第167回 マヤコフスキー変死の謎

`00.7.14寄稿

昔モスクワに行った時のこと、夜の街並みの暗いのに驚いた。ネオンサインの類いが、全くと言っていい程無くて、大した数があるとは言えぬ街灯のぼんやりとした光があるだけだから、最初は一寸異な思いがしたが、慣れるとかえってその暗さが味わいあるものに見えてきて、興がはっきりとせぬ横町なぞには、思いもかけぬ情趣があって、「あーきれいだな」と思ったことだった。きっと19世紀のモスクワは、ケバケバしさのない淡々とした美しさを持つ街だったに違い無い。 続きを読む 第167回 マヤコフスキー変死の謎

第165回 ドイツの歴史教育と日本

`00.6.16寄稿

「ブッチホン」の小渕元首相は、私と同じ年か一つ下、森首相は更にその一つ下、位で、つまりは同年輩だが、私は時々、彼と我、育った時代が違うのではないか・・・と思う時がある。

故小渕元首相は、今おくとして、森首相に対しては殊にその感が強い。と言うのは、私は、いわゆる戦後の「墨ヌリ教科書」で育った世代で、言い換えれば、戦後民主主義の教育を会身に受けて小学校、中学校を終えたのであって、私自信は、いい時代に、いい教育を受けたものよと、ありがたい気持ちでいる。 続きを読む 第165回 ドイツの歴史教育と日本

第164回 運動会の本とシーボルト・イネの本

`00.6.2寄稿

私は、栄高校の2年まで硬式野球の選挙で、3年生になると、受験が控えているので退部したが、足はこれでも遅い方ではなかった。だから運動会はちっとも苦にならず、又、3等以内に入らぬと言うことは、先づなかった。 続きを読む 第164回 運動会の本とシーボルト・イネの本

第163回 絵本作家と風刺画家グロッズ

`00.5.17寄稿

今年は「国際児童年」だが、先週、そのことに関して北海道新聞社の本社から、生活部の記者で、旧知の、五十嵐さんが取材にきた。色々なテーマについて聞かれたが、その一つに「近年出た絵本の中で、山下さんにとっていい本は、どんな本ですか」と言うのがあった。そこで私は、二人の作家の作品集をあげた。 続きを読む 第163回 絵本作家と風刺画家グロッズ

第161回 桜と花見 トンカツの誕生

`00.4.7寄稿

今朝の「室蘭民報」の第一面は「有珠山新火口と泥流確認」と先づあって、次が「爆発的噴火を警戒」だ。その横には、小渕首相が緊急入院でとある。一昨日の中央紙には「四月に入って最初の日曜日になる二日、東京都台東区の上野公園では桜が三〜五分咲きとなり、多くの花見客で賑(にぎわ)いました」とて、四万人の行きかう写真が出ている。こっちはそういかぬ。噴火のおかげで「桜の名所として有名な有珠善光寺ツアーは当然、取りやめ春の目玉なのに痛い」との談話(旅行代理店)がやはり、「民報」に出ている。 続きを読む 第161回 桜と花見 トンカツの誕生