司書独言(205)

◯月◯日/ 私はオリンピックに関心がないが、それでも2.2億円の金で五輪が買われたかもしれぬ、となると、逆に怒りが湧いてくる。退任した竹田の父恒徳は明治天皇の孫、元IOC(国際オリンピック委員会)の委員でまた第8代のJOC(日本オリンピック委員会)の会長だった。まあ父子2代オリンピックで食べてきた訳で、これだけでもふざけた話だ。

◯月◯日/ ふざけた話と言えば、この父にしてこの子ありと言うべきか、息子の竹田恒泰が、あろうことか「旧宮家復活」なる論を展開している。天皇代替わりとなって”皇族減少”が危惧されての動きに便乗した形で、誠に欲の深い話。と言うのは旧宮家復活と言うことは、彼らを我らの税金で養うということにつながる訳だからだ。とんでもない話だ。戦前宮内庁からの手当で、只食いしてきたお気楽な生活が懐かしいのだろうろう。因みに恒泰はは2010年「日本はなぜ世界で一番人気があるのか」なるトンデモ本を出しているが、この本が主張する「日本肯定論」の自己愛が世に普及して、「嫌中憎韓」を表明することが容易になってきたと「雑誌ムック」の編集者は言う。この恒泰は安部政治をヨイショすることで、自分の生活の安泰を図ろうとする浅ましい連中の一人だ。

◯月◯日/ 東京福祉大学の外国人留学生が3年間で1,400人も所在不明になっているとの問題が発覚した。これで思い出したのが伊達にあったナントカという学校。横路が知事に当選した頃の事だ。この時「勝手連」と称して横路を応援したのが、学生運動でのし上がった田村某。確か日大のリーダーだったと記憶するが、これが最初は日本人を集めたが授業内容がいい加減だったかして学生が減った。すると田村は中国人を入学させ民家を借りて共同宿舎とした。そこまでは良かったが、その内この中国人達に仕送りがこなくなたのか、理由は多々あろうが、生活できなくなって、伊達近郊の畑の収穫後の取り残されている大根や菜っ葉をとって食料の足しにしているという有様になった。

◯月◯日/この時の惨めな中国人を救うべく、私の知り合いが室工大で国費で留学している中国人留学生達に相談にのって欲しいいと、仲介の労をとってくれと言ってきた。これから後の話の結末は想像外のものだったが、長い話になるからいずれまたにして、結果はと言えば伊達にきた中国人(皆10代〜20代前半だったが)は四散した。誰の責任か不明だが可哀相な話だったなと今でも思う。田村もその内死んでしまった。

◯月◯日/ ツタヤがまたやらかした。報道によると2016〜2018にかけてツタヤは「動画見放題」他のプランを発表したが、これは実際は「見放題」ではなくて見る事が出来たのは全作品中、最大で27% 新作に至っては月平均2作だったという。つまりは人をだましたお粗末。このインチキ企画での「TUTAYA   TV」の売り上げは約39億。これに対して消費者庁は、この宣伝は虚偽であるとして、課徴金1億1,753万円の納付を命じた由。それにしてもいくら儲け至上主義の社会とはいえ、この会社懲りない会社で倫理観ゼロだ。

◯月◯日/ 美容外科の「高須クリニック」の高須克弥院長が・・・と新聞に出ている。以前週刊誌に、この男が飛行機(それも自家用)で世界中を飛び回っているとか、(ナントカ)ガンを患って治療中とか出ていたのを覚えていたので、今度はなんだと思ったら、ナチスの「アウシュビッツは捏造だ=ユダヤ人大量虐殺は嘘八百」とのツイートを2015年にしていたそうで、これに対してポーランドのアウシュビッツ・ビルケナウ国立博物館が公式に抗議したというもの。あったもの(事)をないとする、この高須の立場を「歴史修正主義」と言うが、この院長、他人様の美醜をいじくる前に、自分の脳を治してみたほうが世のための人のためではなかろうか。それにしても物事の理屈は分かる筈のこの手の人間が、こうして妄説を信じて見せるのは、やはり同じ立場をとる同じ組織から、何らかの現世的な利益があるからだろうな。

◯月◯日/ 井沢元彦の「逆説の日本史」に絡んで井沢と歴史学者の呉座雄一の間で論争が起きている。かいつまんで言うと呉座が井沢の作品を「奇説」または「歴史ファンタジー」と断じたに対し、これを「侮辱された」ととった井沢が公開質問状を出し、これに対して呉座からも反論がなされたと言うもの。私は昔、井沢のデビュー作「猿丸幻視行」を読んだ時、面白いと思ったが歴史書だとは全く思わなかった。そのあと「逆説の日本史」を数冊読んだ時の思いも同じで、むしろ、この「逆説」に対してどうして専門歴史家から批判反論が出ないかと、もどかしい思いをした位だ。

◯月◯日/ 歴史学者が井沢流の歴史書(?)に対して反論しないのは、つまりは「ばかばかしいからだ」と私は理解している。この歴史学者の態度は、百田尚樹や櫻井よしこらの著作に対しても同じで、百田らの論があまりデタラメなのでまともに向き合う気を起こさない。或る学者は「まともな歴史学者が百田と論戦するわけがない。アカデミズムでは、この手の売るための本を批判しても不毛だとい考えが大半です」この間の事情を説明する。しかしこれは読者にとって不幸なことで、ここで歴史学者がきちんと対応してくれれば、もっとはっきり言えば百田らを退治してくれれば、百田らの歴史観に騙されている読者も目覚め、嫌中本や嫌韓本などのヘイト本もずっと減ることだろう。その点呉座はまともに井沢に対して反論した上で、井沢に「推理小説家に戻られてはいかがだろうか」と結論した。私も「井沢史学」が成り立たない以上井沢は奇説専門の小説家に甘んじるべきと思う。

◯月◯日/ 井沢VS呉座で昔、国立大学図書館長会議に出た時の事を思い出した。私の隣は東北大の図書館館長で日本歴史が専攻の人だった。それで私は昼休みに、当時私が読んでいた網野善彦の本を話題にしてみた。してみたまでは良かったが、驚いた事に帰ってきたのは「あんなもの歴史学とは言えない」というは激しい言葉だった。聞いて私は、日本学会における網野に対する敵意の存在を知った。しかしこの場合は「網野史学」に対する好き嫌いの問題であって、歴史学者ではない井沢と同列に論ずる事は出来ぬ。

◯月◯日/ 稀代の弓の遣い手「紀昌」の生涯を語ったのが、中島敦の名作「名人伝」だ。名人紀昌は最後に弓を持たずに、弓を構える形をしただけで空飛ぶ鳥が射落とされて、挙句紀昌が原に立つだけで、鳥は紀昌の上を避けて飛んだと言う。私は以前、イチローも達人の域を越えれば、ひょっとしてバットを持たずに打席に立つだけでヒットが出るんではなかろうか、立っただけで相手投手は真っ向勝負を避けるのではなかろうかと想像して、或る講演会での話をはさんだら、皆大笑いした。そのイチローが引退した。私はプロ野球に興味がないから、イチローを好きでも嫌いでもないが、思い出として書いておこう。

◯月◯日/ あの前川喜平が4月22日(月)市民会館で午後6時:30から講演する。「安倍政治100ファクトチェック」を読み、予習していけば更に理解が深まろう行くべし!聴くべし!

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