司書独言(235)

◯月◯日/ 私が室工大在任中に、庶務課の臨時職員で、学内各所に郵便物や連絡書類を配って歩く男がいた。私のところにもよく来たが、いつも「世が世なら俺はこんな仕事をしている男ではない」と言いたい事がありありと伝わってくる男だった。それである時話して行くようにすすめ、色々と聞いてみると、東北大の物理出身だと分かった。成る程気位の高いのはそのせいかと思ったが、いつしか辞めてしまった。

◯月◯日 それが、私が定年後市立図書館に招かれて移って或る日、その男が来て、今は市内の印刷会社にいるといい、「実は」と切り出した話に私はびっくりした。この男は東北大在学中から研究していることがあって、それは「マリア様の処女受胎」を実証することだと言う。世界には同じ事に血道をあげている人がいることは知っていたがこんな身近にその実物がいるとは思わなんだ。その後この「マリア様」奇跡の実証にこの男が成功したかどうかは知らぬ。

◯月◯日/  物理と言えば室工大の物理の講師だった男も思い出す。早稲田の二部を出た男で、私のところへ最初来た時コーヒーを出すと「飲めない」と言う。たまたま同席していたK子が「病気なのか」と聞くと「モルモン教徒だからだめ」と言う。成る程!と私とK子は納得(?)した。ところがこの男2年も過ぎると「統一教会」に入ってしまった。確か「オーム教」にも慶応の物理出の信者がいたと思うが、物理をやった上でのこの現象どう解釈すればいいのかね。

◯月◯日/ その「統一協会」は今「世界平和統一家庭連合」とやらに改称しているが、その関連団体が開いた大規模集会に、あの馬鹿で嘘つきのトランプがビデオメッセージで出て祝意を述べ、その後にこれ又先天性虚言症の安倍が登場して、協会の開祖故文鮮明の妻で現在同会総裁の韓鶴子に「敬意を表する」とのメッセージを出したと9月8日に報じられた。トランプの後に出て何が嬉しいのかね。

◯月◯日/ これに対して「全国悪徳商法対策弁護士連絡会」が、この安倍の行為は「今後日本社会に深刻な悪影響をもたらす」と指摘して激しく抗議した。賛成だ。しかしまあ、安倍のトンデモ妻君の昭恵はオカルト好きの女だから、安倍もそれに感化されて、「尊敬している」と言うのは案外、社交辞令でなくて、本気かもしれんな。

◯月◯日/ 今日は9月28日(火)。大谷はまだ9勝、ホームランもまだ2位、待ち遠しいと思いつつ新聞の切り抜きを整理していると、川柳欄に「ニトーリューきっと英語の辞書に載る」(尾根沢利男)がある。全くだ。うまいもんだ、英語辞典の最高峰「OED=オックスフォード英語辞典」にだってきっと載るわと思いつつ、ところで、「二刀流は」英語で何て言うのかなと「百科和英」(旺文社)を見た。すると、左右両手に長短の刀を持って戦う剣術の流派。宮本武蔵の創始と言われる。の後に「a school of fensing  with a sword in each hand」とある。そりゃそうだが、もうちょっと面白い説明があるかと思った,で余り面白くなかったね。

◯月◯日/ 9月上旬、国後島から対岸の標津まで約24kmの海を泳いでロシアから逃げて来た男がいたと報じらてた。38歳のフェニクス・ノカルド。「プーチンもう嫌」がその理由で、約23時間泳ぎ続けてきたという。何たる体力!!これで高2の時読んだアメリカ人の書いた「ロシア人」(だったか忘れた。今手元に岩波新書総目録がないのでわからない)を思い出した。ロシアの国民性他を書いた本で、例えば「ロシアの女の軍隊が行進して角を曲がる時には、まづ胸が見えてくる」とあった。ロシア女が皆々巨乳とは思えないが、まあ、その体格の良さを言ったのだろう。

◯月◯日/ 又「ロシアの軍隊は撤退するとなれば、追われる事を防ぐために、鉄道のレールを外して肩に担いで逃げる。しかも、三日三晩走り続けてもへこたれない」ともあった.読んで、古くはナポレオンの遠征、近きはヒトラーのロシア攻め、更に満州に侵入して来て日本人を平らげた。etcを思い出して、この体力相手じゃとても勝ち目はないなあと、高2の時にそう思ったことだった。日本兵の記録でも撃沈されて、海に放り出され、何時間も漂ったなんてのがあるが、この男は泳いで来たもんな。イヤイヤ驚き!!

