第136回 川柳と鶴涁

`98.10.30寄稿

我が家の居間にはスライド式の本棚が一基置いてあります。その中身は、植物図鑑、鳥の図鑑、食物に関する本(EX.料理名由来考、たべもの日本史、図説江戸時代食生活事典)、人名辞典(EX.日本歴史人名辞典、日本系譜線覧)、地名辞典(EX.日本地名ルーツ辞典、世界地名語言辞典、北海道の地名)、それに歳時記(EX.味覚歳時記、俳句・野菜と果樹の歳時記、季語になった魚たち)等々です。

この種の本又は辞典は、新聞を呼んだり、ニューズを聞いたり、庭に来る野鳥を見たり、その野鳥が落としていった種が発芽したり、と言った時に、その都度(つど)、その都度、引いてみて、楽しみ、かつ、益をこうむっている本達です。

そうした本の中に、一種、趣の違うものがあります。それは「川柳」に関する本です。例えば西原柳雨の「川柳風俗史」から始まって、山本成之助の「川柳医療風俗史1

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「川柳和漢人物史2

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「川柳食物史3

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そして、大いに楽しんでいる「川柳性風俗事典4

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或いは又西村在我の「川柳動物誌5

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「川柳動物誌」なんて、どんな具合に(/時に)読むかって? 例えば、九州在の山崎君から、河豚(ふぐ)が送られてくる。となると一酌しながら、この本の「河豚」を引くと、”君ばかり殺しはしないふぐ料理”(木耳) ・・・などと出ていて、そうだ、そうだ、死ぬならば俺一人でいい・・・ などと理屈をつけて一人占めしたりするのです。或いは又、根室の本間さんから花咲ガニが届く、すると又「蟹」を引いて、”飲む方がおろそかになる蟹の足”(肖五)・・・などと読んで、本当、本当、あ−たらふく食ったぁ・・・と言うところで、酒に戻るのです。

実は昨晩、私は、メガネが新しく出来てくる日なので、勤めの帰り、そのメガネを待つ間、「うなぎ」を食べに行ったのですが、度の変わったメガネをかけて、帰宅して直ぐにこの本の「うなぎ」を引くと、”老眼が進む、八つ目を試みる”と出ていて、オー、ピッタンコンと嬉しがったところです。

こんな風に、自分で作りはしないが、川柳を楽しんでいる私に、耳よりのニューズが届きました。それは、硬派のルポルタージュ作家、澤地久枝が、没後60周年を迎えるプロレタリアの川柳作家「鶴彬(つるあきら)」の全集を復刻刊行するという知らせです。

鶴彬は、昭和14年に、わずか29才で獄中で死んだ川柳作家です。この人の名を知らずとも、「手と足をもいだ丸太にしてかえし6 」なる反戦の名川柳を、どこか読んだと感ずる人は多いのではないか ・・・・・・と思います。

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この全集はかつて(昭52)「たいまつ社」から出たものですが、その元になったのは、一叩人(いつこうじん)と言う川柳作家のガリ版刷りの本でした(たったの100部の発行だった由)。この全集の問い合わせ、申し込みは、東京都渋谷区東3の12の25「有限会社 久枝」消費税、送料込みで¥17.180 です。

鶴彬の登場する林と田辺の本  も読んでみて下さい。因に、「新潮日本人名辞典」をみると、鶴も岸本も出ておらず。用の足りぬこと!!

嬉しく、ありがたい・・・ と言う事よりのニューズをもう一つ。

図書館の殺風景な庭が、−流行を追うのにあらず−ガーデニング風の素敵な庭に変わりました。ありがたいの一言です。皆さん、大いに利用して下さい。

1998年10月30日(金)

▼ 1998年(平成10年)10月14日(水曜日) 室蘭民報(朝刊)

中庭のテラスで読書を 図書館の夢実る−緑陰ベンチ 室蘭東LCが寄贈

「当クラブが”夢買い人”になりましょう」−。市立室蘭図書館(井上方大館長)の中庭に緑陰読書ができる設備が欲しいという呼び掛けに呼応し、十三日、室蘭東ライオンズクラブ(本所光男会長)が、大掛かりな木製テラスセット「ライオンズオアシス」を設置、寄贈した。

緑陰読書設備に関する呼び掛けは、山下敏明副館長が六月三十日付けの室蘭民報文化欄「本の話」の中で行った。「中庭の木陰にベンチを置けば、子供たちを庭に出せ、弁当も広げられる。・・・隣の青少年科学館の温室とガラス張り廊下で結びたい。・・・”夢買い人”は現れてくれないものかしらん」という内容。

同記事に動かされ、東LCが手を挙げた。教育・奉仕委員会(松本輝明委員長)が中心となり、九月以降、同館を視察するなどして設備を設計。この日は午前十一時から設置作業が行われ、同クラブメンバーら約二十人が五時間がかりで仕上げた。

お目見えしたのは、中庭中央のオンコを中心にした八角形(一辺が二.五メートル)のテラスで、その真ん中に一.五メートルの背もたれ付きベンチ四本を並べた。すべて木製で、時価約百万円。児童室から出入りでき、好天の日は木陰で風に吹かれながらゆったりと読書を楽しむことができる。

本所会長、松本委員長は「図書館自体は古い施設だが、市民の力で少しでも環境を整え明るくしたい」と、来年以降も”夢”の実現へ継続奉仕する考え。山下副館長は「まさか”夢買い人”が本当に現れるとは思っていなかった。読書週間も近く、読み聞かせなどの会場にも使いたい。オンコを利用しクリスマスツリーを飾るなど新たな行事を考えたい」と感謝していた。

▼ 1998年(平成10年)10月14日(水曜日) 室覧民報(夕刊)

警笛

貸し渋りと強制回収の証、貸出残高最大の下落。中小零細企業敗れて銀行在り。

それ行けどんどん−資本注入論。護送船団方式が形変えるだけの金融逆ネジ。

関係者の考え聞いて、と知事。先の航路選択は?苫小牧東港フェリー問題に固唾。

人が人を判定する難しさへの知恵。介護認定広域連携。誤認の担保ではなく。

木陰で読書−の夢叶え人室蘭東LC。緑陰テラスに図書館もほほ笑んでいる。

  1. 山本成之助.川柳医療風俗史.牧野出版社 (1972) []
  2. 山本成之助.川柳和漢人物史.牧野出版社 (1974) []
  3. 山本成之助.川柳食物史.牧野出版(1976) []
  4. 山本成之助.川柳性風俗事典.牧野出版 (1982) []
  5. 西村在我.川柳動物誌.雄山閣(1985/) []
  6. 鶴彬.手と足をもいだ丸太にしてかえし.邑書林(2008) []

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