第335回 作曲家テレマン.上野英信の妻の記.そして塙保己一
2013.9.16寄稿
もう大部前になるが,1年に1度、卒業生が集まっての墓参りの旅(室工大建築科卒、27歳で癌で倒れた水野正弘君を偲んで)でのこと。夕べの一酌の間に,盛岡在のこれも建築出の梅田が余興で,持参したCDのオークションをやった。その中に,梅田が買ってみたものの余り興味がわかなかったらしきCDの一かたまりがあって,梅田が言うには全部まとめて¥6,000だと。... 続きを読む 第335回 作曲家テレマン.上野英信の妻の記.そして塙保己一
司書独言(142)
○月○日 敗戦記念日の8月だというのに、そちこちできな臭いことおびただしい.共同通信の石山永一郎によると「靖国神社崇敬奉賛会」なる会の会報に、或る女性ジャーナリストの「外国勢力の横暴を許さないために〜領土を守るには戦争を覚悟するのが大前提であり、それが普通である〜」との文章がある由。ジャーナリストとあるから推測するに桜井よし子だろう。あえて言うが、女だてらになんでこんなに戦争したがるのだろう.又この会の会長が扇千景と来た.人間国宝の旦那も平和あっての舞台、すこしは女房の勇み足に注意出来んのかなあ。鶴見俊輔の「戦争中、体をはって我が息子,我が夫を戦いに行かせぬとした女が一人でもいたろうか?」と言った意味の言葉を思い出し、又太田光のことも思い出した。
○月○日 憲法学者・飯島滋明によると、石破が、憲法改正で国防軍が出来た場合、戦場への出動命令を拒否すると、軍法会議で「死刑」もしくは「懲役300年」と発言したと。この石破が太田光の「私が総理大臣になったら」に出て何やら言った時、太田に「政治家は戦場に行かない」と返されて黙り込んだ由。太田式に言うと、扇にも、桜井にも言えることは「女は戦場に行かない」から気楽なもんだ。
○月○日 富士山が世界文化遺産登録とて思うのだが、上記の威勢のいい連中にやってもらいたいことがある.それは本当に国のことを思うなら、霊峰富士山に向かって砲弾ぶち込む軍事演習を止めろと当局に言うこと。だって、世界文化遺産登録された所で軍事演習ナンテことが行われている所がどこに有るの??一番ふさわしくない行為だ。
○月○日 8月14日 今年初めてトンボを見た.数日前、我妻さんが今年はトンボを見ないわねと言ったばかりだったから嬉しかった。トンボを大昔は「あきつ」といい「蜻蛉州」と書いて「あきつしま」と読み、これ、日本の異称だ。神武天皇が国見をして「あきつのとなめせるが如し」と言ったのが由来。となめとはトンボが交尾をして互いの尾を加えて輪になって飛ぶこと、と言った知識は戦前は常識だったが今は通じない(だろう)。それにしても我が家の近くにはまだ田圃もあるから、こうしてトンボも出てくるが、TPPとやらが通って農家が田圃を放棄して、となったらトンボも居場所がなくなるよな。ソレにしても安倍、橋本、石原、猪瀬と、言うこと成すこと、あきつ島の損になるような事ばかりしてくれる指導者が揃って、変な時代だ。
○月○日 見たと言えば、先日中島でカラスがネズミをくわえて門柱に止まっているのを見た。以前東京で下町を歩いている時、コンクリート塀の四隅にカラスがネズミを追い込み、ネズミが後ろ足で踏ん張って塀に背中をもたせて立上がり、細っこい前足で抵抗するのを見て可哀想になり、思わず足元の小石を拾ってカラスにぶつけたが無駄だった事を思い出した。まあネズミは害だから仕方ないとして、以前は向いの家の車庫の軒下にスズメが巣を作り、するとカラスが覗き込んでは卵をつついて落として道路で割れたそれを吸っているのを何度も見た。まあ、鳩さえ襲って喰うカラスだから、これは自然でどうしようもない。
○月○日 今年は多雨のせいかナメクジが多い気がする。30年前に家を建て庭を作った時、矢鱈とナメクジがいるので、帯広畜産大学の友達に訊いたら、丼に残ったビールを入れておくと沢山入るから、との返事だったが、丼一杯のビールとくれば、こちとらが、ナメクジに成りたい位のもんだし、土台、晩酌のビールは間違っても残らない。伊達の造園屋に相談したら、これを撒けとて沢山の石灰をくれて、それで治まった、。このナメクジ、何でも2億年前からいて、おまけに家しょって歩いて(?)いるカタツムリが進化したものだと言うから驚く。まあ、これとても自然の循環の中で生存してんだろうが、生まれ変わるとしたら、余りなりたくない部類だ。
○月○日 今年は港祭りも八幡神社の祭りも雨にたたられた。ところで、栗山町の鳩山神社は9月13日が秋の例大祭だ。明治27年鳩山の曾祖父の和夫が国の払い下げを受けて始めた農場に建てられた神社だ。鳩山首相実現となった時には、その運にあやかりたいとて調子者が増えたと言うが、今時ではどうか。ナンニシテモ富士山が登録と決まれば一挙に登山者が増えと、まあ物見高い連中は日本人と限った訳でもなかろうがね。
○月○日 松山の栗原女史からの手紙にマチュピチュへ行った友達の事が書かれていた。私も1911年にマチュピチュをみつけたエール大学の考古学者ハイラム・ビンガムの本を読んで、行ってみようかと思ったことはあるが、行った人の話しでは高山病の頭痛で難儀したと聞いて、それは嫌だと行く気は失せた。それよりも、ペルー政府がアメリカを訴えた「4万点の遺物を返せ」の裁判が気になるところだが、その後どうなったろうか。なにしろビンガム曰く、「返却する条件でぺるーから持ち出しを許可された」なのだけど、それがそうでない訳だから。
