司書独言(99)

`09.11寄稿

○月○日 『丸井』での最後となる「第5回ふくろう文庫特別展-国宝・重要文化財の世界-」を無事終えた。10月28日から11月2日迄の来場者の皆様に感謝するとともに次の方々にも深甚なる謝意を捧げる。(但し順不同)

* 国宝曼荼羅の開眼供養をしてくれた大正寺の松尾和尚とその門徒 * テープカット役の天理商工会議所会頭、我妻市議会議長、丸山店長、芝垣「ふくろうの会」代表 * 期間中会場案内役を勤めてくれた「ふくろう文庫・ウオッチャーズ」の会員たち * 5年間菓子提供を続けてくれた母恋の「モンパリ菓子工房」* より多くの来客をと企てられた柴垣夫妻の落語長屋と南京玉すだれの面々 * 搬入他を助けてくれた二田さん他市役所の面々、* そして激務の中きてくれて「ガンバッタネー」と言ってくれた新宮市長 *「丸井』の人々と「ふくろうの会」のメンバーたち、図書館の人々、そして、谷口宗希社中のお茶の皆さん、そしてこの展示を可能にしてくれた寄付者の方々 * 「両界曼荼羅」と「唐絵手鑑筆耕園」の野口秀夫夫妻、横山大観「生々流転」の大西秀樹・暁子夫妻、黄庭堅「松風閣詩」他の盛田満前前教育長、「古筆手鑑野辺のみどり」の中島の匿名氏、大雅・蕪村「十便十宣図」のA女、劉松年「羅漢図」の梅原尚之・かおる夫妻「伝行成古今集」の匿名氏、「土佐光則絵手鑑」の谷本正氏、呉鎮「洞庭魚隠図」の山下ファミリー、そして他々。

○月○日 事前開眼供養の何たるかを松尾和尚に取材に行ってくれた高橋結香記者が、テープカットになっても現れぬ。寝坊したのかと思い気や,哀れ彼女は前夜より新型(?)インフルエンザに罹り、病院のベッドで呻吟していたのだった。何たるアン・ビリバボー、いや間違い、何たるアンラッキー!!

○月○日 私は思い付いてテープカットの際に、最後の展示だからとて全員に挨拶してもらった。丸山店長は「全国の百貨店でこのようなジョイントは初めてだった」と言い「毎回6000〜8000人の来客を迎え、シャワー効果で店が潤ったことに感謝する」と述べた。思い返せば、5年前『丸井』が衰退の様子を見せ始めた時、『丸井』集客の幾分かでも助けになれば、とて「ふくろう文庫」収集の逸品の展示を考えついて、「ボランティア運動の身だから、場所代は出せぬが必ずお客を呼ぶ自信があるから」とて交渉に赴いた時、「前例がないから」とて難色を示した丸山店長も、こちらが説くに連れて耳を傾け、実現にこぎつけたのだが、結果として店長の言の如き結果を生み得たことは、まっこと、幸せとせねばならぬ。

○月○日 「客を連れてくるから」と自信をもって言えたのは。その前年、輪西で中島家の寄付による富岡鉄斎の「贈君百扇」と小杉放庵の「奥の細道画冊」展示で、短期間ながら700余人もの来客を見たからだった。元室蘭医師会会長の中島氏の遺族が、亡き母を偲んでの寄付よるこの展示があってこそ、『丸井』の企画も頭に浮かんだのであって、ここで、中島家にも感謝したい。

○月○日 我妻市議会議長は、「残念ながら『丸井』は撤退するが、“ふくろう文庫”は不滅です」と心励ますことを言ってくれた。こうした応援を背にしている「ふくろう文庫」は目下4,200冊を超え、定価にして、8,000万近い美術書他を図書館に寄贈している。今や、これだけの固まりを持った美術書のコレクションは、全国にも少なかろうと自負するものだが、以後増々「ふくろうの会(柴垣美男代表)」一同結束して1万冊の蔵書を目指したい。何卒旧倍の支援をここで伏してお願いする。

○月○日 実は今回「ふくろうの会」の事務局長・田村博文さんと私は、ハイドンの名曲「驚愕」じゃないけれど、もう一つ〔喜こび〕+〔楽しみ〕のサプライズを来客に提供出来はしまいかと考えていたのだが、時間のおくれで実現できなかった。しかし不滅のふくろう文庫であるから、機会は次から次へとやってくる。とすれば、日時を得るごとに喜びも悲しみも、より大きくなるものとなろう。結論として、田村さんと私は、来年に足場を移すことにしたのだった。願わくばこのサプライズの一日も早く来らんことを!!

○月○日 美術の喜びが広く大きく広がらんことを!と願って始めた「ふくろう文庫」ワンコイン美術講座も、11月の「山下りん-悲劇のイコン(=聖像)画家-」をもって第15回を終える。これを書いている今日は11月9日(月)だが、11月14・15日には、一足早く「山下りん」を聞き終えた苫小牧の受講者達と、札幌ハリストス教会所蔵の山下りんのイコンを観がてら道立美術館での「ジョルジュ・ルオー展」と「芸術の森」での「山本正道展(彫刻)」を観て、定山渓での歓談の一夜を過ごす修学旅行に出かける。『丸井』にも苫小牧の受講者達が沢山来てくれたから、車中でも宿でも、美術の話に花咲くことは間違いない。苫小牧の小笠原先生の誘いで、横浜から見に来た人がいた。

○月○日 図書館での「若沖展」で私の説明を聞いた人が『丸井』に母親を車椅子に乗せて現れ、「若沖聞いたあとで、テレビで若沖をやっていてびっくりした」と言ってくれたが、自慢ではなく、「ワンコイン」で取り上げた画家達が、そのあとテレビや新聞で取り上げられたことは多々あって、「ワンコインの方が早い」との評価が生まれていることは事実だ。家庭やら職場での日常会話に美術の話題がふんだんにあふれるような社会を目指して、来年も、種々のテーマを取り上げたい。民度=文化度高い室蘭市となることが私の願いだ。


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