◯月◯日/「かもめーる」なる暑中見舞い用のハガキがある.1986年の夏から日本郵便が売りだしたものだ。これは日本人の発想で始まった習慣で中国由来ではない日本独自の風流な習慣だ。 続きを読む 司書独言(229)
第421回(ひまわりno237)習近平の「夜郎自大」
2021.4.7寄稿
ミャンマーで国の軍隊が国民を殺している。国連がこれを止めたいが、ロシアのプーチンと中国の習近平がこれに首を縦にふらぬから何の動きも出来ない。香港の民主主義も、これまた習近平のおかげで今や風前の灯火だ。 続きを読む 第421回(ひまわりno237)習近平の「夜郎自大」
本の話(827)俳優レーガンは密告者
司書独言(228)
◯月◯日/ これを書いている今日は3月11日。室蘭ではまだ残雪だが、京都では梅が散り始めているとのニュースだ。平安京の守り神たる城南宮では、散った梅の花びらが絨毯のようになっている所へ、これ又点々と散った椿の花が彩りを添える。この2つが揃った光景が続く間を「惜梅」と言うそうな。辞書にもない言葉だ。初めて知った。いい美しいい言葉だなあ。
◯月◯日/ 美しいと言えば丸川珠代なる女、どこやらの国際会議に出て「アジアン・ビューティ」と呼ばれたそうな。これを自民党のナンタラという男の馬鹿議員が国会で嬉々として報告してた。ところが、この「アジアン・ビューティ」どうも褒め言葉ではなくて、幾分さげすみの要素があるとの話が出てきた。となると、ふざけた話で喜んだ男がコケにされている訳だ。
◯月◯日/ ふざけたと言えばこの丸川、国会に上下真白の衣装で現れたくせに、その実態は「選択的夫婦別性」に反対の女だ。反対の証拠に自民党国会議員50人が同党の地方議会議長宛に出した同制度導入に反対するよう求める意見書に自ら署名している。何故ふざけたと言えるのかと言うと、この上下白の衣装は米では参政権運動の象徴とされていて、男女の性差別を解消しようとする側が着るのが今や常識だからだ。つまり、丸川は自分の主張とは違った服を着ているチグハグな女だということ。丸川には白を着る権利はないということだ。
◯月◯日/ 岩手県の九戸村には人語を解し天気や、運勢を占う「オドデ様」まる神がいて、その姿は上半身がフクロウ、下半身が人間だそうな。50年近くフクロウのあれこれを蒐めてた私ながら、この神様は知らなかった。水木しげるの「日本妖怪辞典」にもでていない。もっともこれ、妖怪でなはいもんな。
◯月◯日/ 幼馴染の泰子からバレンタインデーに紹興酒をもらったので、お返しに「ミモザ」の花束を届けた。ところで「ミモザの日」と言うのがある。3月8日の事で、1908年3月8日に米国で女性労働者が参政権を求めてデモをした日の記念だ。これを背景にして1977年に国連が女性の地位向上を訴える日として定めた。丸川になぞ「モミザ」の花びら一片でももったいない。そう言えば昔、大女優フランソワーズ・ロゼーが主演の名作「モミザ館」があったなあ。因みにモミザは本来「おじぎそう」の事だが、日本ではハナカシアが演芸関係者の間で間違って「モミザ」と呼ばれている。
◯月◯日/ 2017年、苫小牧市立図書館は「図書館流通センターに」民間委託されたが、その直後、苫小牧警察所が或る利用者の貸し出しや予約の記録の提供を求めると、令状がないにもかかわらず。これに応じた。私はそれを知って、これは図書館がしてはならぬ事だと「本の話」で主張しかつ、青山市長に営利本位の民間に図書館を委ねるとこういう馬鹿な事をするから、室蘭では民間委託はダメだぞと釘を刺した。
◯月◯日/ それが、今年に入っての3月9日の報道によると、苫小牧の図書館は今年2月になって、市民や市議からの反対を受けて、漸く、これからは警察の令状なしの捜査には協力しないとの態度を決めたと言う。戦前は市民の思想調査に利用者の貸し出しカードが使われた事はよく知られた話だ。何を今更と呆れるが、まあ漸く普通の図書館に戻った訳だ。図書館は日本図書館協会の「図書館の自由に関する宣言」を図書館の入り口に貼っている筈で、これにも悖るような事は夢夢してはならぬという事だ
