第372回(ひまわり188) 「研究不正」 「日本の聖域ザ・タブー」他

2016.12寄稿

苫小牧を通る時は、必ずイオンの中の本屋に寄ってみる、数年前に模様替えして、本の位置がだいぶ変わった。

それなりの理屈と方針があっての棚分類をしたのだろうが、これが裏目(としか私には思われないが)に出て、本を探すのに甚だ難儀する。映画の棚とか、落語の棚とか、いくつか主題別に並べた棚はまあ〜いいとしても、かように特集されていない主題についての、本の並べ具合が良く分からない。

まあ、それは置くとして、先日行ってみてびっくりしたのは、「日本の文化」ないしは「日本の伝統」らしき主題を扱ったと見られる本を置いた棚に、「江戸しぐさ」を勧める本が何点かあったこと。何故驚いたかと言うと、この本,既に「トンデモ本」と見なされて久しく、今じゃ、それこそ絶滅した本だと思っていたからだ。初めて耳にする人は少ないと思うが、一応そうした人向けに説明すると〜、1980年代、芝三光(しばみつあきら=ペンネーム)なる人物が、江戸時代には人々の間に優れたマナーが伝わっていて、それは例えば、雨の日、すれ違う際に、お互いの傘を外側に傾け、濡れないようにする、とか,乗合舟に乗る時には、後から来る人のために「こぶし」一つ分腰を浮かせて席を作る「こぶし浮かせ」と言った「しぐさ」があた、と主張するもので、聞いた限りではまんざら悪くもない行動だが、これがたちまち教育界やら会社研修会につかわれる用になって、一代流行をきたした。

きたしはいいが、これが「道徳論」めいたものに変じて以来、教育界などで諸々の行き過ぎが生じて、ハテ、この「江戸しぐさ」なるものは本当にあったことなのかと、疑いを持つ人が出始めて、とどのつまり,「江戸しぐさ」なるものは、先記の芝三光なる人物がデッチあげた説と分かり、「歴史捏造のオカルト」つまりは「トンデモ本」の部類に入れられたのだった。

「江戸しぐさ」を批判した人は何人もいるが、集大成的に、と言うことは、徹底的に批判したのは、既に「オカルト”超”入門 」の」著書を持つ原田実で、「江戸しぐさの正体ー教育界をむしばむ偽りの伝統ー1 」(2014/星海社刊)と「江戸しぐさの終焉2 」の2冊がそれだ。

言っちゃ悪いが、江戸文化専門の田中優子(法政大学学長)すらもマンマと乗せられたこのエセ文化論、一般の人、それも教員達でひっかけられた人は数多いるが、私は原田実の本が出たからには、もうこの芝の本は姿を消すだろうと思っていたから、それがそうではなくて先記したように模様替えした本屋の棚に並んでいたのは原田の本にあらず、「トンデモ本」の方だったから、これは嘆かわしいと言うより他はない。

「江戸しぐさ」は、高橋昌一郎の「反オカルト論3 」にも取り上げられているが、高橋が同書で力を入れて書いているテーマは、これ又既に決着がついているかに見える例の「STAP事件」だ。高橋によると、「STAP事件」は今や、「世界三大研究不正」の一つにまで数えられる程のものだと言う。

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この事件については、「STAP細胞に群がった悪いヤツラ4 」(小畑峯太郎著/2014新潮社刊/¥1,300+税)、すこぶる真っ当な本があるが、黒木登志夫・東大名誉教授も「研究不正5 」で2016年の1月に「あの日」なる本をだした小保方について、「自らを正当化し、若山照彦にすべてを押し付けようとする作為的な内容であある」と断罪している。


しかし、いつもの如く世の中、「捨てる神あれば拾う神もあり」で小保方を拾う、まさしく神が出現した。誰であろう、「幸福の科学」大川隆法。

先に挙げた、国学院大学教授で、ウエスタンミシガン大学数学科及び哲学科卒の高橋昌一郎の「反オカルト論」によると、2014年4月の段階大川は・当会の千葉県に大学を作る予定なので、大学の方で小保方を招いてもいい、とエールを送っていたそうな。その理由は。小保方が正しく、その業績が野^ベル賞に価するようなものにかかわらず、業界から”村八分”になっているとしたらーと言うことだが、これは実現しなかった。大学が出来なかったからだ。これは後でもう一度触れる。

私が高橋の本で得た新知識は、大川が釈迦の生まれ変わりだということ。「お釈迦様でも御存知あるめい」なるせりふがあったと記憶するが、釈迦が知らずとも、本人が言うからには間違いなかろう。で、その大川が言うには、安倍晋三は大伴家持、桜井よし子は藤原彰子、北側景子は小野小町の生まれ変わりだと。これ一寸違うのではないか??。

家持は「万葉集」の編者で当代きっての知識人、晋三は、はてね??、家持は政治の表舞台に立てなかったが、晋三は目下権力を謳歌している。これは家持に失礼だわ!!

藤原道長の娘で一条天皇の妃となった彰子(しょうし)に桜井よし子では役不足だ。北川景子は、好きでも嫌いでもなく、只、アルファベット男と妙な結婚?と思うだけだが、「みめ、かたち、もてなし、心遣いより始め、何事もいみじかりけん」と、かの藤原俊成に褒められた小野小町ほどの才気があるかどうか。しかしまあ、私はオリジナルの方も生まれ変わった方も、会ったことがないから確実なことは言えんけどね。

生まれ変わりで一つ成程と思ったのは、大川の前妻は”美と愛の女神”「アフロディーテ」だったが、大川に反乱を起こしたために教団から「永久追放」されて、「ユダ」の生まれかわりとなった由。前妻にしてみれば「天国から地獄」だ。因みに、サンスクリットの「地獄」を音訳したのが「奈落」で二度と脱出できない場所だ。

さて、小保方を千葉県に作る大学に呼ぼうーとの話が駄目になったと書いたが、何故「不認可」になったかというと、大川の著作を教科書として使う点が、文科省に引っかかったためらしい。

大川の大学はさておいて、私大の増加=大学の過剰の問題について参考になる文章がある。「日本の聖域 ザ・タブー6 」収容の「私大と新聞”異様な関係”」がそれ。私大乱立の結果、学生の質が落ちて、授業で「ホワイトハウスってなんですか」と質問したアホタンケな学生の例が出ている。同書には又、「理化学研究所ー利権にまみれた”科学者の楽園”」なる一章もある。

「老害」野依良治が率いたこの組織は、いかなる所であったのか。文科省関係者によると、「リケン(理研)は科技庁の利権」だそうな

新年だ。世事万端、頭がきれるロクデナシ共に牛耳られぬよう、屠蘇は程々にして、我々庶民はシャキットすべし!!

  1. 原田実. 江戸しぐさの正体ー教育界をむしばむ偽りの伝統.星海社(2014) []
  2. 原田実.江戸しぐさの終焉.星海社(2016) []
  3. 高橋昌一郎.反オカルト論.光文社新書(2016) []
  4. 小畑峯太郎.STAP細胞に群がった悪いヤツラ.新潮社(2014) []
  5. 黒木登志夫.研究不正.中公新書(2016) []
  6. 新潮社編集文庫.日本の聖域 ザ・タブー.新潮文庫(2016) []

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