第226回 ジャガイモ と 塩の歴史の本

`04.4月14日

私の前任者、久保さんは、或る時「図書館サービスに期待する会」の世話人、美女の安藤薫さんに電話して或ること依頼しようとして、何を血迷ったか、あらぬことを口走ってしまった。

これは、久保前館長が既に、この「ひまわり」?だったかに書いたことがあるからして、今更、秘話でも何でもないのであるが、再現すると...「安藤さん、実は来月ドコソコで、ストリーキングをお願いいたいのですが...」「えっ、ストリーキング!!??私、とても自身がないわ...」「そんなことないでしょう...」「いえ、いえ、ダメ、ダメ」..この返で久保さんの囲わりの人が、事のあやまりに気付いて、「館長、ストリーテリング、ストリーテリング!!」と絶叫して、久保さんは、「えっ、俺、ナント言ってた?」と相成ったのであるが...

私は、この安藤さんのストリーテリング(読み聞かせ)をかって聞いたことがあるが、そして、それは恐ろしい話であったが、その最後には、本当に縮み上がって、文字通り、肌に粟(あわ)を生じたのであった。

つまり、安藤さんの話は、絶品なのである。確か、2年前かと思うが、その安藤さんが北電で講演をした。

北電には、大口消費の関係会社、60社程集ってつくるナントカ会があって、これは昨年、10年余なる活動の後、役割を果たしたとして、解散した様子だが、その会が、年一度の総会の折に、勉強のために講演会を開く。私も3年程招ばれて、話をしたが、この会で安藤さんは、「赤い鳥と青い鳥」なる秀抜な演題の下に話をした。「赤い鳥」は言うまでもなく、鈴木三重吉が1918(大正7)年に創刊した童話と童話の雑誌であり、「青い鳥」はこれ又、言うまでもなく、ベルギーの作家モーリス.メーテルリンク作の童話劇で、幸福の象徴たる「青い鳥」をさがす、チルチルとミチルの旅の話、この2人は結局、我が家の沼の辺、おっと間違い、我が家の炉の辺りにそれを見つけるのだが、と言うものだ。

安藤さんは、この赤と青の鳥を使って、つまりは、我が国の岩谷小波(いわやさざなみ)によるお伽噺(おとぎばなし)から、三重吉らによる、文学の名に値する子供向けの作品への移行、日本児童文学の歴史を語ったのだった。これは、集った60名余の社長らをうならせた、いい話だったのである。さもありなん!!

その安藤さんが今、うなっている,,,何故か?来る5月に東ロータリークラブから卓話を頼まれたのだが、持ちネタ豊富な安藤さんは、それ故、どの話にしようかに迷ってウナッテいるのである。

東ロータリークラブは今迄「ふくろうの文庫」に好意をよせて下さること多大なもので、安藤さんはなおのことそれに酬いんとして張り切っている訳で...。

それで先日聞いてみた。“候補にしている話は何?”と。“ さしあたっては、ジャガイモかお” “ 成程ネエー、じゃ、2つとって、ジャガイモの塩ゆで の話にすればいい” これに対して,” 何をノホホンと!ゆでちゃうわよ”との答えはなかったが、迷うのも分かる...と言うのは、いずれも,安藤さんは語るに足る十分なネタを持っているからだ。

例えば、イモ、安藤さんは昔,友達の丹那さんが、ミュンヘンに赴任した折、誘われて彼の地に趣き,友人宅にわらじを脱いでと言っても彼女は別にその筋の人間ではないが、、汽車でヨーロッパのそっちやこっちやを歩きながら,ドイツのジャガイモ料理を鱈腹喰ってきているのである。おまけに彼女は自家製農園でジャガイモを(ばかりではないが)作っていて,年間通じて,イモは店から買わぬ。何しろその農園たるや、何ヘクタールか知らんが(私は坪で言われぬと分からぬ)大小2台のトラクターを駆使してのもので、いわゆる半端ではないのである。

と言う訳で,私は”じゃがいもなら,男爵いもの話は?なんなら館和夫の「男爵薯の父.川田龍吉1 」を貸そうか”と言うと、それは読んだとて、農林ナントカが○号だかまであるとて、その名前をスラスラと言うのである。

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ウンニャ、参った。それでも、司書としてのお節介,老婆心でおそらくは知っていまいと思われる、もう一冊の本を教えてあげよう。

新種のイモに取り組んで川田を助けた迫田英彦(往時の農業会のメンバー)からの聞き書き調査で出来た、大滝淳の「じゃがいも(男爵)の父川田龍吉物語」それにもう一冊、月並みなれど、碩学、ベルトルト・ラウファーの「ジャガイモ伝播考2 」.まあ、私が安藤さんに提供出来るのは畑作の半分を占める網走は清里町のジャガイモ焼酎は俺が飲んだだけでも8種類はあるよ...てなこと位か?

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さて、もう一つのテーマ塩。塩についての安藤さんの詳しさは,これ又,既に証明済みで、「道新」の敏腕通信員として,先にメキシコの塩を満載して入港した船に入って,実に面白い記事を「おじゃまします」欄に書いていたのを記憶している人も多かろう。そんな人に、R.P.マルソーフの「塩の世界史3 」(平凡社)とか、廣山尭道の「近世日本の塩4 」(雄山閣)とか、誰でも思いつきそうな本を教えても面白くない。

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ここは一つ、ひねって、「道新コミニ」の編集者でもある彼女にふさわしく、中日新聞は「松本ホームサービス紙」にのった、大日方健の「塩の道『千国街道』に歴史をひろう5 」と、松山で、塩田塩の存続運動を起こし、自然塩の「伯方の塩 」を作っている松本永光の「塩の本6 」を教えておこう。

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安藤さんの作る漬け物殊にキムチは、やめられない、やめられないーだが、そう言えば、韓国でキムチのあと出される爪楊枝はジャガイモで出来てたな。さあ東ロータリーの皆様、乞う御期待ですぞ!!ありゃ俺が言うこたあないか!!


  1. 館和夫.男爵薯の父.川田龍吉.北海道新聞社(2008) []
  2. ベルトルト・ラウファー.ジャガイモ伝播考.博品社(1994) []
  3. R.P.マルソーフ.塩の世界史.平凡社(1989) []
  4. 廣山尭道近世日本の塩.雄山閣出版(1997) []
  5. 大日方健.塩の道『千国街道』に歴史をひろう.ほおずき書籍 (1994) []
  6. 松本永光.塩の本.三水社(1990) []

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