◯月◯日/ 私は読んだ事がないが、「ドクター・スースー」なる児童文学者の本を、トランプの妻君のメラニアが学校に寄付したそうな。ところが、学校の司書が「彼の絵本は人種差別的だ」として断った由。メラニアも亭主同様、差別には鈍感と言う訳か。スースーの本は目のつり上がった中国人が描かれているそうで、これが「アジア人や黒人の描き方が不適切だ」との批判につながっているようだ。「アジアン・ビューティ」とほめられた(?)丸川のつり上がった目を思い出すね。
◯月◯日/ 菅のとんでもなく薄汚い息子の東北新社での役割は「接待要員」だそうな。言い得て妙だ。まあ身から出た錆びだが、この馬鹿息子らの行動によって「総務省」の仕事がゆがめられたのではないか、と国会でとっちめられている武田良太なる総務大臣は言を左右にして「歪められていない」と力んでいる。この武田、昨年12月の報道によると、その政治資金による飲食会会費においては回数トップ。2年間で443回(因みに2位はあの下司な麻生で335回)その費用たるや2位3,151万1447円(因みに費用トップは下品な麻生で4551万7085円)だ。
◯月◯日/ 武田が好きなのは寿司屋で赤坂の寿司屋に32回通って計860万払っている一回で100万払った時もある由。どんな寿司を食ってるんだか??これだもの山田ナントカ言う女が7万近くおごられていても驚く筈もなく、結果行政は「ゆがめられていない」となる訳だ。それにしても恐れ気もなくよう食うな!!国民の側もどうしてこんな連中に投票するんだろう。
◯月◯日/ 日本テレビの番組「スッキリ」で3月12日お笑いタレントが、アイヌ民族を傷つける発言をした。その次第は下記の如しー番組はアイヌの女性のドキュメンタリーで、その時タレントが「この作品とかけて、動物を見つけた時と解く。その心は「あ、犬だ」とやったと言う。報道を読んで「呆れる」を通り超した。この言葉.和人が北海道を侵略し始めた時、つまりは明治をさかのぼる程の古き時代に、心ない和人たちによってよく発せられた差別の言葉だ。それを今頃になって持ち出すとは!!何たる無知、何たる人権意識の低さ、何たる笑の才能のなさ、土台、今の世、たけしだの松本人志だのを初めとして舌禍の持ち主、無知な連中がはびこり過ぎている。
◯月◯日/ テレビの番組も愚劣を極めている。コロナだ、政治だと世界的に深刻な状態が続いているのに、ひたすら、グルメだ、温泉だ、クイズだとなんの足しにもならぬ番組の連続でそれにタレント達が総出演だ。それをつなぐのはこれ又どれも似たような のCMだ。このCMの時間というものどれ程日本人の生活の時間を無駄にしているだろうか。アイヌ問題に戻ると、この「アイム」なる言葉は(北海道は二風谷(にぶたに)のアイヌ)萱野茂の「アイヌ語辞典」(三省堂1966年発行¥10,00)によれば「アイヌ=①人間、人(神に対しての)② アイヌ民族、アイヌ人(和人やその他の民族にたいしての)だ。
◯月◯日/ 登別出身で、後にアイヌ語の研究で世界的に名をあげた知里真志保(ちりましほ)が旧制一高(現東大)に入って一高の寮に住んだ時、同室の、後に作家となる豊橋出身の杉浦明平が、知里に「北海道にはアイヌってのがいると聞くが、どんな人か?」と聞くと知里が「俺がアイヌだ」と答えたという事を明平が書いている。この知里は旧制道立室蘭中学校(私の出身校、室蘭栄高校の前身)に一番で入った。(当時室中では入学時の成績の順で各組の級長を決めるのが習わしだった。だから知里は一組の級長になる筈だったが、アイヌが和人の上に来るとは!!とて、3組の級長にされた。
◯月◯日/ 「スッキリ」で馬鹿発言をしたお笑いタレントの名は報道されていないが、この連中はおそらく知里の名前さえも知らないだろう。昔、白老に観光に来た東大生の2人組が売店にいたアイヌに「アイヌって日本語分かるんですか」と聞いたとのエピソードもある。私は室工大勤務中、新入生のオリエンテーション(新入生進路指導)では必ず知里真志保の著作を含めてアイヌを知るように促したものだ。と言うのも本州から来る者はおろか、地元の栄校出身の者でさえ、先輩の知里について何も知らない者が多かったからだ。「知里真志保全集」全6巻(平凡社)が私の棚にあるが、他にも知里の妹の知里幸恵の「アイヌ神謡集」(岩波文庫)もある。今からでも遅くない。馬鹿タレントの発言を機に皆に読んでもらいたいものだ。
