第266回 真贋論争 人間・食品・美術品

`07.11寄稿

食用だ、と言うことは我々人間が食う為にいる犬と言うことで、番犬ではない.その中の一種、例の中国産のチャウチャウ、あのチャウチャウには悪いが、今度お出ましの前防衛事務次官と名乗る守屋武昌っての、何がなし、このチャウチャウに似てない?。それも居眠りこいてるチャウチャウもしくは秀才ならざる鈍なチャウチャウの顔してない?。まあこのチャウチャウの面はどうでもいいが、この御仁、言うことは秀才並みで、例えば「国の防衛は国益の問題です。“一国は一人を以て興り、一人を以て滅ぶ”このような気概を持って仕事に取り組んでいます」と言ってたんだって。新聞によると、“皮肉にも、福田康夫首相の著書名と同じ古事が引用されているが...とあるけど、2人とも好かんから、この古事調べてみる気にもならん。

チャウチャウは又、“一人は全員のために、全員は一人のために”なる言葉が好きで、絶えず言っていたらしい。ところが結果は、“業者は次官のために、次官は業者のために”とと言い換えた方がいいものだったから、結局は言っていることが「本物」ではなかった訳だ。しかも、このチャウチャウ、在任中はライバルを左遷すると言う強硬手段で、次々と相手をなぎ倒していたと言うから、どうにもこうにも好かん。否々、“食えんチャウチャウ” 否々“食えん奴だ”。

話変わるが、京都の大学に吉川幸次郎 〔明治37(1904)〜昭和54年(1980)]なる中国文学者がいた.文学事典の類(たぐい)いには“〜京都大学文学部に入り、狩野直喜の講席につらなり、以降中国文学の研究に専念し、日本における中国文学研究のあり方の近代化に大きな功績をあげた〜”などと出ていて、更には“〜偏見におちいりがちな日本人に中国文学及び儒学の精華を再認識させ〜”などとも出ている。この人、戦前昭和3年から6年まで中国で学んだが、戦後の昭和37年には、コロンビア大学の客員教授として、4ヶ月在米した。

もう1人、京都大学に高坂正顕(まさあき)〔明治33(1900)〜昭和44年(1969)]なる教育学者がいた.人名事典の類によると、昭和15年京都帝大の教授になって、“戦争哲学を説き〜”とある。気になる表現だが、公職追放の後、それでも無事に生き延びて、東京学芸大学学長を勤め、又、中央教育審議会特別委員会の役員を務めて「期待される人間像」をまとめた、とある。ハーバード大学卒の政治学者・正尭(まさたか)はこの人の次男だ。

さて、10月10日付けの室蘭民報によると...「京大教授陣に反共工作」との見出しがあって、小見出しは「50年代に米・左翼化阻止への世論誘導」だ.この記事によると、当時の服部峻治朗総長は、左派教授陣と全学連などの運動が拡大するのを憂えて、USIS(米広報文化交流局)の協力を受けて、吉川幸次郎や高坂正顕ら保守派とされる若手教授陣をアメリカに流学、いや否、留学させて、反共派に育てたそうな。この結果、これらの反共派若手が帰国してからは、USISと結んで、各学部の主導権を握り、つまりは“左派封じ込め”に成功した由。

ワシントン発のメイ米政府情報顧問委員長の報告では、もっとあからさまに「収入が乏しい大学教授」に「精神的・財政的に支援を与えている」とあり、親米記事を執筆するつど、それらの保守的知識人に対して、「資金援助]を確認していたそうな。つまりは、金につられて書いていた訳だ。

この話、何やら冒頭のチャウチャウ次官の話と、構造が似ていて、好かんのう。高坂の父親は知らんが、息子の方は、何やらニヤニヤした男で、虫が好かぬ奴だったが、中国服を着て、強面で大人(だいじん)ぶっていた吉川なども、つまりはある種の提灯持ちだったかと思うとゲンナリする。私は左右両方共、提灯持ちにはウンザリするタイプ。これらの学者連、結論は本物じゃなかったのだろう。

本物・偽物と言えば、「赤福餅」「比内地鶏」「ミートホープ」と続きに続いて、言うなれば食わされている側の、腹の中はワヤクチャだわ。

それに比べると、美術界では本物発見が相次いでおるぞ。順不同に言うと、今年10月10日栃木県の民家で.喜多川歌麿(1753〜1806)の「女達磨図」が見つかった。幻の肉筆画の由。

次は、これも今年10月23日、今度は歌川広重(1979〜1858)の水墨画が、福岡県直方市の会社社長宅でみつかった。縦170㎝・横54㎝の枠内に「宝珠」と「熨斗(のし)」が描かれていて、仁科又亮(元東京工芸大教授)の説では、「宝珠も熨斗も目出たいものであるからして、広重が長寿を願って描いたのではなかろうか?」と。

浮世絵と言えば、ロシア初の日本美術コレクターは、セルゲイ・キターエフ(1864〜1927)なる人物で、浮世絵を含むコレクション6000点程はプーシキン美術館の所蔵になっているが、さらに多くのものが今週(今10月31日)発見されたとか。皆本物由。

10月24〜29まで丸井で開いた、第三回ふくろう文庫特別展で、「これ本物か」と訊く人が数人いたが、まあその質問に刺激されて真贋論争するつもりが、妙な方に流れてしまった.悪い〜。まあ、これらの本に目を通して自分で考えてくだされたく、よろしく!!。

「贋作事件簿1 」    「スキャンダル戦後美術史2

「浮世絵世界をめぐる3

「ジャポニスムからみたロシア美術4


  1. 大宮知信.贋作事件簿.草思社(2003) []
  2. 大宮知信.スキャンダル戦後美術史.平凡社新書(2006) []
  3. 瀬木慎一.浮世絵世界をめぐる.里文出版社(1997) []
  4. 上野理恵.ジャポニスムからみたロシア美術.ユーラシアブックレット(2005) []

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です