◯月◯日/ 9月6日、ジャン=ポールベルモンドが死んだ。88歳。新聞に「従来のスター俳優とは似ても似つかない顔付きだったことがファンの熱狂に拍車をかけた」とあって、対して「端正な顔つきの代表たるアランドロン」とある。つまりドロンは美男で一方は〜と言うところを遠回しに言った訳だが、同じ日の川柳欄には「ブ男のヒーロー創った人逝きぬ」とあって、こっちはストレートではっきりとしている。何だか笑えたね。

◯月◯日/ これ書いている今日は9月30日。15号台風のおかげで室蘭も昨夜来から雨だ。ところで前号で私の高校時代の書道の先生「若干」のことを書いたが、思い出したことがあるので足す。それは漢字学者の「白川静」著「文字問答」(平凡ライブラリー2014年刊)¥900+税⑦p59)にある話。「いくらか」「多少」という時に「若干」といいますが、どういう意味でしょうか」がそれ。

◯月◯日/ 白川はこれは中国では古い言葉で、「礼記」に既にあり、それは天子様の年を聞かれた時は年齢を明示せず「衣の背丈は若干です」と間接的に答える。と言うのは,至尊(=天子様)のことは何事によらず明から様に言わないのが例だからだ。と説明して、更に幾つもの古典を引用して結論は「若干は誠に古い語ですが、今でも本来の意味のまま使われている、大変珍しい語の一つです」とくる。この話に若干でも興味を感じた人は読んでたもれ。

◯月◯日/ 今、北海道では熊による事件が頻発している。新聞の見出しは例えば「札幌の住宅地でクマに襲われ4人負傷」「犬襲ったクマ18、19年と同じ」「襲撃のクマ同一個体か、3年間で牛52頭死傷」「縄文遺跡、クマ出没で閉鎖」etc。それで思い出したのは中西進の「古代往還(中公新書、2008,¥840+税)。第2章が「森羅万象」で最初にクマが出て、アイヌ語のクマは「カムイ」、古代韓国語では「コム」で意味は両者とも「神」。中国では熊を祖先とし、一族の霊として崇めたらしい。この現象は東アジア3国だけではなく、英語のbearも本来の意味は神。

◯月◯日/ 日本に来たマッカーサーはマック・アーサーでつまり、アーサーの息子で、アーサーは「クマ」のこと、だと言うからびっくりだなあ。と言う訳で、この本も興味なる人は読んでたもれ。蛇足だが、中西進は、年号「令和」の発案者、あの歴史探偵の半藤一利が、東大で卒論に「万葉集」をやろうとしたら、やめろと言った同級生がいて、半藤は知らなかたが、同級生曰く「中西は万葉集の全4,700首を全部暗記している男だから」云々。敵わんなあ。

◯月◯日/ ジャーナリストの伊藤詩織に性的暴行を加えたのはTBSの山口敬之。この男は安倍のメンコ(北海道弁でお気に入り)。何故かこの男安倍ベタボメの「総理」なる本を書き、それを安倍の事務所が何百だか、何千部だかを買い上げたと言う仲だ。このことはこの欄で昔書いたことがある。この男、伊藤に訴えられて、確か米国から帰国して成田で捕まる前、どう言う訳か、この逮捕が取りやめになった。その理由を当時の週刊誌は安倍の意向を受けた当時の警視庁刑事部長の中村格が握りつぶしたのだと報じた。その中村が9月下旬警視庁長官に出世した。「メンコ」の威力だ。

◯月◯日/ ところで伊藤のことを「枕かせぎ」と貶めたのは、これまた安倍のメンコの卑劣な杉田水脈だった。非道い事を言う、と聞いて呆れ、かつ腹が立ったが、当時私の周囲の50代、60代のオバサンで伊藤に味方せぬ者が数人いたのにはびっくりした。彼女らの言い分は「山口も悪いが、伊藤も脇が甘い」とだった。これは相撲から来た言葉で「守りが弱い様」を言う。然し伊藤は酔って寝てしまった(らしい)所を昔風に言えば山口に手込めにされた訳だ。こんな卑劣な山口を非難せずにしたり気に伊藤を叱る女は仲々非情な者だなと想ったものだ。