2021.3.13
第420回 半藤一利のおすすめ本(ひまわりno236)
2021.3.1寄稿
昭和史研究家で知られた半藤一利が今年1月12日90歳で亡くなった。そこで、2月13日にに加藤陽子が「朝日」の読書欄で、半藤の著作で読むべきものとして3冊すすめている。
これを真似して私も半藤の本と思うが、その前に加藤陽子について書く。加藤は1960年生まれの現、東京大学教授で専門は日本近現代史。今本を読む人でこの人の名を知らぬ者はいないと思われる。と言うのは、例の菅の「日本学術会議」の拒否問題で、菅が拒否した6人の学者の中の紅一点で、しかも菅が名前を知っていたのはこの人だけだったというおまけがつく。この人が拒否されたことで多くの人がこの問題の異様さに気付いた。例えば日大の石川隆文教授は任命拒否を知って「加藤さんが除外されるのはあり得ない」と驚いたと言い、「直感的にこれはただ事ではない」と思ったと言う。加藤が右でも左でもない公平な学者だと言うことは多くの人が口を揃えて言う。 石川は更に「この任命拒否を放置しておいたら”何でもあり”になってしまう」と言い「ここで自分が何もしなかったら(民主主義を主張してきた自分としては)言行不一致になってしまう。早くスタートした方がいいと思いました」と足す(詳しくは毎日新聞2020.11.22の「文化の森」での「森健の現代を見る」を読まれたし)
因みに私も「あんな本〜 」の今年の最初(12月、1月合併号)で加藤の「それでも日本人は戦争を選んだ1 」(新潮文庫)と「止められなかった戦争2 」
(文春文庫)をすすめておいた。さて加藤に戻る。加藤陽子は半藤の読むべき本として①「日本の一番長い日3 」(決定版)/文春文庫¥700+税
②『「昭和天皇実録」に見る開戦と終戦4 /岩波ブックレット¥726
③「靖国神社の緑の隊長5 /幻冬社¥1340の3冊をあげる。
私がすすめたいのは「万葉集と日本の夜明け6 」PHP文庫/|770+税だ。
半藤は東大を出るとき、卒業論文に「万葉集」をやろうとしていた。ところが、級友が言うには、クラスに中西進というのがいて、この男は万葉集4600余句を全て暗記している男だ。そんな男に比べたらお前は〜と言われて「堤中納言物語」に変えたという。ここで言う中西進とは御存知「令和」を選んだ(とされる)万葉の大学者、中西進のことだ。とは言っても半藤の万葉集への愛は消えることなく、後年書きあげたのがこの本。この本の第二部は「長安の山上憶良」で、数年前、秋田の建築家西方里見・耿子夫妻と一緒に西安=長安に旅した私には一番面白い部分だ。序でだから「令和」で嫌なことを一つ書いておく。今問題の菅の馬鹿息子正剛が東北新社の宴会芸で「令和」と書かれた色紙を掲げ「令和おじさん」の物真似をしていたと言うのだ。菅は「息子は別人格だ」などとトボケテいるが、息子の方は親爺と一体となったつもりで、つまらぬ真似をして十分に利用しているのだ。それにしても馬鹿息子のあのウスギタナサハ一寸ない図だね
日本学術会議」が問題となるとこれが。戦前の滝川事件と同じとする論者もたくさん出たこれは昭和8年(1933)鳩山一郎文相、京都大学の滝川幸辰(たきがわ ゆきとき)教授を、その書「刑法読本」の内容が赤化思想(共産主義)であるとして、クビにした事件。同僚や学生達が抗議運動を起こすが当局の弾圧でつぶされた事件だ。この事件を理解するに一番役立つのは黒澤明による1946年作映画「わが青春に悔いなし」だ。今でもビデオ屋に並んでいる。これは「滝川事件7 」と「ゾルゲ事件8 」をモデルにしたもので反戦の映画の傑作だ。
