◯月◯日 「肺腑を突く」なる表現があるが。胸の奥底を突く(衝くとも)意から強く感動させる、深い感銘を与える意となって、「聴衆の肺腑を突く演説」などと使われる。正しくこの言葉の見本たり得る演説が最近あった。
ノーベル平和賞授賞式で、ICAN事務局長と並んで演壇にたったサーロ節子女史の演説がそれ。「人類は核兵器と共存できない」とし、「核兵器は必要悪でなく絶対悪」と強調した。一方フィン事務局長も「核兵器の終わりか、それとも、我々の終わりか」と迫った。二人の演説中には10秒以上続く拍手が何度も起こり、涙を拭きながら聞く参加者も多くいた由。真人間なればこその真面な反応だ。
◯月◯日 ノーベル平和賞と言えば、確かオバマももらった筈だが、私に言わせりゃ、あれは選択の間違いであって、その証拠に、その後オバマは平和に何の貢献もしていない。広島に来ての演説たるや中身が空っぽだ。こういうタイプを「口舌の徒」という。
言葉は達者だが実行力の伴わない人間を軽蔑しての言葉で、これじゃトランプにしてやられる訳だ。しかしそのトランプに至っては「口が減らない」タイプだが、ヤクザの口喧嘩にも劣る話しかできないのだから、アメリカも人材不足か。して又そのトランプに追随する安倍と来てはひたすら「口を拭う」タイプで,これ程悪い事をしておきながら、或いは知っていながら知らぬ振りをする。まとめれば「嘘をつく」タイプの首相は史上めずらしいのじゃないか。
◯月◯日 サーロー節子女史の話に感動して涙ぐむと言う涙は共感出来るが、全く共感出来ない涙もある。安倍昭恵がベルギー勲章授賞式で、「今年は本当に色々な事があり、つらい一年だった」と涙ぐんだという涙がそれ。確か森友学園問題発生初期にも、どこやらの講演会で「どうして急にこんなに注目されるのか分からない」と発言して涙ぐんだと報じられた、と記憶しているが、今回も事の性質が似ている。この涙、どこがどう刺激されて出てくるのか分からぬが、どうもこの女の「涙腺」の仕組みは我々国民と違うのじゃなかろうか。「女の涙は噓」という辛辣な諺があるが、夫妻揃って嘘つきと来ては、涙流したいのは国民の方だわ!。それにしても、「ベルギー賞」とは何で、何故この賞受賞かの説明がなかったと思うが、ベルギーも何考えててんのかね。
◯月◯日 私が20代半ばの時と記憶するが、羽田でサングラスをかけた一人の若い女が、両股広げたジーンズ姿で椅子に寝そべるように座っているのを見た。実に横着な感じで内心呆れたが、よく見ると「児島美ゆき」だ。当時人並みより一寸胸が大きと言うだけで出てきた女優だ(と私は思っているが)。そうと分かって気づいたが周りに一応付き人らしいのが2,3人いる。それから時経って4,5年後、題名もわすれたが、DVDを見ていたら、役柄とはいえしなびて薄汚れた女がちょい役で出ていて、これが「児島美ゆき」で、びっくりした。そして更にびっくりしたのは「高倉健」が死ぬと。この児島が「私は健の恋人だ」と週刊誌で発表したこと。「へえーあの横着な小娘が。高倉健もご苦労な事だ!」と思っただけだったが、この度、森功著「高倉健ー七つの顔を隠し続けた男〜」(講談社刊¥1,600)を読んでその間の事がよくわかった。この本今年(これを書いている12月18日(月))だが8月に出たばかりで松山の栗山女史が呉たもの。私は「高倉健」が東北の震災被害者救済に醵金しない事が不思議だったが、この本で高倉の遺産が謎の養女に流れた事を知って、醵金どころの話ではなかったのだと納得した。40億と言われた遺産がまるごと救済にまわっていれば、高倉の死後の印象も違っていたろうに。
◯月◯日 遺産と言えば「たかじん」は「さくら」なる女にしてやられたが、「さくら」にしてやられた男がもう一人いて、それは安倍のお友達作家の「百田尚樹」。してやられたことも知らずに「さくら」を美化して書いた物語が「殉愛」。買うバカがいるのが不思議だ。これがベストセラーになるに及んで、事の次第に呆れて百田とさくらに対する批判を並べたのが、角岡伸彦他の「百田尚樹『殉愛』の真実」(宝島社/2015刊/¥1,389)。因みに角岡は「ゆめいらんかね。やしきたかじん伝」(元小学館文庫)で第21回小学館ノンフィクション大賞優秀賞受賞の作家。「たかじん」も在日隠して安倍や橋下の後援者になるなんてバカはせずに、そして「さくら」に引っかからずに、震災援助に遺産をまわして入りゃ男も上がったろうになあ
◯月◯日 ここまで書いて園マリを思い出した。これも私が20代半ばの頃、千歳空港で園が土産を買っているところに出会った。見て呆れたのは園が手にした財布。左手で持っているその財布の口はこれみよがしに大きく開いたままで、見るとお札でふくれあがっている。成程、これでは見せたくなるわなと思いはしたが、まあ品がいいとは思えなんだね。しかしまあ、「高倉健」といい、「たかじん」といい、金も地位もできた割には立派な事せんで終わったな。「児島美ゆき」にしても、あの時の横着ぶり、増長ぶりじゃ、健に囲われようが囲われまいが、女優として大成するのは無理だ。