司書独言(150)

2014.4月寄稿

○月○日 四国八十八ヶ所をまわり切った韓国女性が、道中の地元のおもてなしに感動し、其の感動を自国の人にも伝えたいとて、許可を得て、韓国語「同行二人」の道案内を各所に貼った所、「日本の遍路道を守ろう会」なるものが「大切な遍路道を朝鮮人の手から守りましょう」「礼儀知らずな朝鮮人達が気持ち悪いシールを貼っています、見つけ次第はがしましょう」とやった。これを憂える人に対して、石原の息子が「人種差別って、そんなに広がっているんですか」と脳天気なことを言う。ヘイトスピーチが法で禁止されたことを知らないのだろうか。おまけに、その人種差別の最たる人間が自分の父親で、あおりそそのかしている張本人だ、という自覚がないのだろうか。

○月○日 父親の方は相も変わらず、慰安婦問題で韓国大統領は「薄っぺら」と言ったり、中国に対して「あんまり日本をなめない方がいいぞと言った方がいい」なぞと言っているが、呆れたことにこの舌禍居士が、「大阪御堂筋を規制緩和するから、財界人は高級マンションを造って愛人のニ,三人を囲って経済活性化を計ってもらいたい」との話しをした失言居士の橋本に、「言葉を考えて選ばなきゃいかん、時々ハラハラする」と注告?したが、本人自身が「人の振り見て我が振り直せ」ではなかろうか。

○月○日 脳天気と言えば8%upの安倍総理が、新宿御苑での花見で「給料の上がりし春は八重桜」なる一句をひねり、早速「脳天気風が身に染む八重桜」とツイッターとやらで返された。庶民事情を察知せぬ安倍の脳天気は,この句にもう一点あって、俳句ではしてはならぬ「季重なり俳句」をやっていること。つまり、八重桜に春と季語が重なっていることで、これ、「季語は必ず一つ」の俳句の大原則についての無知の現われ。俳句「ベからず」集の趣のある名著、その名も阿部二人(にひと)の「俳句ー四合目からの出発ー」位読んでおいてくれないと、字が異なるとは言え同族(=あべ)に失礼になるのではないかしらん。

○月○日 今年の本屋大賞が和田竜の「村上海賊の娘」に決まった。先年は、NHKの理事に抜擢されて、世の中からヒンシュクを買ったエンタメ右翼・百田直樹の「海賊と呼ばれた男」を選ぶと言う、さっぱり世のタメにならぬ結果を出来させてくれたが、今年は大丈夫のようだ。和田の「のぼうの城」、原作は読まず映画で観たが、期待した程面白くなく、だったが、この作家、さるインタビューに答えて、「自分は浦和周辺に住んでるが、それでも 『その小さな共同体のために命を捨てるのは尊い』と上から言われれば『大きなお世話だ』と言うでしょう。自分の生き死にぐらいは自分で決めたいものです。」と断言する。この態度、調子こきの国のためには命を捨てろ式の百田直樹とは雲泥の差で、信用していいい人物の様に思える。という訳で、今年の本屋大賞は”まとも”かも知れん。

○月○日 朗報、朗報!!野口観光の野口秀夫社長は、「創業50周年」記念の一環として「ふくろう文庫」に50万円を寄付して下さった。同社長は45周年の時にも45万円を寄付してくれるなど、これまで数回の寄付があり、「ふくろう文庫」には野口社長の善意の結果,下記表の如き善本・良書が揃っている。今回。野口社長は取材に対して”「ふくろう文庫」は寄付の結果がはっきりと目に見える所が素晴らしい。これからも支援する”と語ってくれた。感謝の他ない。

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