司書独言(222)

2020.8.15寄稿

◯月◯日/8月5日に米の作家でジャーナリストのピート・ハミルトが85歳で死すと報道された。と言ってもピンとこない人もいるだろうが、この人、山田洋次の傑作「幸福の黄色いハンカチ」の原作者。この人がニューヨーク・ポスト紙のコラムに書いた「ゴーイング・ホーム」がそれ。夕張が舞台の良い映画だった。

◯月◯日/私はこの映画で初めて武田鉄矢を知った。それまで海援隊もなにも知らなかった。このあと、武田が淡谷のり子対談して、淡谷に「その髪どうにかならないの」とやられたのを読んだ。この武田、週刊誌によれば今や「日本会議」の一員らしい。「金八先生」とやらの根性ものに出たおかげで頭が「精神主義的」になってしまって、「超保守」の主張にかぶれてしまったんだろう。笑えるね。

◯月◯日/「新聞記者ドキュメント」を観た。辺野古だ、モリカケだ、の質問で菅をタジタジとさせた東京新聞の望月衣塑子記者の取材の様子をオウム真理教の信者を追った作品「A」の森達也監督が追ったもの。望月の鋭い質問に苛立って菅が見せる醜悪極まる表情がまことに見苦しく薄気味悪い。同じく、突っ込まれた麻生が思わず「イイ加減にせいや!」とすごむ場面など、これ、東映のヤクザ映画の一場面家と思われる程で、麻生の本性が丸出しになる。これ、去年の第32回東京国際映画祭で「スプラッシュ作品賞」を受賞した。めでたい!!

◯月◯日/望月の連発する質問に閉口した官邸側が記者の質問時間に制限をつけたりした事は既に報じられた通り。ところが、8月7日になって、広島での安倍記者会見の場で、「まだ質問ありますか」と言って右手をあげた朝日新聞の記者のその手を官邸職員が掴んで制止したとのトラブルがあったと報道された。朝日は「質問の機会を奪う行為につながりかねない」と官邸に文書で抗議した由。

◯月◯日/先のドキュメントでも望月の質問を邪魔する官邸側の行為が何度も映し出されるが、この公務員連中こうして目立つ事で安倍やら菅やらの「覚えめでたし」となって第二、第三の佐川にでもなりたいんだろう。浅間しい奴等だ。

◯月◯日/浅間しい奴と言えば、政治評論家の田崎の爺さんもそうだ。安倍の国会も開かず、記者会見も碌にせず、の態度を弁護して「お忙しい」で「お疲れになっているから」だと。記者に答弁もせずに、さっさと帰宅して星野ナントカやらの歌に合わせて犬を抱き、茶を飲みーかと思えば麻生だ、二階だを公邸に呼んで会食をしている安倍の、どこが忙しくて、何故疲れるのか。弁ちゃらも休み休み言えだ。

◯月◯日/おまけに国会を開かないのは「国会というところは、予算案や法律案、条約案件と言った重要な問題を論ずる所で今のところそれらがないので開く必要がないのだ」と安倍に代わって弁解する。国会を開くべきだと思っている80%の国民が、この田崎の弁解に納得すると思っているのだろうか。このニタニタ爺は後世安倍の名が忘れられても、「ナンの主義もなく、ただ時の政権に媚びる人」代名詞として辞典に載るに違いない。

◯月◯日/薬をもらって薬局前でタクシーを拾うと、運転手が「この薬局は”あいそ”はいいですか」と聞く。「いや、小男1女5人だけど全員ニコリともしないね。おまけに男は5人の女より背が低いんだけど。それが ”ハーイ、おはよう。お父さん”と言って薬を渡すんだ。「ここは保育所か? おまけにお前は俺の息子か?と返したくなるけど無視しているんだけどね。だけど、どうして?」と聞き返すと「月に1度の病院帰り〜ッッてコマーシャルがあるでしょう」「知らない」と私が言うと、

◯月◯日/「そうですか、まあ、そのコマーシャルがね、病院帰りに薬局によって、家族にも言えない事を相談したり〜、と続くんですけどね、私は今迄そんな薬局見たことないんで、これ本当かと思っていたんですけどね」と言う。聞いて私も呆れてしまう。私も今迄4カ所の薬局を知っているが、私の運が悪いのかいずこも皆愛想が悪く、一度など嶮のある顔の中年女から「今度お薬手帳忘れたらお薬渡せませんよ」と脅かされた事もある。ムッとしたが、この女も何か悩みでもあるのかも、と同情してガマンした。人生相談に乗ってくれる薬局なんて絵空事としか思えない。ふざけたコマーシャルだ。

◯月◯日/と思っていたら、メディア文化評論家・碓井広義の文章が目に付いた。それはフジテレビ系の石原さとみが扮する薬剤師が活躍するドラマだそうで、このドラマのスポンサーが9社。その中の半分が大手調剤薬局と医薬品メーカーが占めているという。しかもドラマの間に流される CMがどれも当然ながら自社の宣伝で、それは例えば「お薬と患者さん、それをつなぐのが薬剤師」とか「〜いつでも相談できる安心。そんな薬剤師がいることが家族を支えてくれている」と言ったメッセージ入りだと言う。

◯月◯日/碓井は「ドラマ全体が調剤会社の”60分CM”に見えてくる」と言い「ここまで露骨にスポンサーと”密”な関係のドラマは前代未聞だ」と言う。フジテレビの社長は確か小説家遠藤周作の息子の筈だが、その息子はそうした広告集め知っていて”沈黙”しているのだろうか。運転手の言っていたCMもこの類だな。