第334回茨木のり子・ジョージ・アーネスト・モリソン
2013.8月寄稿
カンナの花が好きで前はよく植えたが、越冬出来ぬので面倒になり、今はやめている。関東より向こうは植えっぱなしでいいから、楽かと思うが、いつか豊橋辺りで見た時は茂りに茂って、これはこれで大変だなあと思ったことだった。 続きを読む 第334回茨木のり子・ジョージ・アーネスト・モリソン
司書独言(141)
2013.7月寄稿
○月○日 投票日だが遠出をしなくちゃならん用事があるので、いつもは7:00のコーヒーを5:00には終え、早々に出る事にして、でもその前に一寸新聞を広げると、「東電管理職に一時金10万円」なる記事があって、課長級以上の約5,000人に支給する、〆て5億円だと。呆れつつ投票して...結果は御存知の通り。原発反対が50%を越すのに、最稼働をすすめる政党が勝つ不思議??。
○月○日 勝ったと思ったとたんに気がゆるんだか、24日の朝刊に自民党の細田が原発を止めてしまうことは”とても堪え難い苦痛を将来の日本国民に与えると逆に思いますね”とBSフジの番組で発言したと出た。原発という制御出来ぬ代物を将来に残してはならぬする側との何たる違い。立場が異なるとは言え将来像のこれ程の違いが出る不思議。池澤夏樹は「原発とは緩慢に爆発する原爆である」と言うが、その原爆を残さないと、将来の国民が苦痛を覚えるとは、何たる論理だろうか。
○月○日 某紙で「イライラするカタカナ語は?」とのアンケートが行われ、上位5位が出た①コンピテンシー②インスタレーション③インキュベーション④コモディティー⑤ダイバーシティ。 私は英文科卒だがこの5つ、いずれも訳せぬ、というより分からぬ、もっとも②は北海道出の芸術家・川俣正が随分昔からやっているし、見た事もあり図録も持っているから、何を指すかは分かるが、やはり訳せぬ。
○月○日 これで思い出すのは、画期的な「新潮日本語漢字辞典」を作った小駒勝美の案。それは、「外来語は漢字で書け」と言うもの。小駒が例にするのは、シュミレーション=模擬体験、アイディンティティ=自己同一性、イノベーション=技術革新。漢字で書けばその言葉の意味がピンと来るというのが小駒の主張。私しゃ賛成だね。国語審議会なんてのも漢字制限ばかりしてないで、外来語の漢字化をせっせとしてもらいたいものだ。さしあたり、室蘭でもこの頃出て来た「コンソーシアム」、誰ぞピンとくる漢字にしてくれんかね。これ読んでピンと来ぬひとは小駒の「漢字は日本語である」(新潮社)を/¥680+税)を読んで下さい。因みに私は自分の文章では横文字は使わぬ努力をしている。
○月○日 「日本近代史」(ちくま新書)の歴史学者・坂野潤治は「格差の縮小が社会に活力をもたらす」と言い、それなのにその格差を拡大させたのが小泉政権だと指摘する。私はこれに小泉を支えたのは竹中平蔵だと加えたい。その竹中を論じた本がでた。日本経済新聞社の記者・佐々木実の「市場と権力」(講談社/¥1,900)竹中が自慢話にする郵政民営化なんてものはブッシュの意向に沿っただけのものと言う話しを初め色々出てくるが、結論は竹中がインチキ極まる男だということ。
○月○日 国民全体が貧困に喘いでいても自分が楽ならイイヤというのが竹中式だが、竹中がそんな男だとは顔を見りゃ分かる。最初からインチキだとそれこそピンと来た。人間を顔で判断してはいけぬとは世間の常識だし、昔は人間の顔を犯罪型とそうでにのに分ける犯罪学者、刑法学者のエセ学問があった事も承知の植えだが、顔で分かる場合もあるんではなかろうか。
○月○日 例えばオームの麻原。あの顔とあの声を聞いただけで私なら拒否反応を起こすね。どこがよくてあんなのに酔うのだろう。例えば国会で「この私が噓をつく顔に見えますか」と大見得切った中曽根。私には噓つく顔に見える。あの顔が噓付きと」言う顔でないとしたらどの顔が嘘つきなのか。「私が会った人の中で一番老獪=悪賢いのは中曽根」と言ったのは沖縄の太田昌秀知事だった筈。まあ中曽根が嘘つきだった事は今や瞭然たるものだけどね。まあ顔見ての直感にプラス学者の労作を読んでの知識があれば人物判断もそう間違わんだろう。
○月○日 大変な映画を観た。「ザ・ウォター・ウォー」=まあ訳せば水戦争か水争議か。2000年のボリビアを舞台とした実話。今や多国籍企業が水道事業に参入しているとは常識だが、それと戦う原住民の物語に、劇中劇として御存知例のコロンブスの収奪劇が重ねられて、という趣向。こういう骨太な作品を観ると、劇画を原作としたドタバタ、ホラー、暴力揃いの日本映画は何をやっているのかと思っちゃうね。「東ベルリンから来た女」も良かったなあ。
○月○日 6月末テキサスダラスに「ブッシュ図書館」が開館した。「ブッシュ氏は自由と民主主義を世界に広げた」なる趣旨のもと、諸々が展示されている由。あのパウエルでさえもが、イラクが大量破壊兵器を持っていると国連で演説した事を、自分の汚点とする、と告白しているのになあ。何考えてんだか。ブッシュは横田めぐみさんの両親に「めぐみの事は忘れない」と言ったが、今や、頭の片隅にもないだろうなあ。