2021.9.6寄稿
私が女の「おっぱい」を初めて見たのは高2の時だった。当時、父は春秋2回、自分の手掛けている会社の従業員を、3、4社まとめて旅行に連れて行った。でその年の完楓会は、登別温泉となって、皆して第2滝本館に泊まったその時だ。私が風呂に入っていると、事務員のO嬢が入ってきた。当時は混浴が普通だから、それは当然だったが、20歳ぐらいだったと思う彼女の盛り上がった「おっぱい」に私はびっくりした。「よっちゃん」という人だった。その次に私が見た「おっぱい」はフランスの女優、「フランソワーズ・アルヌール」だ。これも確か高2だ。これはジョルジュ•シムノンの小説「判事の手紙」が原作の「禁断の木の実」で名優ヘルナンデル扮する気弱な中年の医師を小娘のアルヌールが誘惑する話。この中で彼女が「おっぱい」を見せる。まん丸い「おっぱい」だった。ついでに言うと、3度目の「おっぱい」は「浮気なカロリース」で風呂から全裸で出てきた年増の美女マルチーヌ・キャロルの「おっぱい」エミール・ゾラ原作の「女優ナナ」にも出て世界中の男を悩殺したこの女は、たった45歳で風呂場で死んだ。ついでにもう一つ、ジョルジョ・シムノンは私が一番好きな小説家で、私の棚には4.50冊あるが、この人の小説ほどさっと本筋に入っていくものはほかにない。アルヌールもその辺を「シムノンの小説では〜わずか数行の文書を読むだけで、読者はたちまち小説の世界に引き込まれ、わくわくする旅が始まるのだ」と言う。当たっている。
アルヌールを次に見たのは「フレンチカンカン」で1888年創業の「ムーラン・ルージュ」の創業者ジドレルをモデルにして、フレンチカンカンの誕生を描いた名作だ。これは長いスカートをまくりあげ足を高く上げて踊るテンポの速い踊りで、踊り子全員が両股開きで着地する。
興行師役はジャン・ギャバン。その情婦役がマリア・フェリックス踊りの名手の小娘役が、アルヌール。ラストのカンカンがこの上なく楽しい。主題歌「モンマルトの丘」を歌うのがコラ・ヴォーケル。そういえば、エディット・ピアフも特別出演した。因みに、この「ムーラン・ルージュ」(Moulin Rauge)は「赤い風車」のことで、これが劇場の壁につけられていたからだ。
後年私と我妻さんはパリに着いたその晩に、この「ムーラン・ルージュ」(もちろん現代の)に出かけて、1920年代に栄えた一大娯楽の殿堂をしのんだものだった。
アヌールの作品で一番忘れ難いのは「ヘッドライト」だ。シムノンと同じく私の好きな、セルジュ・グルーサルの「過去のない女」。初老の運転手がジャン・ギャバン。この男が家庭を捨て新しい人生を送るべく選んだのが、ドライブインのウエイトレスのアルヌール。この二人が迎える悲劇を、哀調きわまるジョセフ•コスマの曲が予告する。原因は今書かないが、女は死を迎える、絶望にかられるギャバンの顔、こんな悲しい映画はそうないと思う。今にして忘れる事のない名画だ。(しみじみと、切ない映画だったなあ)長々と語って来たが、このアルヌールが90歳で、過ぐる7月20日に死去した。よってここに追悼の意味で、「フランソワーズ•アルヌール自伝1
「ブラック•パンサー」はアメリカの黒人解放運動の政治結社だ。最近その活動を描いた「ユダ&ブラック•メシア•裏切り」を観た。20歳で殺された党首に代わって未亡人と息子が未だ人種差別に対して闘っている様を描いている。これを観て
「Black lives Matter/ブラック・リブス•マター」運動の遅来る、それでいて確実な歩みを思いながら・ふと思いついて、古典を見直した。名優グレゴリー・ペックがアカデミー主演男優賞をとった「アラバマ物語2 」だ。これは同時に脚色賞と美術監督装置賞もとった。原作はハーパー・リー。
アラバマ州で起きた強姦罪で訴えられた黒人を弁護士のパックが救おうとして無罪を立証するのに成功するが〜
1987年第2回東京国際映画祭で来日し審査委員長を務めた時会見で、ペックは次のように語った。「映画界に入って43年~自分で一番気に入っているのは、やはり、”アラバマ物語”ですね。25年後の今なお、アメリカの法律制度や人種問題の教科書として学校で上映され,今だに少年達からファンレターが来る」この言をもってしてこの作品の持つ意味と価値が分かろうと言うものだ。
差別といえば人種差別、反ユ ダヤ主義を扱った古典「紳士協定」も薦めたくなる。これもグレゴリー・ペック主演だ。ペック扮するルポライターはユダヤ人嫌いの本質は何かに迫ろうと自分を「ユダヤ人」と偽って社交界に登場する。と今迄彼を白人として受け入れていた人達の態度が突然変わって~。これエリア・カザン監督でこれで監督賞を受けた。カザン自身ユダヤ人。ところがこのカザン、後にアメリカに吹きまくった「マッカーシーの赤狩り」の時には保身に走ってハリウッドの仲間をマッカーシー側に売ってしまった。この「ハリウッドの赤狩り」については「本の話」の597回(2012.4.29付け)で上島春彦、ナヴァスキー他の本を使って語った事がある。その辺を思いつつ観ると思いは実に複雑になる。
世の中にはとんでもない阿呆がいるもので…….まあ、次の発言を読んでごらんなさい。
㋐ NHKは幹事、アナウンサー、社員のほとんどがコリアン系で(だとしてもだから何だって言うんだ山下)
㋑ NHKは日本の敵
㋒ 出演者についても、学者、芸能人、スポーツ選手の多くがコリアン系であり、ひどい事に偶然を装った街角のインタビューさえコリアン系を選んでいる
㋓ 今や日本におけるコリアン系はマイノリティ(minority.少数、少数派、少数民族)どころか日本の中枢をほとんど牛耳っている大マジョリティ(majyority,大多数、過半数、大部分、多数派)
㋔ 毎日ものすごい数で帰化人が誕生している。etc
この妙な増悪に満ちた言葉の数々、発言者は誰だと思いきや、ナントDHC(ディーエチ、シ)なる化粧品の大手の代表取締役会長の吉田嘉明。これが今年4月のこと。然しこの男は去年にも自社提供のテレビ番組「ニュース女子」とやらで、沖縄の米軍ヘリコプターの基地建設に反対する人々を「テロリストみたい」「過激派デモの武闘派集団」「参加者は日当付き」などの嘘を吐き続け、また辛淑玉を中傷した。このテレビでの不法な行為に9月に入って司法が賠償金の支払いと謝罪文の掲載を命じた。
ここに世の故なきヘイトと闘い続ける辛淑玉の本を出しておく。それにしても美しくなりたい方々は、間違ってもDHCのクリームなんて使わぬ方がいいと思うよ。心が歪んでいるのが一番美のさまたげだもんな。