取材の自由への攻撃とも言うべきふざけた話で、この報道の自由侵害と言うべき事態に対して、早速学者、弁護士ら抗議の声が上がっている。更に3月14日には日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)による首相官邸前での抗議行動が行われ、これを支援する市民ら約600人が集まったと報じられた。「道新」の小林基秀、嵯峨仁朗もメッセージを寄せた由。この件で私を笑わせてくれたのが、官邸が望月記者の質問を「事実に反する質問」と決めつけていることだ。何故笑うか?だって思ってもごらんなさい。「事実に反する」事ばかりを国会他で言い続けているのは安倍一統ではないか。そこで、これこそそれを証するぴったりの本を紹介する。「安倍政治100ファクトチェック1 」だ。編者は誰あろう。先の官邸前抗議の主、MICの議長で新聞労働連委員長の南彰と、菅に嫌われた望月記者。

南は言う。「マスコミの労働組合が官邸前で行動するのは極めて異例ですマスコミの労働組合には幅広い考えがありますが、政治家,為政者ウソは許さないという立つ場は共通しています」と。この本を一読してわかる事は安倍一統が史上稀に見る「ウソこき集団」であるという事。新聞のジョーク欄に出ていた新諺「嘘つきは首相の始まり」誠に正しい。

2014年11月に「NOヘイト!出版の製造責任者を考える(発行、ころから、¥900)と言う本が出た。「この本を手にされた方へ」には「”嫌韓本”や”嫌中本”と呼ばれる排他主義的な装いの本、あるいは偏るナショナリズムー村上春樹が言うところの”安酒の酔い”ーに酔いしれた感じの”日本万歳”が並んでいるところに、えも言われぬ違和感を覚えておられる方が少なくないのではないでしょうか?」とある。この本が出た頃「ヘイト本が増えた事に違和感を覚え14年末にジュンク堂書店那波店でブックフェア”NOヘイト”を企画したところ、クレームが寄せられたが嫌ではなかった”君は中国や韓国が日本を占領しようとしている事を知らないのか”と言われたが、”私はそうは思いません”と答えた。普段書店員はお客さんに対して無関心を装わねばならないが、この時は自分の意見を正面切って言えた」と骨っぽく語るのは60歳になる京大文学部出身の同店店長福島聡だ。

この福島さんの文章は「言論の”右傾化”」なるテーマに応じて出されたものだが、福島はヘイト本には共感しないが書棚から外せとも支持しないと言い、両者を並べるのは民主主義の形だと考えているからだとも言う。これは正しい。しかし又、福島はこうも言う。「私たち書店員は1冊づつ本を吟味しながら売っているわけではない。売れる本は補充し売れない分野は縮小してい」。これまた、資本の論理だから間違ってはいない。ただ私などは「本屋たるもの、もう少しを持ってもいいのでは?」と思うけれども。はともかく福島のこの「売れる本」の理屈でツタヤにもゲオにも今やヘイト本含めて右寄りの本が充満している。オリンピックでこけたJOC竹田会長の息子竹田恒泰、ケント・ギルバート、黄文雄、石平、井上和彦などなど、売れる本が山積みで、安倍批判の本など売れぬから、縮小されっぱなしだ。この状態では「両者を並べるのが民主主義の形」にならないのではないかと私は危惧する。そこでこのバランスを崩すためにここに私の知るかぎり、市内の本屋になかった本を紹介する。「『アベ友』トンデモ列伝2 」がそれ。さきにあげた竹田恒泰らが含まれていないのが残念だが「嘘つきは首相の始まり」の系列の正体を知るには役に立つ筈。茨城県古河市での出来事。「原子力明るい未来のエネルギー」なる標語で小学六年生の時優秀賞に選ばれた大沼勇治なる人がいる。然し全世界が知る如く、「原子力」は全くそうではなくなった。それで今度は、大人になった大沼さんと妻のせりなさんが「明るい〜の標語の前で「撤去が復興?」「過去は消せず」のプラカードを持ち防護服で2人並んだ写真をフリージャーナリストの豊田直巳が写して、東京電力福島第一原発事故の被災地を記録した写真展に出した。東京は大田区の公共施設が会場。すると区側はこの写真を政治的だとして展示せずとした。ところがメディアがこれを取り上げると、区は一転して展示を認めた。「アンダーコントロール」なぞと途轍も無い嘘をつく安倍は別として、普通の人間なら「撤去が復興?」「過去は消せず」の方が正しいと思っている。前には「梅雨空に"九条守れ”の女性デモ」なる俳句を、政治的だとして公民館便りに乗せることを拒否したさいたま市が裁判で負けた。どうして行政は一丁前に知ったかふりをして「ちょっかい」を出すのかな?と不思議に思う。馬鹿な行政に振舞わされないように市民の側も目を開かねば!!「自治体に封印された九条俳句」他を含む「検閲という空気自由を奪うNG社会3 」を一読されんことを!!

「ふくろう文庫ワンコイン美術講座」の皆勤賞的人物小林重和,靖子夫妻は美術を愛すること深く、かつ大変な勉強家だ。講座で取り上げた画家について遠近問わずすぐ見に行く。その小林夫妻から、奈良、京都美術行御の土産として文庫にと「斉白石」の見事な図録をもらった。感謝!!斉白石は(1863〜1957)に文化大革命で殺された文豪,老舎が一番愛した画家だった。「ふくろう文庫」には室工大の卒業生で建築家の西方里見,耿子からもらった斉白石の全2巻の画集が既にある。

「あんな本・こんな本」のバックナンバーはhttp://t-yamashita.info/を見てくだい。

  1. 南彰、望月衣塑子.安倍政治100ファクトチェック.集英社新書(2018) []
  2. 適菜収.森功.「アベ友」トンデモ列伝 .宝島社(2018) []
  3. アライヒロユキ.検閲という空気自由を奪うNG社会.社会評論社(2018) []

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