山下敏明さんのあんな本、こんな本

司書独言(103)

`10.4月号

○月○日 去年だったか、いやその前か?寺の増築だか改築だかの費用の分担金を払わぬ檀家に腹を立てて,そんな輩のお骨を預かっておく訳にはいかぬとて、宅急便で骨壺ごと檀家に送り付けた坊さんが、ナント室蘭にいたとの記事が「道新=北海道新聞」に大きく出て、仰天したことがあったが、今年の3月に入って、3億円の保険に入った翌日、自分で自分の寺に放火したと言う坊主が、埼玉は、小川町に出現した。この寺、2006年にも庫裏(くり)が燃えて、この坊主5千万円の保険金を受け取ったと言うから、つまりは味をしめた訳だ。

○月○日 朝日新聞に掲載されていた「差別をこえて」に、「竹田の子守歌」の事が出ていて、その元歌に「〜寺の坊さん/根性悪い/守り子いなして(=追っ払って)/門しめる/どしたい/こりゃ/きこえるか」なる歌詞があった。「どしたい〜」の意味は「どうや、聞こえたか」だと。いずこの坊さんも皆が皆して根性悪い訳ではだろうが、「お骨返(?)送」と「自寺放火」の2人は、根性悪しと言ってもいいだろうな。だけどこの2人無事往生できるのだろうか?まあ、よく知らぬが、「善人なおもて往生をとぐ、いわんや悪人おや」(だったか)の法然(だったか)の言葉もあるから、神道の家の子たる私が心配することはないがね。

○月○日 私が室蘭民報に20年越し連載している「本の話」で、カナダの先住民イロクォイ族の事を書いた、エドマンド・ウイルソンの本について語ったことがあるが、このCanadaとは1530年フランス人カルチェの2回目の調査の時に、同行のイロクォイ・インディアンがカナタ(=イロクォイ語で「小屋の集落」の意味)へ案内したことからついた名だ。して又、Vancouverとは、1792年にキャプテン・クックの乗組員だったジョージ・バンクーバーが探検したことから付いた名だ。私はこの私はこのバンクーバーの探検記又は航海記とも言うべき3冊本を持っていて、オリンピック期間中に何らかの紹介をしようと思っていたが、時期を逸してしまった。まあそのうち別な形で触れる機会もくるだろう。

○月○日 地名の連想で言うと、昨年10月初旬に大地震を起こした南太平洋諸島のサモアの意味は、saが場所を示す言葉で、moaはモア鳥のことで、つまり「モア鳥の島」。絶滅した鳥については、堀正一の「謎の巨鳥モア1 」(築地書館/1975刊)なる、ものすごく面白い本がある。それによると、モアは何種類もいて、その中で最大級のモアは、研究者オーウェンが組み立ててみた骨格から推察するに、おおよそ高さ4.2mあったそうな、これもそのうち「あんな本・こんな本』で紹介してみようかな。

絶滅と言えば、モーリシャス島に七面鳥より大きなドードーなる太っちょ鳥もいたな.記憶に間違いなければドードーってのは、ポルトガル語で「馬鹿もん」の意味だった筈。まあ北海道弁で言えば、「たくらんけ鳥」か。因みにモーリシャスなる名は1598年にオランダが無人島だったこの島を占拠した時、記念に時のオランダ皇太子マウリティウスの名をつけたのが、その後、フランス統治と変わってフランス語訛となった所だ。

○月○日 新聞に「論語」がブームだと出て、その理由は「迷える時代だからこそ」だそうだ。4歳の子供も連れて母親も参加とある、例に出しているある塾の素読を教える先生と言うのが、呆れたことに陽明学社・安岡正篤の孫だと言う女性。ナニが陽明学者だ!!。この男85歳の時に45歳の細木数子に「結婚誓約書』を書かされたタクランケだぞ。糖尿病だった安岡は家では酒を飲ましてもらえない.細木は言う「家じゃ飲ましてもらってないようだから、私が好きなだけ飲ましてル.お酒で“殺した”のよ」と。この悪女に手もなくたらしこまれたタクランケは保守派の指導者と言われて、彼を囲んで政治家たちが、論語を聞いていた訳だから、日本の前途もおぼつかなくなるのは当り前だろうて。まあ暇な人は「細木数子・魔女の履歴書」(溝口敦、講談社α文庫)(あんな本〜256.265回で紹介)を読んでごらんなさい.と言う訳でタクランヶ爺さんと孫とは何の関係もないけれど八つ当たりと言われるのを承知で言うが、このタクランケから一応は衣鉢を継いでいるのであろう孫からは陽明学なぞ習いたくないね。

○月○日 加賀乙彦の「悪魔のささやき2

(集英社新書)を読んでいたら、「同志よ!つきすすむ/大きなスターリンの星にみちびかれて〜」なる語が出ていて、これ一説には6千万人を殺したとされるスターリンが死んだ1954年野間宏が書いたものだそうな。あの「真空地帯」の野間がか?と目を疑うがドモナラン。最近もドナルド・キーンが戦中の作家の日記を調べた本に、伊藤整が大東亜戦争で頭に血がのぼったような事を書いている事が暴露されているがー、イヤハヤ、イヤハヤ知識人なるもの、いつの世になったらシャキットするのだろう。(山下敏明)



  1. 堀正一.謎の巨鳥モア.築地書館(1975) []
  2. 加賀乙彦,悪魔のささやき.集英社新書(2006) []

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