司書独言(248)

◯月○日/前回の「あんな本こんな本」でカンボジアのポルポト政権が行った非道について触れ、「共産主義黒書、アジア編」とポルポトの伝記が載っている「安田峰俊」の「独裁者の教養」を出しておいた。その後、映画の資料を整理していたら、忘れていたのが出てきたので、此処に加える。

それはポルポト政権下の家族を描くアニメ映画の「フナン」。これ、2020年の第42回アヌシー国際アニメーション映画でグランプリをとったもの。

◯月◯日/監督のドゥニ・ドーは、自分は白人ではないのにフランス生れだと氣づいて母に聞いてみた所、カンボジアから逃れてきたと」聞かされ、その母親の体験を描いたものだ。タイトルの「フナン」は「扶南」のことで、1世紀から7世紀にかけてカンボジアとベトナム南部で栄えた国家の名のこと。それでも、ビデオ屋で探したがナシ、聞いてみると、まだDVDになっていないが、ネットのナントカでは見ることができるとの返事。我が家ではそうした機器がないので断念。早くDVDになってほしいものだ。

◯月◯日/私はスーさんの三國と浜ちゃんの西田主演の「釣りバカ日誌」は全編見ているが、釣りは今までに1度しかしたことがない。室工大勤務中に。我が家に飲みに来ていた電子工学科のKが釣り好きで、こんなに面白いものはないから一緒にやろうとしきりに勧めるので、全部彼任せで、私は徳利一本持つだけで、我妻さん共々「陣屋の浜」に出かけた。カレイが何匹か釣れたが、私は「釣りバカ」とはならず、つまりハマラナかった。

◯月◯日/ 但し肉嫌いの私は魚は毎日食べるから「魚」についての本も読むし、新聞の記事も切り抜く。それで、先日新聞に「浦島もびっくり!?」なる記事が目に入ったので、読むと、これは魚にあらず、「魚籠」についての記事。あの浦島が腰にぶら下げているやつだ。この「魚籠」が今では、水中に沈めて置く「スカリ」なるタイプが主流だ云々。で、私は、これを切り抜いて「万葉集」のNO,1740にはさんだ.NO,1740は高橋虫麿の「水江の浦の島子を詠むみし一首」だ。

◯月◯日/ 私の本棚には、坂口保の「浦島説話の研究」(新元社)他7冊の浦島文献があるが、ここで宮城県の知事の事を思い出した.2017年8月、村井嘉浩知事と女優(?)の壇蜜と組んで作った宣伝動画が極めてわいせつと指弾された事件だ。せっかくだからその時書いた「本の話」NO739を出しておく。

◯月◯日/ 野田佳彦がアベの国葬に出た上、国会で追悼演説をぶった。野田といえばジャーナリストの斎藤貴男の「野田評」を思い出す。「野田が、組閣前に日本経団連にあいさつに行くという、自民党でもしなかった事をしました。誰のための政治をするのかの明確なメッセージです。政治を維持するために、いかに財界とアメリカにいい顔をするかが〜」

◯月◯日/ この野田、加地伸行の「続、マスコミ偽善者列伝」でからかわれているよ。事はフラフラ男の細野豪志が二階派入りした時、野田が「離党」した人の「股をくぐる気は全くない」と言ったそうな。これは「韓信股くぐり」なる故事に由来するが、それを文春記者が「感信の股くぐり」とした。それで加地は「韓信」を「感心」とは、と文春と、野田をからかった訳。

◯月◯日/三遊亭円楽が72歳で9月30日に死んだ。この人について、私はよく知らないが、。週刊誌の記事でだったと思うが、妙な事を一つ覚えている。仲間の卓球が好きなナントカ言うのとのやりとりで、「晴天の霹靂=せいてんのへきれき」なる言葉を知らずに、「それ何?」と聞いて、卓球男が「こりゃ、せいてんのへきれきだ」と返したと言う話。この四語の意味は「全く予期しなかった突然の出来事」だ。

