第060回 柿は「生活樹」

`94.11月2日寄稿

秋晴れの或る一日、私は足腰が弱ったため、近郊の温泉の療養所に居る母を見舞いました。土産は母の大好物の柿...と言っても、それはトロトロになるまで溶けた柿を冷やしたものです。それをスプーンですくっては、満足気にすすっている母の口元を見ながら、私は一冊の本を思い浮かべていました。今井敬潤の「柿の民俗誌ー柿と柿渋ー」です。 続きを読む 第060回 柿は「生活樹」

第125回 最近読んだ本から4冊.アトランダムに

`98.2月19日寄稿

我が家の床の間に変則ですが大小様々な「こけし]が200本程並んでいます。中でも一番堂々たる体格のものはが尺5寸の「木地山」こけしです。作者は、故小椋久太郎で、こけしの背には「昭和47年5月5日.為敏明氏」と書いてあります。久太郎氏の直筆です。 続きを読む 第125回 最近読んだ本から4冊.アトランダムに

第298回 秋田蘭画 小田野直武遠慮の真因は?

`10.6月寄稿

私は過ぐる3月27日(第4土曜日)の「第16回ふくろう文庫ワンコイン美術講座」で「秋田蘭画」を講じた(次ページ、室蘭民報の関連記事及び「本の話」参照)。そして、その日の入場料で「ふくろう文庫」に次の三冊を購入して収めた。 続きを読む 第298回 秋田蘭画 小田野直武遠慮の真因は?

第196回 私の選書リスト

`02.2月15日寄稿

最近は変わった遊び(と言ってよいかどうか)が流行っていて,それは何かと言うと、タレントに1万円なり2万円なりを渡して,本屋をのぞかせ,その限度内で何処かで何冊、何を買ったか...をみるものだ。A誌でも、B紙(読書欄)でもやっているし,本屋で立ち読みした「さくらももこ」とやらも、同じようなことをしているから,人気がある企画なのかも知れぬ。 続きを読む 第196回 私の選書リスト

第197回 バルザックを読む(19世紀前半フランス社会)

`02.3月15日寄稿

大学、1.2年の頃、私は、コーヒー屋の灰皿を蒐めたいた。昭和30年代には「名曲喫茶」なるものが、上野にも、神田にも新宿にも、銀座にもあった。曰く「ローマ」曰く「ウイーン」曰く「ランブル」etc. 銀座並木通りにあった「ウイーン」などは、ウエイトレスがドレスを着ていて、週に一回は、プロが来て、ソロなりカルテットなりで、の演奏を聴かせるのだった。 続きを読む 第197回 バルザックを読む(19世紀前半フランス社会)