◯月◯日/トランプが在独米軍を一部撤退すると半ばオドカシの表明をした。これに対してドイツ左翼党のバルチェ連邦議員団共同団長が「核兵器もお忘れなく」と胸をすくようなお返しをした。ドイツ国民の7割もこの発言を支持したと8月上旬報道された。ヤクザのトランプの娼婦的な安倍は只々ムシリトラレ、ミツガサレルだけだ。トランプに首を切られたタカ派のボルトンが、トランプが「日本と韓国から米軍を撤退させると脅かして、各各80,50億ドルを出させろ」と言ったと暴いた。

◯月◯日/インド北部のパジャブ州で有毒な密造酒を飲んで89人が死んだとのニュース。8月4日の事。インドでは毎年貧困層がこの種の酒で数百人死んでいる由。読んで思い出したのは日本で敗戦後出回ったカストリ焼酎。これ米、芋などから急造し粕(カス)だけとった(=カストリ)下等な密造酒。これで沢山の人が死んだ。室蘭でも郵便局(本局)前の闇市で売られていたと、子供の頃聞いたけどな。

◯月◯日/去年の台風19号が来襲した時、多摩川と荒川の濁流を見た菅がこの被害で「株価¥1,000位下がるんじゃないかと鳥肌がたった」と発言して、人の命より株価暴落を心配する、その非人道的発言に批判が出た。その菅が最近変わった柄のマスクをしていて記者が聞くと「ウポポイのアイヌからもらった魔除けの印が刺繍されたマスク」とわかった。人の命軽んじる菅にこのマスクつける資格あんのかね。もったいないな。マスクのほうが菅を避けたいんじゃなかろうか。そのウポポでは7月中旬荻生田がアイヌを「原住民」とする差別発言をした。この男にもマスクやったのかな?

◯月◯日/大阪の知事がうがい薬がコロナに効くとか言い出して、薬局から件の薬が消えたそうな。これに足しいて医師会らからこれは科学的根拠なしの論との批判が出た。当たり前だ。それにしても薬買いに走った連中、なんでこんな男の言うことを信じるのかね。20年も前、サラ金の「武富士」がその悪質ぶりで問題になった。その悪徳会社の弁護士だったのがこの吉村だよ。私は当時「武富士」を知らなくて、最初聞いた時は競馬の騎手の名前かと思った記憶が有るけどね。

◯月◯日/序でに言うと、同じく悪質サラ金会社「アイフル」の子会社の顧問弁護士をしていたのが橋下徹だよ。弁護士と言うよりは悪徳三百代言とも言うべきこの2人を続けて市長に選ぶ大阪市民の判断力って一体どうなってんのかね。そもそも吉村を橋下に紹介したのがあの”やしきたかじん”だ。こう並べるとこの連中その質の悪さにおいて似たり寄ったりだと思わない?しかしまあ、石原、舛添、猪瀬、小池とくる東京、それに対する上記の大阪。とてもの事、人格者とは思えぬ者ばかりの連鎖だなあ。都民も市民も”悪人好み”なのかね。と言うと、じゃあお前の所の知事は?市長は?と来られたら、貴方ならどう答える?。

◯月◯日/「こいつにだけは言われたくない」とか「お前がそれ言う柄かあ!」と言った感情をもたせられることが間間あるが、敗戦記念日を迎えてのナベツネが正にそうだ。ナベツネとは御存知「読売」のトップで90歳を超えた渡邉恒雄。かつて球団の労組に向かって「〜選手の分際でナニを言うか」と言った男。その爺様がNHKスペシャル「戦争と平和を考える」でこう語ったという。私はテレビ見ないから新聞からの引用だ。

◯月◯日/曰く、「あれだけ人を何百人も殺して日本中を廃墟にした。その連中の責任を問わなくて、いい政治が出来る訳がない、戦争のことは書き残していかないといかんのですよ」。その言や佳し。然しそう言うアンタは、それでは何故今の安倍にべったりなの。それどころか、安倍に至る歴代保守政治に一番すり寄ってきたのはアンタじゃないの、どの面下げて偉そうにそういうことが言えるかねえ〜というのが私の感想だ。このナベツネ一応東大出だが、東大時代は共産党員だった。つまり反体制の闘志だった。今必死に安倍にべんちゃらふるのも、この前歴を隠したいからだろう。困った爺様だ。

◯月◯日/女優オリヴィア・デ・ハビランドが、死んだ。おどろいたことに104歳。妹で同じく女優のジョン・フォンティンと共に日本生まれ、49年の「女相続人」でアカデミー主演女優賞を取った。これは小学生の時、アーケード街にあった「東宝」で観た。同級生の内海さんの姉さんがモギリをしていたので顔パスだったのだ。姉妹揃って品のいい美女だった。妹の方も「レベッカ」と「断崖」(これでアカデミー主演女優賞)に出て、殊に「断崖」は私の好きなケーリー・グランドと共演で、幕切れの場面は今でも覚えている。ケーリー・グランドも品のいい人だった。

◯月◯日/ところで、今モギリと書いたが、これ今でも使われている言葉だろうか。漢字で書くと「捥り」で、これ劇場など興行物の木戸口で、切符を受け取る時、これを引きちぎって、つまり半券とすることから来た言葉だ。「東宝」には内海の姉さん、「日活」には長姉の同級生の三浦さんがモギリ嬢をやっていたから、ここも時々顔パスにしてくれた。「日活」で観たスズキスミエの「化猫」映画には心底震え上がったなあ。

 

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