◯月◯日/ 山口は酔いつぶれた伊藤を〜と言う事らしいが、これで罪になるのか。私が暇な時に(と言っても私には暇な時など全くなく、暇を持て余すという経験は一度もないが)拾い読みする、「流行語・隠語辞典」塩田勝(三一新書1981)がある。その辞典の「強姦」の所に「気絶している女性を犯したら、暴行脅迫などの強制手段を用いなくても、相手が心神喪失抵抗不能の状態にいるのを”それ幸い”とばかりに犯した場合として、準強姦で処罰される(刑法178条)とある。この条項が変わっているかは知らぬが、何にしても山口の罪は許せるものではない。

◯月◯日/ この辞典を拾い読みすると書いたが、1.2面白いのを紹介しよう。日本には民謡で「コラ、サッサー」など色々古い囃子詞(はやしことば)を使う「ホイホイ」もその一つだ。ところがこの「ホイホイ」。ロシアでは性器を意味するスラング(俗語)だ。それで、ダークダックスがソ連時代、行って日本民謡を歌った時「ホイホイ」と手拍子でやったら満座の女性が赤面したと言う話が出ている。

◯月◯日/ 調子に乗ってもう一つ書く。「コ」の項に「コン」がある。これはフランス語で、スペルは「con」で意味は「女性器」。これで思い出した,真偽定かならぬ話がある。作家の今日出海が文化庁長官になって、渡仏した時、飛行場で起きたとされる事件だ。何の必要あってか、場内放送があって、「お呼び出し致します。今様、今様、おいでになりましたら」と言うこの「今様」は「monsieur   con」でムシューはMrだから「オー◯◯コ」様となる。聞くや満場立ち上がって、となって、これを教訓に以後苗字が「今」の人はパスポートに「イマ」とルビをつけるようになったという話。

◯月◯日/ 然し、今日出海は確か東大仏文の出だ。「con」を知らずに行ったとは考えられぬ。この話の出どころは知らぬが私は室工大在任中の30代に知った。それで我が家に飲みに来た学生達にこの話をしたら、中に一人「満場立ち上がるとは信じ難い」というのがいて「何故?」と聞くと、「con」を聞いて立つのは男だけです」と妙な理屈を言う。この学生、その年の大学院の試験に落ちた。屁理屈の論文でも出したか。私思うに、ナニカニツケ「理屈ぽい」のはよくない。

◯月◯日/ 今日は10月2日。昨日変わったニュースが出た。旧約聖書の「創世記」に死海周辺の都市ソドムとゴモラの市民が余りに不道徳なので怒った神の火で焼く尽くされたと言う話が出てくる。ところがー英の科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」に国際チームの共同研究の結果として。約3,600年前、隕石が大気中で引き起こした爆発で、死海周辺の古代集落が破壊されたとわかったと発表したこの古代集落に当てはまるのが、例えば「ソドム」だと言いたいようだ。

◯月◯日/ 話を戻して、旧約聖書にはソドムとゴモラの市民達が悪徳にふけったとあるが、ではその悪徳とは何か。先に引いた辞典に「Sodomy」(ソドミー)なる言葉が出てて、その意味はソドムの市民が好んだ「男色」「獣姦」「鶏姦」だとあって、学名は「sodomia」「創世記の」「19」の「4」にこのことが書かれている。神からすればこれらの行為は正常ならざるもので、それゆえ神は劫火を持って両市の市民を焼き殺し尽くした訳だ。

◯月◯日/ 然し、思うに、これは神の仕業でなくて、自分達の行為のみが、正常で、かつ神の意に適得るものとする保守的な連中の思い上がった観点から出た行為だろう。「LGBT=性的少数者」を神の意志=自然に反しているとする者は未だにワンサといる。旧約聖書の時代の感覚まんまの人間は事欠かない。

◯月◯日/ 先の国際研究だが、チームの一人は「隕石の爆発が広大集落を破壊したことは確かだが、それがソドムだと言う科学的証拠はない」と逃げをを張っている。「ソドム」と断言して、世界中にいる旧約聖書至上主義者達から、攻撃されたくないのだろう。そのうち、ソドムとゴモラの美術史でも取り上げた見よう。

2021.10.2    山下敏明

 

 

第427回(ひまわりno243)内山書店76年ぶり復活。贋作事件簿他

2021.10.2寄稿

私は2004年に、地元の室蘭民報社から「本の話」を出した。これは同紙に平成元年(1989)から連載している専ら「本」に関する話を書いたエッセイ「本の話」の初回から1996年(平成8年)までの200回分をまとめたものである。 続きを読む 第427回(ひまわりno243)内山書店76年ぶり復活。贋作事件簿他

司書独言(234)

