第166回 フェルメール紹介本4冊

`00.6月30日寄稿

「伊丹市立美術館」での「ジョージグロッス展」「大阪市立美術館」での「フェルメール展」を観に大阪まで行って来た。「ジョージグロッス」の作品は、前に、鎌倉の「神奈川県立近代美術館」で何点か観たことはあるものの.主要作品となると、アメリカかドイツにまで行かねば観ることは出来ぬ。「フェルメール」に至っては、先ずはオランダまで足を運ばねばならぬ。いずれにしても、大阪へ行く方がどう考えても楽チンと考えて朝一番の飛行機で出かけたのだが....「ジョージグロッス」の方は、観客はパラパラと言う感じのもので、人の背中越しに伸び上がってみねばならぬことも成し、後ろから迫られて、否応なく次の画に移らねばならぬ...ということもなく、つまり行きつ戻りつ近づいては離れと言う具合にのんびりと...グロッスの絵筆が告発する「世界の悪」を観るのにのんびりとは気が引けるが、...観ることが出来た。おまけに、この「伊丹市立美術館」には有名な「柿衛(かきもり)文庫」なるものがあって、これは、日本屈指の俳諧コレクションなのだ。折しも、「季のことばー夏」と言う小企画展をやっていて、私は、紹巴(じょうは)やら宗鑑(そうかん)やら蕪村(ぶそん)の書や、画を楽しんで来たが、この話はまた別の機会にするとして...

さて「フェルメール展」の方だ。「大阪市立美術館」は元、住友財閥の本宅であったという代物であるが、その屋敷をとりまく公園で、炎天下、3時間.蛇行しつつ待たされた。つまり、入場制限された訳で、ひたすら、耐えるしかなかったが、間違いなく「皮膚ガン」の原因を作ってしまったと確信した程の暑さだった。とにかく、乳吞児まで連れた家族達がワンサと並んでいて...私のうしろには西宮から来た一家、祖母、父、母、小学生の娘2人の計5人がいたが、。.聞くともなく聞こえた会話の一つ。父「ゴルフに行ってた方が良かったな、ところでフェルメールってどこの人?」残り4人が顔を見合わせた挙句、おばあちゃんが「ホレ、パンフレット、パンフレット」そこで小学生2人が、入り口で配られたパンフレットをあわてて広げて「オランダ、オランダ!」

さて「フェルメール」とは?? ①「フェルメール1

[tmkm-amazon]4897373751[/tmkm-amazon]

「ヤン・フェルメール/Jan Vermeer(オランダ.1632-75)画家.デルフト生まれ。1653年結婚。同年聖ルカ画家組合の親方画家に選ばれ、リーダーとして活躍.オランダでは生前ある程度認められはしたが、売る努力をしなかったため19世紀になって研究家達がその名声を再び確立するまでは、忘れ去られていた。その絵は家庭内の細々とした情景を描いていて、特に遠近画法と日光の細かな描き分けで有名。40の作品が知られていて〜」(岩波=ケンブリッジ世界人名事典)...40の作品とあるが、②「フェルメールの世界2」の著者小林頼子の説では32

[tmkm-amazon]4140018704[/tmkm-amazon]

それでも、とやこうやしているうちに3間過ぎて、ようやく入館したが、ここで又進まぬ。

昔「ホアン・ミロ展」の時、余の混雑で、絵の前に立ちどまることが許されず、「何だ、ミロ、ミロと言いながら見れんではないか」とボヤイタことがあったが、その時と同じだ...と再びボヤキながら、フェルメールの作品5点を含む17世紀のオランダ名画35点を観ることが出来て、幸わせ、幸わせ!!。結局外で3時間、中で1時間計4時間かかったが、矢張りアムステルダムに行くよりは近い。 ③「フェルメールとオランダの旅3

[tmkm-amazon]4096060534[/tmkm-amazon]

フェルメールと言えば、私には一つの珍妙な体験が会って、それは、昔チェコに行った時のこと、ある城(と言うのは、覚えていれるさ、とタカをくくったのが災いして、城の名前も場所も皆目思い出せぬのだ)を観に行くことになって途中まで行ったところ、工事中で道路不通と相成り、ガイドの気転で別の城(同じく記憶なし)に行った。

まあ山城という感じの所で、城主の息子に案内されて付いて行くと、結構な書庫があって、ホーと感心しつつ隣の書斎に移ると、そこにはフェルメールが一点、次の部屋を通り越して入った部屋に又フェルメールが一点、まさしく、ビックらこいて、息子の顔を見つめていたら、先祖が模写させたものと説明してくれ、そうだよなーと安心した。

④「芸術新潮5フェルメール4

と言う訳で今回はフェルメール本4冊おすすめの順位は④②③①でつまりはすんなりと頭に入る順序です.③は一番やさいいけれど、オランダくんだりまでは行かんよーと言う人もいるだろうから下位にした訳。「ジョージ・グロッス』については163回に書いたので、今回はパス。


  1. 小林頼子.フェルメール.六耀社 (2000) []
  2. 小林頼子.フェルメールの世界.日本放送出版協会 (1999) []
  3. 星野知子.フェルメールとオランダの旅.小学館 (2000) []
  4. 芸術新潮5.フェルメール.新潮社(2000) []

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください