第333回 平山郁夫の真実 ジョルジュ・シムノン

2013.7月寄稿

6月17日の「ふくろう文庫〕5,000冊達成の祝賀会も無事終了.なにしろ、発起人の芝垣美男さんの働きぶりは、正しく発起人とはかくあるべし、と感歎させられる迅速なもので、我々何の不安もなく、本当にありがたかった。ありがたかったと言えば、出席してくれた人全員に対してもそうだが、他に都合が悪くて出られず失礼、との返事と共に(あるいは出席しつつも)、『祝』とて文庫に御芳志を寄せてくれた人もいて、誠に感謝に耐えない。

折を見て、その『祝金』で買えた本を、巻物などを紹介しようと思うが、今回はその第一弾。野口観光(プリンスホテル)の野口秀夫社長からの一点「宋元名画巨冊選」。宋時代の徽崇(きそう)皇帝が宝とした韓幹の「放馬図」を初めとして、台北・故宮博物院が秘蔵する唐

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五代、宋、元時代の屈指の名画14件を収めた貴重な画集だ。野口社長の文庫に寄せてくれる好意は大きく、既に「弘法大師行状絵巻」や「両界曼荼羅』などの。文化的大作が揃っている。ありがたい限りだ。

ところで、祝賀会で祝辞を述べてくれた北海道新聞の目黒さん(報道部長)が会の 翌日「ふくろう文庫」を観に来てくれて、20日の夕刊に左記の文章が載った。理解の行き届いた文章で、これ又ありがたかった。すると、札幌の某からTELが来て、「美術全集」を贈りたいとの話だったが、聞くと、既に所蔵のものだったので残念ながら謝絶した。

そのあと、大変な本が贈られて来た。函館の敦澤さんからのもの。

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左がそれで、「日本書票協会通信」の2011.1.1発行、NO154に載っている紹介によると、

「版画家・敦澤さんが書票集を刊行した」とて「○和綴じの美麗本、帙・外箱入り、○オリ     ジナル11点(木版画)を貼付け、○限定75部(このうち35部のみ頒布可能、

○価格¥25,000」順に説明すると、書票=蔵書票=書籍に貼付して書籍の所蔵主を示すた     めに印刷した小票。ラテン語でex-librisエクスリーブリス(広辞苑)

獅子頭=木で刻み作った獅子の頭。獅子舞に用いる(広辞苑)。序でに言うと、「日本書     票協会」はこの書票=蔵書票を愛する人達の集まりで、戦前からあり、更に世界各国にも     同様の会があって、作品発表、交換などをしている....。

さて、敦澤さんは、道新(夕刊)の目黒さんの文章を読んで、「〜『今日の話題』でふく     ろう文庫を知りました。お役に立ちますかどうかお恥ずかしいのですが、私家本蔵書のお     仲間に入れて頂けましたら幸いと存じ、同封申し上げます。立派な取り組み活動が、益々     盛況となりますよう、お祈り申しあげます。」の手紙と共に同書を送ってくれたもの。

勝手に引用してしまったが、この手紙が又、見た事もない程のいわゆる「水茎の跡」麗しく、と言ったもので、私は感謝と同時に、ほとほと感心した。蛇足ながら....「みずくき=筆、筆跡、手紙」、「みずくき=筆で書いた文字の美称」もう一つ「私家本=私人の出版の意。(商業出版とちがって)(何かの記念のために)個人が自費で出版すること、又その出版物=私家版、自家版』(新明解)

敦澤さんの本を見て三嘆(見聞したものの立派さに打たれ、自分もあやかりたい(でもとうてい出来ない)と心から感心する事(新明解)した。四嘆、 五嘆なる言葉はないが、そうゆう感じだ多謝!!

因みに、道新の目黒さんは”伝説的取材力の持主”との評判の名記者だ、と聞いた。いい人に取材されてラッキーだった。

さて次。つい先日、7月14の新聞に,「故平山氏の遺産隠す」との見出しで,シルクロードや仏教を主題とした作品で知られる日本画家で文化勲章受賞者の故平山郁夫氏の妻(87)が相続財産のうち現金約2億円を申告しなかったとして,東京国税局から遺産隠しを指摘されていた事が,13日分かった。重加算税を含めた追徴課税は訳1億5千万円で,既に修正申告し納税したという,と出た。又,作品の著作権についても約1億円の申告漏れを指摘されたが,妻側は処分を不服として国税不服裁判所に審査請求したもようだ、ともある。ナンニシテモスゴイネエ。

平山は2009年の正月、毎日新聞の「この国はどこへ行こうとしているのか」シリーズに出て,戦争に負けて豊かになった日本だが,失ったものは多いとして「人間性や精神性、倫理観...ごまかしたり,お金をもうけたり〜」と嘆いていたがな。因みに奥さんは平山と結婚当時,アルバイトで家計を支え,定期預金の『満期の違う通帳が見る間に増えていきました」と書いている。

私は,現金1億6千万円をアディダスの袋に入れ,仏壇ではなくクローゼットに隠していて、空き巣にやられた宗教家・ひろさちやを思い出した。「平山郁夫の真実1


次は,朝日新聞社が今年6月18日、私が好きなミステリー作家なる特集をしているが,日本では東野圭吾が筆頭,外国人では4位にアガサ・クリスティ...で20位まで発表されたが,私の愛する作家はいない。その作家とはジョルジュ・シムノンの事。先日来日してたビルマのアウンサン・スーチー女史が,6月に訪仏した時,オランダ大統領がシムノン全集・27巻を贈った。もらった彼女は「とても満ち足りた気持ちで第1巻目を枕元に置いた」と書いている。そういう大事なシムノンを外してどうすんの?と私は思うがなあ。「シムノン本格小説選」すでに6,7冊出ているのを読んでみれば、私が残念がるのが分かる筈。

「青の寝室2 」

 

 

 

 

 

 

  1. 大宮知信.平山郁夫の真実.講談社(2012) []
  2. ジョルジュ・シムノン.青の寝室.河出書房新社(2011) []

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