山下敏明さんのあんな本、こんな本

第122回 来る年虎の激減

`97.12.25寄稿

朝刊を開いてビックリ!! 「伊丹十三」死す、とある。

朝食のあと、用事で姉の所に行って、ついでにテレビを観ると、「お葬式」に出演していた女優、高瀬春奈(この字でいいのかな?)が、インタビューにモソモソ答えている。この人は、舌が長いせいか、どうも発音がおかしくて、その話し方が、私はいつも気になるけど、この際ばかりはガマンして聞かざるを得ない。

高瀬春奈で思い出したけど、この「お葬式」、ビデオになったのでもう一度観ると、「へえ?何でこうなるの?」と言いたい箇所があるんだけど、貴方、気付いてる?

それは、山崎努扮(ふん)する主人公が、葬式にノコノコ顔を出して、ゴネマクル情婦の高瀬のヒステリーをおさえるため(?)に、裏山に高瀬を引っぱっていって、立木にだきついた高瀬に、背後から迫る場面。

私に言わせりゃ、高瀬の唯一の取柄(とりえ)の雄大なオッパイを下から写す場面が仲々の「みもの」で、・・・・・ これには、共演した伊丹の二人の息子のマンサク君及びマンペイ君だかも、子供心に正直に、「ものすごい大きいオッパイで、びっくりした」と語っているのが、封切時のパンフレットにのっていて、私も素直に同感同感だったけど、これが・・・・・ビデオで観ると、このシーンがすっぽりとないのです。

ナンデコウナルノ? お茶の間に、かくの如き場景を持ち込んでは、正しい家庭に育(はぐ)くまれるべき「淳風美俗」を破壊するってなところなんでしょうが・・・・ ナンタルチーヤの、オーソレミオの偽善撮り、こっちの方がヒンシュクしちゃうね。

それにしても、伊丹は、何で死んじゃったんだろう、と思いつつ、姉の所からの帰途、「マルサの女」を借りて来て、見直したところ・・・・ これは、やっぱり、面白い。

ところで、もうすぐ寅年!!

動物園も忙しそうで、上野動物園では、この8月に生まれた「スマトラトラ」の赤ちゃん3頭を、12月中旬に一般公開した由。「スマトラトラ」なんて、早口言葉みたいでいいなあ。これは改めて言うまでもないけれど、スマトラ島に住むトラなんだよ。

話は飛ぶけど、室蘭工大にいるバングラデッシュの留学生は、3人程が皆「ハッサンサン」だけど、私はいつも、そう呼びながら、何やら3・3・7拍子の「ダッタッタ、ダッタッタッタ、ダッタッタ」みたいな、景気のいい名だな、と思っているんだけど、実は「ハッサンサン」は「ハッサン」さんなんだ。似たような話だけど、私は長いこと、「アグネス・チャン」を「あぐねす・ちゃん」だと思っていたもんね。

それはともかく、「全米地理協会」の発表では、20世紀初めには、地球上に、およそ10万頭もいたトラが、今や5千から7千に減っているってんだから、やりきれないなあ。何しろ、あの柄も鮮やかな毛皮を狙われて、世界各地で「虎れっ放し」だもの、減りもするよなあ。

それに引き換え、忘年会だ、Xmasだと、日本中での「馬鹿トラ」のふえ方はどうだろう? ケンカするわ、殺しはするわ、のこっちの虎こそ、早いとこ、絶滅してほしいなあ。因みに、こっちのこの虎(=ヒト科の酔っ払い)は、酔って四つん這いになって、手がつけられないので、トラと言うそうな!!

てなところへ、トラの本が2冊登場。どちらもGoodで、たのもしい本だ。

あっ、思い出した。高校時代、苦手の数学の時間・・・ 机の下に「とらの巻き」を置いて、Pe先生が黒板に書いていく解答と照らし合わせていると、その式が途中から、どうも、「とらの巻き」に出ているのと違っていく。アレレ? と思っていたら、とうとうPe先生、腕を組んだ。素直に分かんない・・・ と言えば、教えてやったのになあ。

因みに、「虎の巻」の語源は、中国の兵法書「六韜(りくとう)」の「虎韜巻(ことうかん)」による。兵書「六韜」は、文・武・竜・虎・豹(ひょう)・犬の六韜から成り、この中の「虎韜」から、兵法の秘伝を記した書物を、「虎の巻」と呼ぶようになり、転じて、秘伝の書→手軽な参考書→アンチョコ〜と、なったと出ているぞ。

さて、山口県徳山市遠石の八幡宮では、拝殿回廊に2m50cmの高さ、巾4mのトラの絵馬を立てた由。このトラ、ナント、巾着を引っぱっている、と言うから、欲深いなあ。年の始めからこうじゃ、「虎の子」まで、なくしちゃうんじゃなかろうか。

「丑年」に未練のある方は、下の本をどうぞ。

では、来年もよろしく。

1997.12.25(木)

とらの巻きとらの巻き増井光子 編1¥1.600

牛・うら話長谷川栄次2¥1.600


  1. 増井光子.とらの巻き.博品社(1997) []
  2.   長谷川栄次.牛・うら話.秀英出版 (1978) []

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