滝川事件では今の菅政権下と一緒で、政権にこびる教授も学生も検察もいれば、これに逆らう人達もいる、反戦思想の主とされた教授の娘(原節子)は同じ思想の教授の教え子と結ばれて苦難の道を歩む。汚れ役を演じる原節子の迫真の演技には目をみはらされる。いい機会だから石井妙子の「原節子の真実9 」(新潮文庫¥710+税)を出しておく。
さっき「ソルゲ事件」と書いたが、これは昭和16年(1941)駐日ドイツ大使顧問ゾルゲと尾崎秀実(ほずみ)らが日本の政治、軍事に関する機密をソ連に知らせた疑いで逮捕された事件。2人は昭和19年処刑された。この事件については篠田正浩監督の映画「ゾルゲ」(ビデオ屋にある)もあれば尾崎秀実の弟 秀樹(ほずき)の本もあり、またゾルゲの日本人妻だった石井花子の「人間 ゾルゲ10 」
もあるが、最近いい本が出た。安田一郎の「ゾルゲを助けた医者〜安田徳太郎と〈悪人たち〉11 」(青土社、2020刊)だ。題名通りの本だが、この京大出の医者は小林多喜二の死体にもつきそった医者だった。ゾルゲと尾崎の願いは無謀な日本の戦争を止めることだったが、それは叶わなかった。ソルゲが必死になってドイツがソ連に侵入する日を知らせた電報は泥酔していたスターリンによって無視された。スターリンは独ソ戦を控えてなすすべもなく只酔っ払うだけだったのだ。因みにゾルゲは先日国際紛争の地となったナゴルノカラバフのあるアゼルバイジャンの生まれだ。と此処まで書いて思い出したことがある。篠田正浩監督のことだ。
何年前かすっかり忘れているが「北海道新聞」が文化講演会を開いた。と言っても一般向けではなくて、経済界・実業界のお偉いさんを会員としている北海道新聞の「経済懇談会」とやらのメンバーだけが入れる講演会だ。その講師に篠田正浩が来た。その時北海道新聞の室蘭支社長からTELが来た。「篠田さんが来るけど、懇親会で彼と対話出来ると思える経済人がいない、ついては山下さんに篠田の相手をたのみたい」だった。で私はノコノコ出かけた。篠田は自分の生い立ちを語って「妻程の美人にあったことはない」とのろけた。岩下志麻のことだ。終わって懇親会となり、酒になったが、支社長の案じた通り、新日鉄やら 日鋼のエライさんを始め、誰一人篠田に近づいて来ない。日頃は偉そうな室工大のT学長もはるか遠くにいるだけだ。結果私は支社長と篠田と3人だけで語り合うことになった。と言っても支社長はしゃべらずで、会話を交わしたのは篠田と私。私は篠田とソ連の映画監督「エイゼンシュタイン」のことをしゃべり合った。私には面白い体験だったがこれ又偉いさんの篠田はもう忘れていることだろう。
スパイゾルゲで思い出したが、先の太平洋戦争中、北大で「宮澤、レーン事件」なるものが起きた。北大生だった宮澤弘幸が、旅行中に聞いた飛行場のことを北大の英語のレーン夫妻にしゃべった所、これが軍の機密を漏らしたとされて、特高につかまって懲役15年となり、戦後に釈放されたが、服役中にかかった肺病で哀れ27歳で死んだ。これはいわゆる冤罪事件だった。この事件、菅の凶々しい政治の下、改めて留意すべき事件と思われる。是非読まれたし!本の問い合わせは「千代田区労働協議会」tel/03-3264-2905 fax/03-3264-2906
- 加藤陽子.それでも日本人は戦争を選んだ.新潮文庫.(2016) [↩]
- 加藤陽子.止められなかった戦争.文春文庫(2017) [↩]
- 半藤一利.日本の一番長い日.文藝春秋(1995) [↩]
- 半藤一利.「昭和天皇実録」に見る開戦と終戦』.岩波ブックレット(2015) [↩]
- 半藤一利.靖国神社の緑の隊長 .幻冬社(2020) [↩]
- 半藤一利.万葉集と日本の夜明け.PHP文庫(2016) [↩]
- 松尾尊ヨシ. 滝川事件.岩波現代文庫(2005) [↩]
- 加藤哲郎.ゾルゲ事件.平凡社新書(2014) [↩]
- 石井妙子. 原節子の真実.新潮文庫(2019) [↩]
- 石井花子.人間 ゾルゲ.角川書店(2013) [↩]
- 安田一郎.ゾルゲを助けた医者〜安田徳太郎と〈悪人たち.青土社(2020) [↩]