◯月○日/  8月15日の中国のニュース。江蘇省政府は、同省の観光地揚州市のデルタ株のコロナ対策が失敗だとして、副市長と共産党書記を解任処分したと。読んで「菅」も中国にいたら、疾うの昔に首だよなと思ったことだった。それが9月に入って漸く引っ込んでくれた。呉れたはいいが私の頭には「空は晴れても心は闇だ」のせりふが浮かんだ。これ、「金色夜叉」の貫一のセリフだったか。或いは何か浪花節のせりふだったか。私の言いたいのは「菅は消えても日本は闇だ」ということ。

◯月○日/   振り返れば、官房長官の時の問答無用の冷血漢菅の面と目を見ればこの男が如何にロクデナシか分かる筈なのに、メディアは本当は違うのに「叩き上げの苦労人」と褒め、又名誉欲にかられた作家の瀬戸内寂聴なる婆さんも菅を「品もよく、立派な首相づらしている」と何の見返りを狙っているか褒め、すると馬鹿な国民の6割がそれらを信じて支持し、と言う下らぬ現象が起きてしまったのだった。並みの人間なら「菅の顔は特高面だ」と言った作家の辺見庸の言葉の方が当たっていると思うところだがな。蛇足だが「特高」とは作家小林多喜二を殺した思想警察だ。もっとも菅の支持率は今2割になったから、4割の国民は正気に戻った訳だ。

◯月○日/  「菅は消えても日本は闇だ」と何故思うか、となればそのあとを引き継ぎたいと名乗りでた連中の顔ぶれが悪すぎるからだ。ここに前田勇の「江戸語の辞典」があるが、中に「み度でも無い」があって、意味は「見たくない」を強めて言う「見るのも嫌だ」の意だとある。これが更に変化というか進化というかしての言葉が北海道弁にある。石垣福雄の「北海道方言辞典」にある「ミッタクナイ」がそれで「醜い、見苦しい」つまり「ミタクナイ」程醜い訳だ。これが如何にぴったりと当てはまるかを、再度菅の後釜狙い候補の面々を見直して確かめてごらんなさい。

◯月◯日/ 何故か色男ぶってやたらニヤつく岸田。妙に自信ありげに見せたがる杓子づらの河野.いつも「睨めっこしましょ」的に目を向いて見せる石破。必要ないのにその厚い面の皮をほころばせて微笑もうとするも失敗してすぐに本音の冷たい表情に戻る高石(そういえば菅の微笑を見たことがないが、あれは悪念凝りすぎて顔が固まってしまったんだろうな)野田も高慢ではち切れそうな面だ。見たくないのは面だけではないぞ。この連中の思想も褒められたもんではない。岸田は核兵器使用容認で改憲論者、河野は外相時代に菅を真似てか対ロシア外交についての説明を一切拒否、一方韓国大使を呼びつけて「無礼ですぞ」と江戸の奉行所みたいに脅かして見せたりと、ともかく強がって見せたがる男、靖国参拝の高市は自民党の中でも今や歴とした極右、石破は沖縄の辺野古移設の容認派、etcで,その誰もが安倍に責任を取らせようとはしない、つまり(自民党の世が変わらん限り)「日本は闇なのだ」と私は思うがね。

◯月○日/   要するに、安倍、麻生、二階、と「見度でもない」連中が消えてくれないと、日本の一切合切がが好転しないということ。毎度積み重なっていくこの「ウンザリ感」、下手すると皆「死にたく」なるぞ。菅が消えることに対して、「ぶれずによくやった」なぞと、これまた何を狙っての発言かと思えるのを述べた鉄面皮な鈴木宗男だの、菅を褒めちぎるアトキンソン(昔菅に拾われた男)の様な馬鹿は別として、胸のすく感想を言ったのは、元文部科学省事務次官の前川喜平、曰く「〜国民の命、暮らしをないがしろにし、自分の権力拡大しか考えていなかった。首相の地位に恋々としがみつき、そのために権力を失った。「自業自得です。」この「恋々としがみつき」は菅がかつて前川を貶めたときに使った言葉だ。前川が現役の時、菅は読売新聞を使って、前川がキャバクラとやらに出入りしていると誤報を流した上、国会で前川をおとしめたのだ。

