2024、2、19寄稿
昔、図書館に利用者とよく喧嘩する男がいた。細かい事で客を咎める。そして、口論になるとこの男は必ず相手に向かって「あんたは何処の大学の出身だ?」とやる。相手が高校卒業だと、「俺は大学出だ。高卒は相手にしないよ。」と話しを打ち切る。
でもう一人、今度は「俺は6大學の中の法政ですよ」と言うのが癖の男がいた。そう言う位だからこの男は6大学に入っていない大学は相手にしなかった。この男が、いつぞや、室工大の生協の本屋で、何の必要があったか知らぬが一緒に来ている、自分の娘に「〇〇ちゃん、君の大学は何処だっけ?」と聞いたのを見た事がある。娘は答えて「藤短大よ」と言った。男はこれを自慢したかったらしい。
これで又思い出した。私が室工大にいた時物理の助教授だった男だ。私が帰ろうとしてバスに乗るとその助教授が先にいて、「今度息子が大学に入りましてね」と言う。私が「それは良かったですね、どこの大学ですか」と言うと、助教授は離れて後部座席にいる息子に向かって「◯◯君、君はどこの大学だっけ?」と大声をだした。すると息子は「東北大学です」と返答した。思うにバス中の人にこれを聞かせたかった訳だ。
もう一つ図書館であった話をする。分室で客ともめていることがあって、その男が本館にTELして来て文句を垂れる。相手した本館の男が「貴方のおっしゃることは分かりますが〜」と返答すると、男は「お前はどこの大学出身だ?」と言う。本館の男が「◯◯大学」と答えると「そこに、心理学科はあるのか」と言う。「ありません」と言うと、「俺は◯◯大学の心理学科を出た男だが、その俺に向かって心理学を知らない男がよくも貴方の気持ちは分かります、なんて言うもだな」と来た。この連中大学で学んだことをどう考えているんだろう。今東北大の話が出たが、これで、思い出すことがある。私の周りには北海道大学を出た人がごく僅かだがいる。彼らは自分たちを「北大出身」だと言う。これを聞いて私が内心思うのは、この連中は本当に北海道大学を出ているのか?ひょっとして「もぐり」ではないかと思っている。と言うのは….実は「北大」と言えるのは「東北大学」のことなのだ。
何故か?東北大より先に「東京大学」が出来た。それに「東」が使われているのでこの字はもう使えない。それで、字を一つずらして「北大」となったのだ。同じ理屈で北海道大学の「北」は使えず、又一つずれて「海大」となった。ーで結論ー実は「公文書」ではそういう決まりになっている。私の知っている「北大出」と名乗る人達はいずれも「公務員」「弁護士」だが、彼らはこの事を知らないのだろう。私が彼らを(もぐり)と言うのはこれ故だ。上記した事を知りたければ、笹原宏之の「方言漢字」を読むべし.因みに笹原は昨年「方言漢字辞典」を出した。(研究社¥2,700)私はまだ買っていない。
ドイツ皇帝のウイルへルム二世はカイゼル髭で有名だった。カイゼルというのはローマ皇帝に由来する.その髭は両端がはねあがった八の型の髭だ。私が武楊国民学校の一年生のとき、陸軍記念日(だったか)に全校を代表してお祝いの言葉を述べに行かされた.それはいいが、会場(昔の商工会議所)に行き幕が上がると私は驚いて泣き出したのだ。何故って、そこにズラリと並んでいたのは全員カイゼル髭の人達だからだ。軍人だから当然だったのだが、私が驚いて泣き出すと、その中の数人が「あーよしよし泣くな」と言いながら近づいて来て、私は更に泣いた。それでも私は必死に涙を抑えて、用意してきた口上を述べた。カイゼル髭達は笑いながら拍手してくれた。
こんな事を思い出したのは、2月13日東京杉並区の田中ゆうたろうなる区議が性の多様性に関する杉並区の条例に反対し、これを批判するに至って「これらの権利によって男性が女湯に入れるようになる」と主張。選挙公約に「髭を生やした人物が俺も女だと言い張れば女湯に入れるね!〜」とのイラストを入れたというのだ。
これに翻訳家の池田香代子とトランス当事者の鈴木信平が申し立てした由。これで思い出したのが11年も年前に読んだ「ヒゲの日本近代史」。杉並のバカに読ませるにはもったいないが、皆様はどうぞ読んでくだされ。
1月28日、麻生は上川陽子外相について「そんな美しい方とは言わんけれども、俺たちから見てもこのおばさんやるねと思った」と語った。この性差別的発言が批判されると、「表現に不適切な点があった事は否めず」として引っ込んだが謝罪はしない.この話を聞いて笑うバカもいる訳だが、上川の方も「どのような声もありがたく受け止めている」と言うのだから、これまた、救いようのないバカだ.何故怒らないのか!!この上川は東大を出た後、ハーバード大学とやらに行ったとされているが、私は「本当かいな?」と思っている。というのは2014年の事だが自民党の不祥事で閣僚2人が首になってこの上川がその後に法相になった。なったはいいが、その後、上川はある事で無知を天下に曝す事になった.その事を当時私は「本の話」に書いたのを思い出して、出して読んでみると今読んでも色あせてはいないのでここにまた出しておく。「本の話」第833回だ。
小沢征爾が2月6日に死んだ。「世界のオザワ」はいつだったか忘れたが、室蘭に来て、私も聴きに行った。オザワは舞台に現れて数歩歩いたところで、何にひっかかったのか突然転びそうになったがかろうじて踏みとどまった。演奏後汗だくのオザワが浴衣姿で出てきてサインをしてくれるとなった。私は何も用意してなかったので,とっさにその日初めて被ったハンチングを出した。オザワは「これでいいのか?」と笑ってサインしてくれた。写真にあるのがそれだ。今出してみて感無量だ。