お薦め図書はこれ
九日までの読書週間にちなみ、日ごろ本に親しんでいる山下敏明さんに、推薦図書を紹介してもらう(価格はいずれも税込み)
降り出した雪の中、両手いっぱいに本を抱えた熊がこちらに背を向け、落ち葉を踏みしめ、冬ごもりの穴に向かって行く、という絵をみている。「へえ、冬眠にあらず、穴で読書か、こりゃいいや」と、数えてみると八冊も持っている。「やるなあ、この熊!」と感心しているところに、○○記者から恒例の読書週間だけど何かおもしろい本はないか、との電話。「ある、ある並べてみましょうか」
例えば、アキアジが捕れるころ飛ぶので秋味虫、または白いスカートを履いているから綿虫とも呼ばれる雪虫は、実はアブラムシで、その変わった生態を書いた「森の昆虫記ー雪虫編ー」(河野本道、北海道出版企画センター、772円)は、いまどきにはぴったりの本。①1
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雪になったら読みたいのが、土井利位(としつら)なる大名が書いた「雪華図説正続、雪華図説新考」(小林偵作、築地書館、2678円)。これ、86点もの雪の結晶図が入った世界で最初の雪の本。おもしろく美しい。②2
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「雪の文様」(高橋喜平、北大図書刊行会、2472円)③3
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もいいなあ。なにしろ、雪の柄のついた着物や茶碗だの美術品を200点も集めた本で楽しいこと無上。”雪”でかじかんだら、「ストーブ博物館」(新穂栄蔵、北大図書刊行会、1442円)を読むべし。④4
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子供のころ、干しいもや昆布やらを焼きながらあたった、ルンベル、ダルマ、薪(まき)などの各種ストーブの話と写真が満載で、なつかしく、冬の夜長も短く感じます。「『秀吉』が間もなく終わればテレビもつまらなくなる」なんてなげくのはそれこそつまらない。
養父秀吉に子供と妻妾30余名もろとも殺された秀次は、胎児見たさに妊婦の腹を裂いて殺生関白よばれた。彼の悲劇を描いて滅法おもしろい「太閤秀吉と秀次」(小林千草、ちくま学芸文庫、950円)もある。⑤5
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あと、九州場所も間近いから、17人の横綱の髪を結った男の一代記「床山と横綱」(小林照幸、新潮社、1400円)も読んでおきたい、、、と書いてきて、これでもまだ6冊だ。⑥6
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ところで、あの熊、もう何冊読んだかな。近じか会って読書談義をしょうっと。おっと、その前に「山でクマに会う方法」(米田一彦、山と渓谷社、1275円)を読まなくっちゃ。⑦7
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米田一彦氏について、前に触れたことがあるので、その文章を下にのせておきます。
室蘭岳の自然を守る会会報、第65号 「ガンバリ岩」
本棚 『 ベアー』 室蘭工業大学、図書館司書、山下敏明
「ヘアーいや、ベアー」 本屋でのこと。ビニール包装の美乳の写真集の後ろにアの字と毛の固まりが見えた。ウヒャツ!ヘアー写真集か?だけどこんなに毛深いナニもあるのかな、と慌てて美少女たちをかきわけてみたら、ギャオッ!ベアで、つまりは熊の写真集。ナンジャラホイ!、熊と言えば、広島県芸北町の「広島クマ研究所」所長米田一彦氏が、昨年末、調査用の捕獲罠にかかった熊一頭を見落とすミスを犯し、結果殺したのを恥じて研究生活から引退した。この毅然としたけじめの付け方。世の無責任共に熊の胆、イヤヤ勿体ない、氏の爪の垢でも煎じて飲ませたい。
岡田 昇著 情報センター出版局 ⑧8
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11月30日(土曜日)、「日本野鳥の会、室蘭支部」から、1500字分の原稿を2回分、との依頼を受けたので、ストーブをがんがんたいて腕まくりでガンバっていたのがウラ目に出て、風邪を引き、鼻水、咳止まらず、目下、床の中、、、、と言う訳で、11月の読書週間に、「北海道新聞」からの注文で書いた文章を、かわりにのせます。
こう、御諒解!!皆さま、風邪などめさぬよう!!