◯月○日/ 「わきまえない」なる言葉は脳天気の森が使って広がったが、考えてみれば菅が一番わきまえない男で、何を過信したか己の分際をわきまえず総理になり、なったはいいが結果、その職に座るべきではない、能力ゼロの男だと言うことを天下に露呈した訳で、改めて「よせばよいのに」と笑ってしまう。前川の言う通り「自業自得」だ。それにしても、教養のなさ言葉の不足、情勢を把握できない頭の悪さetc,「菅百馬鹿物語」でも直ぐに書けそうな程に、情けない男だったなあ。国会での答弁を見て、朝日の記者が、その無能ぶりについて、「〜痛々しい」と書いていたが、普段の態度が悪いから同情する気にもなれぬ。

◯月◯日/  嘘八百並べる先天性虚言症の安倍の後に、これまた、先天性国語力不足男が続くとは!!天は日本を見捨てたのか?と、問いたくなる、しかも、その虚言症がまだ大きい顔をしてキングメーカー(政権の重要ポストの人選に発言権を持つ人)ぶっているとは!

◯月◯日/  新聞で小学校に入学した長男が〜と言う投書を読んで驚いた。学校が推奨する鉛筆が「2B」だと知って、このお父さんは自分の時には「HB」か「H」だったのに、と不思議になって調べたそうな。その結果今時の小学生は筆圧が弱いので「H」ではダメとわかった。そしてその原因は、今水道で蛇口をひねることもあまりなく、タブレットやらの普及で、普段字を書くことがないからだと判明した。この筆圧で思い出したのが、高3の時の書道のE先生だ。Eのニックネーム「若干」で、それはEが「そこは若干跳ねて」とか「ここは若干力を入れて」とか、「若干」を連発するからたった。

◯月◯日/  或る日、授業が始まって若干過ぎて、「若干」が黒板に向かって何かを書き始めた時に、私は半紙を出したあとの紙袋を膨らまして、何気なしに割った。するとやった私が驚いた程に「パン」と大きな音がして、同時に「若干」が若干どころでなく、私の見た所では30cm程とび上がったのだった。振り向いて、「若干」は私が紙袋を手にしているのを見ると、「こら、敏明、出てこい」と言った。私は別に故意にやったわけではなかったので、悪びれず出て行った所、「此処に立ってろ」と言われ、黒板を背にして、皆の方を向いて,「若干」通り越して、終了のベルが鳴るまで立たされた。

◯月◯日/  と此処まで書いて、我が家にも遊びに来たことがある同級生だった「若干」の娘のH子を思い出した。鼻高のH子は我が家に遊びに来て観察した結果を「山下さんの机の引き出しの中はきちんと整理されている」(いつ見たもんだか)と言った具合に同級生のY子に報告していたらしい。それが大学入学後の或る年の夏休み、日進堂書店に行くとH子がいて、私が思わず「H子、えらくきれいになったなあ」と言うと、あにはからんや「若干」が書棚の影から現れて「こら、敏明、みだらな事を言うではない」と怒られた。それ以後H子にあった事はないが、H子は東京在住で今でも、東京での同窓会に(私は出た事なし)出席した誰彼に私への伝言をよこす。ところが、H子は何年前だったか、東京の仲間とエジプトに観光旅行に行ったとかで、その時の写真をY子が見せにきた。ピラミッドの前に2〜30人程並んでいて、中にはターバンを巻いた目鼻だけの女装したフセインみたいなのもいる。誰が誰やらわからない、それで聞くと、ナントそのフセインがH子だった。若干、「時の移ろい」を感じたね。

◯月◯日/ 私は酒は強い方で、何でも飲むが、昔はウオッカだとか、ラキだとか、強い酒をストレートで飲むのが好きだった。それで、人並みに宿酔(二日酔い)する事もあったが、そうすると、いつでも熱い湯に入って汗を流してから、コカ・コーラを飲んで「カッパ巻き」を食うと直る、まあ薬いらずの方だった。ところが最近そのコーラが嫌いになった。その訳は....今回の五輪で、鹿島サッカースタジアムに鹿島市内16の小中校生が観客動員される事になったが、市教委に対して、五輪側から、会場に持ち込み可能の飲み物はコカ・コーラであること。もし他社の飲料を持ち込む場合はそのボトルのラベルははがして来いとの指示が出たとのニュースを読んだからだ。発案の出処は知らずだが、ナントエゲツナイ事をするのだろう。今度宿酔したらペプシに変えてやるぞ。

◯月◯日/ コカ・コーラで思い出したのは米の「ベン&ジェリーズ」なるブランドのアイススクリームの話だ。この会社は「ブラック・ライヴス・マター=BLM=黒人の命も大切だ」運動やL GBTQ+(性的少数派の権利)保護を支持してきた会社だという。この会社が、イスラエルでの販売を取りやめると発表して国際的に評価されているという。事の次第は次の如し。

