第091回 司馬江漢と亜欧堂田善

’96.5.8寄稿

能代で、木造住宅の設計家として活躍している西方君から、4月18日付で手紙が来ました。いわく「秋田県立博物館の中に”菅江真澄資料センター”が出来、”県外の真澄資料の企画展示があります。春になりましたので、胡堂の記念館とあわせていかがでしょうか。」そして、新聞「秋田さきがけ」の切り抜きのコピーが、同封されていました。「胡堂の記念館とあわせて、、、」と言うのは、この「あんな本〜」第81回(昨年11月2日付)で、藤倉四郎著「銭形平次の心」を取り上げ、文末で盛岡在の梅田君が、教えてくれた、岩手県紫波町の「野村胡堂、あらえびす記念館」(昨年6月10日開館)に触れ、「〜そうだ、”かたくりの花”が咲く頃に、此処を訪ねよう!」と結んだことに対する、旅への誘いなのです。

さて、五月の連休を控えてのこの呼びかけに対しては、千葉在の義妹が、両親の様子見がてら帰省するのに付きあわねばならず、残念ながら、ことわらざるを得ませんでした。西方君の文章は、更に続きます。「〜渡辺華山の逆贋作考”(第88回で取り上げた本)よみました。〜”「東海道五十三次」の秘密_新発見、その元絵は司馬江漢だったー”對中如雲著(祥伝社、ノン、ブック)の、似ていて(ほぼ同じか)否なるもの、

広重は広重、江漢は江漢であると、なるほどと思いながら読んだ彼の「逆贋作考」でした。〜司馬江漢や亜欧堂田善の絵が好きなので、本を教えてください。CDは中世とルネッサンス期の音楽を聞いていて、これについての本も教えて下さい。」説明するまでもないことでしょうが、司馬江漢とは、(1738?〜1818元文?〜文政1)「絵師、蘭学者。はじめは浮世絵などを描いていたが、大槻玄沢(おおつきげんたく)らの協力を得て、銅版画の制作に成功。四十代後半以降は、蝋画と称する独特な油絵を描き、洋風の表現方法で日本的風景を活写した。また、蘭学にも興味を示し、天文地理関係の著作を残している。」(講談社+α文庫「知っているようで意外と知らない日本史人物辞典」95、¥1,680よりー)です。

そこで、私の持っているもので書名に「司馬江漢」とついている本を、著者の五十音順に並べてみましょう。

1) 小野忠重 「司馬江漢ー江戸の西洋画士ー」新日本出版社 ’77¥4,000 ①1

2) 黒田源次 「司馬江漢」 東京美術   ’72¥1,800     ②2

3) 河西万文 「画人、司馬江漢の研究」(私家版)岩森書店 ’82¥3,500 ③3

4) 中井宗太郎「司馬江漢」アトリエ社  ’42¥1,300     ④4

5) 中野好夫 「司馬江漢考」新潮社 ’86¥3,500   ⑤5

6) 細野正信 「司馬江漢ー江戸洋風画の悲劇的先駆者ー読売新聞社(読売選書29)’74¥1,300

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以上全て研究書です。、、、と列記して、さて、「日本書籍総目録」に当たってみて殆ど、ギョッとしました。何故って、この6冊戦前刊行の4)はともかく全て絶版なのです。

これでは内容の如何にかかわらず、誰にもすすめることが出来ません。まあ、まちがって、或いは幸いにも古本屋か、図書館でみつけ得るなら、私なら、2)か、 5)をすすめます。6)も、わかりやすい本ですが、磯崎康彦著「ライレツセの大絵画本と近世日本洋風画家」(雄山閣)などを読むと、何か所か、間違いを指摘されているのですすめません。

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さて、評伝、研究書のるいは入手がむつかしいとして、江漢自信の筆になるものは、と又、書棚から出してみます。

1)司馬江漢/管野陽校注「訓蒙画解集、無言道人筆記」平凡社、昭52、(東洋文庫309)¥1,100 江漢晩年の執筆になる 寓話と随筆集です。⑧8

2)司馬江漢/芳賀徹、大田理恵子校注「江漢西結遊日記」平凡社、’86(東洋文庫461)¥2,200 画の修行のため、長崎へ出かけた時の旅日記です。⑨9

3)芳賀徹編 「日本の名著22」中央公論社、昭46、¥650今は¥1,240「杉田玄白/平賀源内/司馬江漢の三人の著作が収められていて、江漢のものとしては、「着沈楼筆記(抄)、西洋画談、独笑妄言」に入っています。

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4)成瀬不二雄編「司馬江漢」(日本美術絵画全集25)集英社、昭55¥1,800 江漢の傑作100点を集めたものです。

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以上4点は、今でも入手可能。あー、よかった!!。

この他にも八坂書房から、江漢全集(4巻)と研究編が1冊出ていますが、全部で4〜5万円と高く、個人にはとてもすすめられません。八坂書房の本はどれも素晴しく、私も大方集めていますが、これだけは未だ手が出せず、、、廉価版が出ないかなあ、、の思いです。

それとも、西方君の質問をきっかけに、思い切って買おうかな!!いやいや!!無理だ。

さて、お次は、亜欧堂田善(あおどう、でんぜん)「江戸中期の 銅版画家。本名は永田善吉、岩代(いわしろ=福島)の人、初め僧、月せん、谷文鳥に学び、後西洋画法、と銅板技術を修めた。文政5、没。1788-1822」(広辞苑)本棚から、又出してみると、

1)磯崎康彦「亜欧堂田善の研究」雄松堂出版、昭55¥3,500  ⑫12

2)細野正信「亜欧堂田善-須賀川が生んだ銅版画家」FCT企業、昭50¥680(福島文庫16)

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3)細野正信編「江漢と田善(日本の美術232)至文堂 ’85¥1,339で、3)のみ入手可能。

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あ-よかった。展覧会の図録、雑誌の特集関連書、などは又として、

西方君、こんなところでどうだろう。それにしても、本は、出たとき買っておかぬとだめだね!!書庫へ出たり入ったり-で、左手の甲を棚の角にぶつけてすりむいた、お-いてて!!

と言うところへ、なんと、西方君から、能代は、松雲堂の三色串団子が届いた。いてて-どころではない。

さんきゅう。                                96.5.8


  1. 小野忠重・司馬江漢ー江戸の西洋画士・新日本出版社 (1977) []
  2. 黒田源次・司馬江漢・東京美術 (1972) []
  3. 河西万文・画人、司馬江漢の研究・岩森書店 (1982) []
  4. 中井宗太郎・司馬江漢・アトリエ社 (1942) []
  5. 中野好夫・司馬江漢考・新潮社 (1986) []
  6. 細野正信・司馬江漢ー江戸洋風画の悲劇的先駆者・読売新聞社(1974) []
  7. 磯崎康彦・ライレツセの大絵画本と近世日本洋風画家・雄山閣 (1983) []
  8. 司馬江漢/管野陽校注・訓蒙画解集、無言道人筆記・平凡社 (1977) []
  9. 司馬江漢/芳賀徹、大田理恵子校注・江漢西遊日記・平凡社 (1986) []
  10. 芳賀徹編・日本の名著22・中央公論社 (1971) []
  11. 成瀬不二雄編・司馬江漢 日本美術絵画全集25・集英社 (1980) []
  12. 磯崎康彦・亜欧堂田善の研究・雄松堂出版 (1980) []
  13. 細野正信編・亜欧堂田善-須賀川が生んだ銅版画家・FCT企業 (1975) []
  14. 細野正信編・江漢と田善日本の美術232・至文堂 (1985) []

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