司書独言(145)

○月○日 マッド・デイモン主演の「エリジウム」がDVDで出た。国民健康保険のないアメリカでの格差社会の現状を踏まえての近未来物だ。デイモンはハーバード出のインテリでオバマの支持者だが、最近オバマ批判に転じた。その理由の一つが無人機攻撃で、憲法を教えていたオバマの政権がこれを行う事に対する抗議だ。これはまともな人間なら皆指示する事だろうが、グレイソンなる下院議員が言うには「罪のない人たちが亡くなっている事は受け入れられない」と。これは佳しとして、続く言葉「無人機攻撃は逆効果、もっと良い方法がある筈だ」には呆れる。もっと良い方法とは何たる言葉だろう。

○月○日 もっと呆れるのは赤十字国際委員会での討議。「戦争テーマのビデオゲームで、プレーヤーが市民を攻撃したら減点などのペナルティー(罰則)が科されるようにすべきだ」と。又「戦場ではなにが許されないのか、ビデオゲームを通して若者に知ってもらいたい」とも。阿呆か!と言いたくなる。罰則云々じゃなくて、戦争を教えるゲームなんてもの、そのものを禁止すればいいじゃないのか。そもそも「許される戦争」なんてものがあるのか。プーチンがオバマにノーベル平和受賞者としてシリア軍事介入を止めるべきとよびかけたとの報道があったが、オバマも恥ずかしくないのかね。佐藤栄作やオバマの受賞を観ると、ノーベル賞の価値も下がるというものだ。

○月○日 前に「本屋大賞」なる賞をとった百田尚樹の有頂天な態度は不愉快と書いた。本屋の店長が選んだとあるけれど、大型書店の忙しさを見ていれば、店長には本を読む時間はなさそうで、とすれば帯の文章位で判断して、面白げなものを手っ取り早く取り上げたとしか見えない。この百田の小説全体を「右傾エンタメ」と定義(?)したのは、石田衣良で、私は外見ヘナチョコに見える石田を見直した。

○月○日 その石田の見方が誤っていない証拠に、この「エンタメ右翼」が今度NHKの経営委員の一人として名が挙がった。安倍と意気投合した結果のあからさまなる論功行賞だ。百田は天にも昇る気持ちだろうだろう。百田と共に名が出ているのが哲学者と称する長谷川三千子。哲学も地に落ちたもんだが、ヒトラーを支持して後世に恥をさらしたハイデッガーという大物の例もある。長谷川は学者?らしくもなく前者の轍(わだち)を踏んだ訳だ。お気の毒にも愚かなことだ。

○月○日 私は椎間板ヘルニアの持病持ちだが、いつぞや追直浜を散歩中、漁師から何十個ものノナ(紫ウニ)をもらった事があって、立ったままでその殻割りに数時間もかかった事があり、その結果腰の痛みは大変なものだった。それが先頃「釧路内燃機製作所」が1分間に100個の殻を割る「新ウニ割りくん」を開発した由で、その能力たるや人間の3人分だと言う。機械工学を修めた連中も、「無人機」なんぞという馬鹿な開発は止めにして,回転寿しだとか、この「ウニ割りくん」とかの、平和で誰しもが喜ぶものの開発に止めて欲しいもんだなあ。

○月○日 ここで再度「無人機」で思い出したが、ライフル銃が発明された当時、これを使って丸腰の人間を追い立てる映画があった。題名が「人間狩り」だった筈と探してみるが出て来ず、内容しか思い出せぬ。ライフルの射程距離は知らんが、映画では撃つ側が肉眼では見えぬ、という設定。ナンダカ無人機と重なる発想に思えるね。

上記の映画で狩られる罪もなき側はメキシコ人だが、最近のA.バンデラスとJ.ロペス主演の「ボーダータウンー報道されない殺人者ー」を観ると、狩るアメリカ人と狩られるメキシコ人との図が今に続いている事が分かる。因みに、メキシコ人はアメリカ人を卑しんでグリンゴと呼ぶが、これは征服者のアメリカ軍隊が緑(グリーン)の征服を着ていたからだ。

○月○日 「睾丸は小さいほどイクメン?」なる記事が出た。へえー、イケメンの一物は小さいのか,ヤレ気の毒な。俺は精神も肉体も締め付けられるのは嫌いだから,ブリーフなるものは穿いた事がないけど、小さいってのはブリーフのせいじゃないのか?と思いつつ、よく読み直したらイケじゃなくて育(イク)で、一物が小さいほど子育てに積極的だ云々でアメリカエモリー大学の研究結果の発表だと。イグ・ノーベル賞向きの研究だなと思ったが,君が世口パクのチェックの方法は?と論議しているどこぞの教育委員会に較べると,悪意がなく,愛せる研究だな。

○月○日 菓子工房モンパリ移転一周年記念の、ティータイム付き、夢輝のあミニコンサートが11月10日夜にあった。元宝塚スターの美貌と美声で快い一夜だった。モンパリ店主の須藤知重子女も、のあの母親黒光ひさ女も,母と一緒に来ていた香川妙女も,芝垣さんも皆「ふくろう文庫」の仲間。美術講座ポスター制作担当の書家・田澤早智子女も、毎回一番乗りして,卓・椅子を並べ,又片付けて一番最後にでる盛田元教育長も,泰子も仲間。この人達が自分の人生の節目に寄せてくれた寄付金で買えた本・掛軸・絵巻・巻子本は,既に80点余に登る。市民の財産が増える喜び、ありがたい・ありがたい。モンパリ2代目の綾子女の挨拶も立派だった。よかった・よかった。

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