司書独言(100)

`09.12.寄稿

○月○日 私は読んだことがないが、島田雅彦に言わせると、茂木健一郎なる人物は、「〜脳に電極を埋め込む様な要素還元的な研究とは一線を画し、自分の脳を使った思考実験を通じて、脳の働きを考えるその姿勢は〜」と言う様なお人らしいが、こう言う文章には”Oh, no”としか言えぬ私でも言えることは、4億円の所得の申告をチャッチャとやれ!と言うことだ。不肖私とても雀の涙程の講演料でもちゃんと申告しておる。茂木は「脳の中の欲望」なる著作を物しているが、これ、縮めて言うと、所得は隠したいと言う欲望のみを指すんではないのか?奇才、いや間違った秀才には適わんね。因みにこの「秀才」なる言葉、中国の科挙の試験で一番下位の試験に受かった者の呼び名であるそうな。もう一つついでに、茂木の研究する脳の「クオリア」とは「人間の感覚に伴う質感」の由?申告隠しの脳ってのは、単に悪がしこいと言うのじゃないの!秀才は人を出し抜くからなあ!!

○月○日 私はジーンズとジーパンの区別がよく分からぬが、辞典を引くとジーンズとはデニムで作ったズボンや服で普通仕事着や遊び着用に用いられるとある。じゃデニムって何だと思って又辞典を引いたらフランスの町ニームで作られた丈夫で洗濯によく耐える厚手の綿織物で、フランス語のSerge  de  Nimes=ニーム産のサージの略だと。して又サージは綾目が横糸に対してほぼ45度になっている綾織物だと。昔アメリカの綿花摘みの黒人達がジーンズをはいているのは、染料の藍が、虫を追っ払うからだと書いてあったのを読んだ記憶がるが....それはともかく11月11日の新聞に、ディスカウント店のドン・キホーテが¥690のジーンズを売り出したと出た。ヒエーと思っていたら、それより早く、ジーンズの似合う著名人を表彰する「ベストジーンスと2009」なるものに鳩山幸夫人が撰ばれていた。撰ばれた当人のコメントは「憧れの賞だった云々」と。ありゃりゃと思っていた所へ、各賞受賞ドキュメンタリーで、中国のジーンズ製造工場の実態を追った「女工哀歌」なるDVDが出たので観た。

女工達に課せられている労働がすさまじい。昔の日本の「野麦峠」や「近江絹糸」の実態もかくやと思われる程の時代離れした過酷さだ。居眠り防止のために洗濯鋏で瞼をつり上げている。確か深 ?の工場だ、と思っていたら、レイチェル・ルイーズ・スナイダー著「放浪のデニムーグローバル経済に翻弄されるジーンズの世界ー』(エクスナレッジ刊/¥2,100)が出た。観るにつけ、読むにつけ、ジーンズなるものどうも「友愛」の精神からかけ離れたもののようだ。もっとも、チョコもココアもバナナもエビも生産の実態は似た様なもんだ。

○月○日  今、私の目の前に、「蘭学事始め」なる本がある。私は「蘭学」つまりは和欄(オランダ)日本に伝わった諸学についての文献を、目につく限り買って読んでいるので、この書名をかの杉田玄白の関係の本かと思って取り寄せたのだが、案に相違して、これは欄は欄でも文字通りの花の欄だった。著者は化粧の「資生堂」の取締役会長の福原義春。まあこれはこれで悪くない。この人は読書離れ、活字離れに歯止めをかけようと、民間パワーを結集した財団法人「文字・活字文化推進機構」の初代会長に2007年に就任した人で、「人は食べ物から体の栄養を取り、本で人間らしさを養う。人間らしく生きるには両方欠かせません」と言う御仁だ。この言や佳し!で、私も全くそう思う。

○月○日 12月12日土曜日。「ふくろう文庫ワンコイン美術講座』受講生のクラス会を、いつもの「ぷらっと・てついち」の集会室でやった。集うもの26人。軽妙な司会の田村さんの指示で、先ず「ふくろうの会」の芝垣さんから、有益な可笑し味に満ちた開会の挨拶。乾杯は日頃から当文庫に多大の理解を寄せてくれている東先生と言う具合で、そっちこっち議論風発、イヤ楽しくて笑った笑った。そして食べた、吞んだ!!

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