司書独言(169)

⚪︎月⚪︎日 京都の下鴨神社で恒例の「蹴鞠初め」が1月4日に行われた由。中国渡来のこの遊び、鹿革の鞠を蹴り上げ続けて地に落とさぬようにするもので,平安時代に貴族間で普及.崇徳天皇の時の大納言・藤原成通が上手だったので、その子孫の公卿連中は師範=家元となって数十世代続いた。代表格が難波家と飛鳥井家。思うに三浦、沢、ちょっと変形で五郎丸だの、世が世なら公卿だ。なんだかおかしいいね。

⚪︎月⚪︎日 2013〜14年,大英博物館で「春画展」が開かれ大成功をおさめた。その学術的な図録(小学館刊/¥25,000)を昨年注文したら、高額なのに既に売り切れ。この成功を受けて、細川護熙元首相が理事長の「永青文庫」で、日本初の春画展が昨年開かれ,これもまた大成功。細川と美術研究者31人が都や警察庁と連絡を取り、万全の体制で臨んだ由。細川もいいことをしたもんだ。細川初めての善行ではあるまいか。それにしても日本人が生んだ世界最高級と称される芸術を、当の日本人が自由に見ることがかなわぬというのは変な話だね、

⚪︎月⚪︎日 大阪安治川河口の天保山は、確か4m余の小山(?)丘(?)だが、それでも登山証明書が出る。安治川の浚渫(しゅんせつ)で出た土で、1831年に築かれた。北京の景山は故宮の堀を掘った時の土で築かれた。4人組の江青が確か此処で捕まったと記憶するが、普段は市民憩いの場所だ。ところで長野、山梨とリニアで出る土、どう処理するつもりだろう。山は余っているしな。まさか、安倍の古墳をつくろうってんではあるまいな。

⚪︎月⚪︎日 2011年に英国の自然写眞家ディービット・スレイターが、スラウェシ島の写真集を出した。中にクロザルが「自撮り」したものがあった。クロザルが偶々置いてあったカメラを持ったのが「自撮り」になってしまったもので、面白いといえば面白いが、只それだけのこと。

⚪︎月⚪︎日 ところが、全米動物愛護団体「動物の倫理的扱いを求める人々の会(PETA)」が、この写真はクロザルに著作権があり、スレイターはそれを犯したとして、訴訟を起こした。閑というかご苦労というか...理屈は省くが裁判官はこの訴えを却下した。

⚪︎月⚪︎日 この馬鹿馬鹿しい訴訟で思い出した裁判がある.1925年、アメリカテネシー州の猿裁判だ。公立学校で進化論を教えた教師が、聖書の記述を絶対視する団体から訴えられたのだ。その言い分は、人間は猿から進化したのではなく、神が創り給うたもので。この教師は聖書を否定するけしからん輩だから、教師資格を剥奪せよ云々。

⚪︎月⚪︎日 この事件、映画にもなって、教師の弁護士役のスペンサー・トレイシーの演技が見事だった。さて申(猿)年。アメリカではこの聖書絶対視の連中が今も勢力を持っていて、かの脳足りんのブッシュを支持したのもこの団体。そのブッシュに猿回しの猿同然に引き回されたのが小泉という図だが、今またアメリカにはカルタ、花札、いやトランプなる白人至上主義の男が現れた。他の国ながら嫌な雲行きだ。

⚪︎月⚪︎日 日本医大特任教授・海原純子が書くには、さるスポーツクラブのレストランでビュッフェスタイルの朝食をした所、隣席のカップルが茹で卵を6ケずつ持ってきて、白身だけを食べ黄身は全部残して去ったと。スポーツクラブだから健康志向で当然、何か問題ある?と当人たちは言うだろうが,端から見りゃ矢張りもったいない。

戦争中は兵隊も餓死したし、民間人も空腹にあえいだ。今市立病院がある所は、昔は鉄道官舎で,どの家も前庭で芋他を植えて自給自足していた。

先日「花抜いて芋植える日が来ぬように」なる投稿句があったが,この句の意味する所、このカップルには通じぬのかも知れんな。

⚪︎月⚪︎日 「ふくろう文庫ワンコイン美術講座」で牧谿(もくけい)の国宝「猿猴図」を語るので、猿のことを色々まとめていた折も折、庭の干し柿を狙って5匹の猿の親子がやって来た。孫たちが喜んで一騒ぎの後、猿たちは去ったが、一番下の3歳の子が家に入らない。何でだと思ったら「ゴリラ?」と言った、という投書があった。いい話だなあ。

⚪︎月⚪︎日 これ書いている今日。道内大荒れの1月20日。思い出したのは,旭川駅の改築前、根室管内の図書館大会に講師として呼ばれた時のこと。

確か2月、何やら悪い予感がして前日は旭川泊まり、翌朝旭川駅のホームで待っていると、今くる網走行きの後の列車は吹雪で運休ですと言う。名札を見たら同じ山下。で乗って遠軽へ着いたはいいが、迎えがない。暫くして来たが、吹き溜まりに突っ込んでJAFに助けてもらったと。で会場に向かったが雪で何も見えず、といきなり急ブレーキ、前を見たら、真っ白い猫が歩いていて、こりゃ一体何?。結果は道路封鎖で参加者は誰も来ず、館長と話をして、昼飯食べて旭川まで戻った。という珍な体験。

⚪︎月⚪︎日 昨年、札幌円山動物園でグランドシマウマ、マサイキリン、マレーグマが続いて死んだ。聞いて呆れたのは、ここ専任の獣医が居なかったこと。何やらやる気のある司書を置かず知の拠点たる図書館を、単に営利目的の企業に外部委託する図書館の行末を見たような気分にさせられた。

 

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