第324回行平と地獄とジャガイモの話

2012.10寄稿

9月末、新聞で芸能欄の邦楽「第3回長唄伝承曲の研究会ー江戸のしゃれた音色ー」を読んでいると、「〜この会らしく埋もれた名曲を選んでの演奏だった」の文のあとに「〜謡曲の松風。物狂いの霊となって行平を助ける松風の哀れさがにじむいい曲だ」とあるのを読んで、とたんに50年も前に読んだ本を思い出した。寺西五郎著「語理語源1 」いかなる連想か?

[tmkm-amazon]B000JAKL2I[/tmkm-amazon] 続きを読む 第324回行平と地獄とジャガイモの話

  1. 寺西五郎.語理語源.雪華社(1962) []

第323回函館相馬哲平.市浦村の偽書.ニホンカワウソ.etc

2012.9月.3日寄稿

フランスはプザンソンの美術館が所蔵する蠣崎波響(かきざきはきょう)の「夷酋列像(いしゅうれつぞう)」里帰り展が函館であるというので行って来た。 続きを読む 第323回函館相馬哲平.市浦村の偽書.ニホンカワウソ.etc

第322回 刺青・俳人・バイオリンの関係本

2012.8月6日寄稿

拙著「本の話」は2004年5月20日の発行だが、出て間もなく、芦別の元高校の先生と言う人から手紙が来た....中には..山歩きでもしようとカルルス温泉に来て「山静館」に泊ったが、生憎の雨で2日間どこにも出られず、退屈しのぎにロビーに出てみたら、「本の話」が置いてあって、「一読.巻おくあたわず...で非常に面白かった」で「貴方(私のこと)と私「(元先生のこと)は同じような年格好だが、はるかに沢山読まれていて、自分は何と怠惰であったことか、と反省...」云々。手紙を読んで数日後、私はカルルスの件の宿に日帰りで行って見た。 続きを読む 第322回 刺青・俳人・バイオリンの関係本

第321回  夏の思い出

2012.7月寄稿

8月だ、夏だ、アイスの季節だ。アイス・キャンディーで必ず思い出すのは。父の戦友で、我々兄弟が「キンニョの小父さん」と呼んでいた溝口さんだった。確か、室蘭駅の助役さんだったと思うが,開運町の国鉄の官舎へ帰る途中,時々我が家へ寄って油を売っていた。「キンニョ」とは、この人「昨日=きのう」という所を「キンニョ」となるからで、なんでも瀬棚の方のナマリだ、と本人は言っていた。 続きを読む 第321回  夏の思い出

第320回「泰山は土壌を譲らず〜」そして「大山鳴動して〜」

2012.6月寄稿

前回は,拙著「本の話」の愛読者と称してから「ふくろう文庫」に、と贈られた「臥雲山荘―水郷の数奇屋ー」なる一書を紹介しつつ,伊予が生んだ蘭学者の話しをしたが,その後来た恵美子女史の手紙の中に「泰山は土壌を譲らず」の言葉が引かれてあって,私はそれで或ることを思い出した。 続きを読む 第320回「泰山は土壌を譲らず〜」そして「大山鳴動して〜」