司書独言(146)ふくろう親父の㊙日記

2013.12寄稿

○月○日、本屋に猫のカレンダーが山と積まれ、かつ吊るされている。猫派の私は必ず開いてみるが、どれも大の字になって、或いはそれでも足りなくて弓なりに反って、当然腹丸出しに寝ている猫がいる。

私は子供の時、13年間女猫を飼っていた。女だてらに矢鱈と喧嘩に強いし、ネズミもよく捕るので、岩見重太郎の名をとってタロと呼んだが、このタロ間違っても仰向けになって、つまり無防備になって寝るなんてことは一度たりともなかった。私ひそかに思うに、この仰向けのポーズ、あの「これでいいのだ」の漫画家の飼猫の写真が発表されて以来のものでなかろうか。

○月○日 2008年の1月だったか、東大特任教授の夫婦が「ネコを恐れないネズミ」を作った(と言っても、これは脳と行動の関係を嗅覚から解明するためのものだったが)と科学誌(ネーチャー)が報じた。しかし私に言わせると、十数年も前からペット用の健康?餌を食って,ネズミを追う必要がなくなった猫は,その時点でもうネズミに舐められ初めたのではなかろうか。猫を恐れぬネズミは人為的に作る必要はなかったのではないかなあ。

○月○日 美智子皇后は昨年79歳の誕生日に「人権の尊重」や「言論・信教の自由」を旨とした「五日市憲法」なる明治憲法発布以前の憲法草案を引き合いに、「市井の人々の間に既に育っていた民権意識に」感銘した旨を発表した。国の象徴たる存在の伴侶の皇后に、この賢明なる認識があるのに引き換え,秘密保護法を通し平和憲法の命を累卵の危機に立たせている,愚かな政治家共の思想は何なのか。民主主義を真に体得したのは天皇,皇后ではないのか、との気持ちが強くなる。

○月○日 北朝鮮ではヒトラー、スターリン張りの粛清が続いているようだが,その恐怖の源たる金正恩に経済学名誉博士号を贈るという暴挙を行った大学が有る。マレーシアの日本からの留学生もいるという私立ヘルプ大学がそれ。この、人の神経を逆撫でする行為、大学がと、一括リにせず,誰の発案か銘記してもらいたいものだ。物事総じて「行政が」と言った風に責任の箇所がボカされてしまうが,誰か一個の馬鹿な発案が基になる訳だから、その馬鹿者の名は、後世の正史の検証のためにも、残すべきだと私はいつも思う。

○月○日 大阪府高槻市の葦原が危機に瀕している。そんな原っぱ位と軽んずるなかれ。ここは古来の「鵜殿の葦原」と云い、ここに生える葦は3m壮大で雅楽の楽器たる篳篥吹き口に最適とされて来た。谷崎の名作「葦刈」の舞台でもあり、「土佐日記」にも出る場所だ。そうした由書ある場所に高速道路を通すと言う。

○月○日 一方奈良では若草山にモノレールを設置するそうな。春の山焼きでゆうめいな所だ。山頂には国指定史跡の「鶯塚」が有る。清少納言が「枕の草子」で「うぐいすのみささぎ」と書いた古墳のことだ。葦原の方は雅楽関係者が、若草山の方は国文関係者が中心となって反対しているが、行政というものはどうしてこう頼みもしない事ばかりに手を出すのだろう。遠い地で気をもんでも仕方ないが、文化破戒の2つの愚行が有る事だけは覚えておこう。

○月○日 モノレールで思い出したが...もう20,年余昔、室工大にガウディ学者を自称する人が来た事があって、この人、来るなり町起こしに口を出して、茶津山頂きから測量山頂へ観覧車よろしくケーブルを渡す事を提案した。空から市街を見ようという訳だ。しかし仏坂からこっちの市街地は、八幡さん、測候所前etcどこからでも一望できる狭い所だから、これには呆れた。この人2年もいたろうか。室工大に限らず、時々中央から地方へという形で、こうした腰掛組がやってくるが、腰を据える気がないから、何の役にも立たず、何も生まれない。

○月○日 鼻の高い西洋人にも鼻づまりがいると言うのが私には不思議だが、私の知り合いで、日本人にしては鼻が高いが、鼻づまりで良く眠れぬと言うのがいて、これ防止のナントカ言う装置、と言うより強力な絆創膏みたいなのを買って鼻先に貼った.貼るとそれが上方に反る型で鼻の頭を引っ張るので、鼻の穴が広がって楽だという。...その中、彼の鼻が前より低くなったように見えて来た.鼻の頭が横に引っ張られて、だんごっぱなになったのだ。そうする中「いびき軽減」の、これ又鼻を挟んでどうにかという装置が何の根拠もなし,つまり、効かないと言うことで,排除命令が出たとの報道が出た.彼の使っていたものと同じかどうかは知らぬが,鼻の型は悪くなるは、鼻づまりは治らぬはで,気の毒だった。江戸学者の氏家幹人によると、おかまを美少年にするには,木片で鼻を挟んで高くした由。

○月○日 イスラム法(=シャリア)の徹底を図る宗教警察「ヒズバ」昨11月末、瓶ビール24万本を公開の場で重機で潰した由。飲酒撲滅が狙い.ナイジェリアでの話。「オーもったいねえ」、読んで私は「意地悪婆さん」が,孫の赤ん坊が卓の上でおしっこを漏らしたあとを拭かずに、脇に高級ウイスキーの瓶を転がしておいて,帰って来た次男の画家が、ウイスキーがこぼれたと思い、「おーもったいねえ」と指ですくって嘗める漫画を思い出した。意地悪婆さんの次男の画家の名前は「敏明」と言う。なんでかな?長谷川町子に訊こうと思っているうちに,向こうが他界して、今では永遠の謎だ。だけどかつての高級ウイスキーのあれやこれや,今じゃ皆コンビニの棚に安価に並んでいる。とは言っても消費税が上がると...

 

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