◯月◯日/ 言葉を操る落語家の円楽が、この言葉を知らない事に、卓球男がたまげて、同じ言葉でその驚きを表現した訳だ。この4字中国の詩人「陸游」が病気で寝ていたが突然起きて字を書いた。その字は長いことひそんでいた龍の様で、青空に雷を轟かせる勢いであった。云々

◯月◯日/ いつも使う故事辞典には、田中角栄失脚の後の首相に指名された三木武夫がこの言葉を吐いた。と出ている。序でだから私の好きな一海知義による「陸游」を出しておこう。

◯月◯日/ 「死にたい」と言うので「死ぬのを助けた」との妙な事件が続いているが、過ぐる9月13日にスイスの自宅で死んだフランス映画の巨匠ジャンリュック・コダールも自殺幇助で死んだ由。スイスでは医師処方の薬で自殺する事が一定の条件下で認められている由。一方、オランダ、ベルギー、ルクセンブルク、カナダ、スペインなどは安楽死が認められていると。

◯月◯日/ そう言えば評論家の西部邁(すすむ)が78歳で知人2人の助けを得て多摩川で入水自殺したが、この2人は懲役2年になったもんな。この時の記事は西部と佐高信の共著「難局の思想」(角川新書)に挟んである。日本では、安楽死にせよ、自殺幇助にせよ議論が深まるとは思えないな。何しろ葉梨とか言う法相が「死刑のハンコ」云々でクビになる国だ。話にもなりゃせん。

◯月◯日/ オリンピック汚職で森にも司直の手が伸びているらしいが、その森で思い出す事がある。よく知られた「神の国」発言だ。森は首相現役の2000年に、パーティーで「日本は天皇を中心にしている神の国」とやった。丁度この時、天皇はオランダ修交400行事でアムステルダムに行っていたが、この森の発言がきっかけでオランダ側の戦争被害者たちから抗議された。

◯月◯日/ 当時私は北海道新聞の「朝の食卓」なるコラムを担当していて2000年(平成12年)6月16日(金曜日)にこれについて書いた。すると函館の男から「森首相をさげすんで、馬鹿な事を言うんじゃないよ」etcの脅迫状が来た。私はほっておいたがその手紙は今もある。

◯月◯日/ 然し、今に至るも森は批判された事について、「何が悪かったのかさっぱりわからないが、私をつぶせということだったのだろう」と以前と変わらず、脳天気な事を言っている。やはり「おつむ」が弱いのかもな。そうだ序でに朝の食卓も出しておこう。

◯月◯日/ 韓国がハロウィンのおかげで大騒動だ。これで思い出した事がある。大学生の頃私は東大農学部前の学者町と呼ばれている西方町に下宿していた、東大、法政、中央大、日大、共女子大、日本女子大と色んな人がいたが、11月の在る日、浅草千束の「酉の市」に皆で出かけた事がある。

◯月◯日/ 東大構内を突っ切って上野の池の端に出、浅草まで歩いて行ったのだ。着いたはいいが、ものすごい人出。その人混みに揉まれている中に、ふと気がついたら、私の足は地に付いていない。横を見たら共立女子大の衣子さんが私と一緒に宙に浮いている。苦しくはなかったが、そのまま、つまり足が浮いたまま20m余り流されたのだ。誰が押しているのか知らんが、すごい力ではさまれてそのまま動くのだ。

◯月◯日/ まあ、お酉様のところは袋小路ではないから悲劇は起きなかったけれど、あの体験はこれ一度きりだ。見に言ったけど熊手は買わずに来たね。ところで「ハロウィン」は秋の収穫を祝い悪霊を追い出す古代ケルトの祭りが起源だ。

◯月◯日/一方日本にも「十日夜(とうかんや)」と言って10月最初の「亥」の日に万病除けの収穫祭がある。それなのに「ハロウィン」か?そこで「ハロウィンの陰でないてる十日夜_なる句が在る訳だ。

2022,11,14

山下敏明

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