◯月◯日/ ヨルダン川西岸をイスラエルが1967年以来占領して入植を続けている。これは国際的に言うと違法だというのが多くの国の立場なのだが、イスラエルは聞かない。それでアイスクリーム会社はBDS(ボイコット・資本引き上げ制裁)の手に出てこれが評価されている訳。70年以上もイスラエルはパレスチナを傷め続けているが、これに抗議している一人に、路上画家のバンクシーがいる。「ベン&ジェリーズ」なるブランドを今迄知らなかったが、今後見つけたらパレスチナ支援の意味で食べるつもりだ。

◯月◯日/ アメリカは同時多発テロ後の20年間世界各地で対テロ戦争を行ってきたが、その戦費たるや日本円で881兆円だという。無駄金だなあ、更にその間死亡したアメリカ人は92万9000人で、その4割が民間人だという。軍人も含めて言っちゃ悪いが、無駄死に、犬死にだと思うなあ。馬鹿なブッシュの息子と戦争大好きなラムズヘルドに引きずられて、したくない戦争を始めて、挙句これだけの犠牲だ。

◯月◯日/ 数ある戦争の中、今問題のアフガン戦争でアメリカが使った金は250兆円、死んだのは米の軍人が約2,500人、アフガン人約24万人。先日これについての投書があって、その人は全長25㎞の用水路を作った中村晢医師がかけたお金は約20億円。だといい、もし武力に使った250兆円が、この平和事業にむけられていたならなあと嘆く。全く同感だ。ラムズフェルドはこの間死んでくれたが、ブッシュはまだヌクヌクといきている。

◯月◯日/ 図書館は「利用者の読書事実を外部に漏らさない事」を原則としている。戦争中読者ガードを使って、例えば特高たちが利用者の思想調査をした事などを教訓として出来た鉄則だ。要するに、読者の思想・信条に関するプライバシーを守ろうとするものだ。だから、警察が来ても令状なしの調査には応じない。然るに「親心子知らず」というか、最近「昔自分の読んだ本を知りたい」てな事を言ってくる利用者が増えているとして「貸し出し履歴を保存して提供する」サービスをする図書館が増えているという。私なぞは自分が読んだ本、自分が買った本位、自分で記録しておけと思うが、時代が変わってきたのだろう。

◯月◯日/ 私の友人ではないが知り合いに北大工学部を出た70代の男がいる。美術館、博物館、行った事なし、本を読むのは大嫌い、趣味はスケアダンス。その曲200曲を鼻で歌えると自慢する。その男が妻君を亡くして、女性の集まるグループに近づいたが、女達がつけたニックネームが、ストレートに「馬鹿男」(ばかお)。コンビニで買ったおにぎりの表面積を算出したりするのも好きだ。で、この男マイナンバー制度が始まると直ちに市役所に出かけて取得し、その事を自慢にきたので、「プライバシーが問題視されている制度だよ」と言うと、「俺は悪い事していないからなんの心配もない」と言う。こういう手合いは、先の図書館の履歴保存の原則などどこ吹く風だ。目下悪政を重ねた菅が始めた「デジタル庁」とやらについて、識者の多くが懸念を述べているも、こうした「馬鹿男」達には通じない。そのデジタル庁事務方トップの一橋大の名誉教授とか言う女学者が「著作権のあるものを無断使用した」と分かって公式謝罪した。個人情報だだ漏れのこの剣呑な制度、学者の多くが反対しているのに、黒柳徹子だの、あのヌードに近い写真集を何万部だか売った田中みな実という元アナウンサーが宣伝役に駆り出されている。思えば、黒柳徹子も体制順応派だもんな。

 

第426回 フランソワーズ・アルヌール、 さまざまな差別との戦い

2021.9.6寄稿

私が女の「おっぱい」を初めて見たのは高2の時だ。当時、父は春秋2回、自分の手掛けている会社の従業員を、3、4社まとめて旅行に連れて行った。でその年の観楓会は、登別温泉となって、皆して第2滝本館に泊まった。その時だ。私が風呂に入っていると、事務員のO嬢が入ってきた。当時は混浴が普通だから、それは当然だったが、20歳ぐらいだったと思う彼女の盛り上がった「おっぱい」に私はびっくりした。 続きを読む 第426回 フランソワーズ・アルヌール、 さまざまな差別との戦い