司書独言(174)

⚪︎月⚪︎日 延暦寺と聞けば僧兵を抱え,意に満たねば強訴して朝廷をおびやかし、挙句信長に焼き討ちされたことを思い出すが、6月初旬「延暦会館」の副館長が年下の修行僧を殴って鼓膜を破った事件が起きた。この坊主前にも同様の暴力を振るっていた由。荒法師の伝統は絶えていない訳だ。

⚪︎月⚪︎日 中国問題専門の金子秀敏によると、習近平は毛沢東にならって自分を「核心=最高指導者」と呼ばせようととの動きを示し、後継者人事を党員が議論してはならぬとの条例を出した由。犠牲者200万人以上の悲劇を残した文化大革命を発動した毛沢東は言わずもがな、米国のトランプの勢いも合わせて、一国の指導者たる者の知性、理性の劣化ということを考えざるを得ない。

⚪︎月⚪︎日 6月初め、七飯町で仕付けだとて駒ヶ岳の林道に放置された7歳男児が6日ぶりに鹿部で保護された。珍しい事件だから切り抜いて地名辞典に挟もうとしたら,七飯のブナ林の切り抜きが出てきた。このブナ林、プロシアのガルトネルが故郷を偲んで植えたもの。この人は西洋リンゴを日本に初めて植えた人。仕付けも悪くはなかろうが、過度の仕付けを受けた子供はブナ程に健やかに伸びるだろうか

⚪︎月⚪︎日 ムハマド・アリが6月3日74歳で死去。多数のコメントの中で”よく言うわ”と思わせられるのがアントニオ猪木。曰く「試合は大変な酷評だったが、時間が経つに連れて評価が変わっていく。一つの信念、思いは人に認めてもらえることがあるなあ。とアリさんを思い起こす」。これは見るに値しない試合をした者の自己弁護で,アリに対する餞(はなむけ)ではない。猪木の信念は自分を売りたいだけで、人種差別に抵抗するなどアリが示した信念とは似ても似つかぬ。

⚪︎月⚪︎日 米オハイオ州のシンシナティ動物園で、絶滅危惧種のゴリラが射殺された。3歳の男児が1m高の柵を越えて池に落ち、これをゴリラが引きずり投げたのが原因。この子ゴリラを恐れなかったのか?。昔私は吉村昭の「熊嵐」の現場,苫前に行ってみた時、道案内板の熊がテディベア並みに可愛く描かれていて、ちっとも怖くなく、熊の凶暴さを訴えるものではないことに甚だ違和感を持ったことがある。あれでは熊の恐ろしさはわからない。話は変わるがアライグマも、絵本やその他で余りに可愛く描かれていて、その分厄介な動物だということが分からない。その結果ペットにしてみて、とんでもない動物だと分かって放り出して。となる。この3歳児もゴリラととお猿さんの区別がつかなかったんだろう。哀れなゴリラ

⚪︎月⚪︎日 梅雨到来だ。フランス人の金髪を使った毛髪湿度計が今でも美術館他の湿度管理に使われている。毛髪は湿度が高いと伸びる性質があるからだ。以前若い中国人と筆談で頭髪の話になって「毛」と書いて頭を指しても話が通じない。後で分かったのは「毛」は獣の毛で、人間の頭の毛には使わぬと言う事。だけど連想てものが働かないかね。

⚪︎月⚪︎日 苫前の熊の話を書いた後すぐ、6月中旬になって、秋田でツキノワグマが人を食べた事件が起きた。「日本ツキノワグマ研究所」の米田一彦理事長によると、「熊が出血した人の血を偶然なめて食べ物と認識し、襲い始めた可能性が高い」と。4件の死亡事故は戦後最悪の由。来月の「あんな本・〜」で米田の本を取り上げてみようかな。前記した「熊嵐」の事は2003年8月号の「あんな本・〜」を読んでくれるといい。バックナンバーを見るには「http://t-yamasita.info/」

⚪︎月⚪︎日 「射殺クマから人体の一部」の記事でギョッとしたが、去年の7月ギョッとしたのは、ニホンザルがライチョウのひなを襲って食べた話。北アルプス•東天衣井岳(2800m)での事。言うまでもなくライチョウは特別記念物だ。猿や鹿など本来里山にいる動物が高山地帯へ侵入した結果だと言う。山岳信仰と結びつき「神の鳥」と大事にされてきたライチョウは人を恐れないから、猿おも恐れないからむざむざ掴まってしまう訳だ。ライチョウを食べる習性がサルに広まったら、と研究者の中村浩志は危惧する。芋を洗って食う、温泉に入る位は佳としても、サルが肉食を覚えたら!!と思うと恐ろしい。

⚪︎月⚪︎日 5月初め、米上院は陸軍長官にエリック・ファニングを任命した。と聞けばそれがどうしたの?となるだろうが、この人、実は同性愛者。で、つまりは今人事で初めて文民のトップに同性愛者が座る事になったのだ。大いに結構と思っていたら、6月に入って、米フロリダの同性愛者が集まるナイトクラブで乱射事件と来た。バカな事をと呆れるだけだが、ライフル銃の所持がアメリカ全土で3億丁を越えるよし由。自業自得といえば怒られるかも知れぬが、そのうち米国は銃で滅びるかもしれない。

⚪︎月⚪︎日 江差追分全国大会の優勝者で、きのこ販売の会社社長が江差追分の祭典のために1,000万円寄付との記事がでた。いつぞや江差でこの大会を聞いた事があるが、歌い手の声量たるや想像を絶する声で、耳にバリバリなんてものじゃなく、本当に魂消た。それにしても豪気なこと。「ふくろう文庫」の身としては羨ましいい限り。

 

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