`01.10.31(水)寄稿
この頃のブッシュ,,,と言っても、bush=草むら、の事ではなくて、アメリカで一番偉いらしいブッシュのことだが、そのブッシュの言動も見ていると妙に、一人の作家を思い出させられる。その作家とは、Graham・Greene(グレアム.グリーン1904-1991)のことで。どうしてグリーンを思い起こすかと、言えば、グリーンは、カトリックを奉ずる作家であったけれど、1950年からこっちは、東南アジアや、南米での正義を振りかざすアメリカのやり方をはっきりと批判する態度に出て、世界情勢に明確な態度を取った人だったからだ。そうした態度から生まれた作品が映画にもなった「静かなアメリカ人1 」だ
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この翻訳は、グレアム・グリーン全集(早川書房版)に田中西二郎の訳で『おとなしいアメリカ人』なる題が入っている。加藤周一(評論家)はこの「静かなアメリカ人」の主題を次のようにまとめた。
即ち,,,,「みずからの善意または正義を疑わない個人、おとなしい機関、ないし国家の行動が、多くの人権を破壊し、多くの人命を犠牲にすると言う事と係る。」
他グリアムグリン選集「情事の終わり2 」
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アメリカから南米原住民に救援物資として送られる毛布やシーツに、原住民絶滅を図って、炭疽菌が塗布されていると言うことが確か、フランスの人文主義(ヒューマニズ)作家クロードモルガンの「ドン・キホーテたち―21世紀への遺書―(田畑書房3500 `85)に出ていた、と記憶するが,ハテサテ??
ところで、来る11月17日(第三土曜日)の「図書館シアター」の上映作品はこのグリーン原作の「第三の男」だ。
この映画が始まると直ぐに,ジョセフコットン扮する三文作家のマーチンが友人ハリーの消息を聞くために,ハリーの友人と称する,して又、男爵と称する男に会う場面があるが,その舞台は,1749年創業と言う由緒大ありの「カフェ・モーツアルト」だ。
このカフェがグレアムグリーンが死んだ1991年の暮れに経営悪化のため店じまいすることになった。そこまでは,店の責任でとやかく言う筋ではないが、これを買収したのが日本の三越だ.そこまでは,又、とやかく言うことではないが、このあと,三越がこれをこわして,ブティックに改装する段になって、ウイーンの市民始め,とやかく言う向きがあちこちに出て来た。
ウイーンのカフェは「カフェ文化」と称するものを生み出した存在で、そのあたりのことは平田達治著「ウイーンのカフェ3」(大修館書店¥2.300/96)を読めばわかるが、
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とにもかくにも、その文化の一端を担って来た「カフェ・モーツアルト」が影も形もなくなるとは!!と手、反対運動が起きて,三越側はブティック一部にカフェを存続させることで収まった。,,,がそのあとの動きは??
話を戻して、J・コットンが男爵と会う場面で,演奏されるのが,アントンカラスが演奏する「カフェ・モーツアルト・ワルツ」だ
さて、この映画で一躍世界的になったのは,アントンカラスと彼がひく楽器チターである。そして「第三の男」の主題曲が、カラス作曲の「ハリーライムのテーマ」だ。
オーソン・ウエルズ扮するハリーライム=闇ペニシリンの売り屋
さて、早い話が、酒場で「流し」も同然だったチター奏きのカラスは「第三の男」の監督キャロルリードに見出されて、果たして幸せであったか、そしてウイーン人は彼を芸術家として認めたのか。そうもそうではないようで、`88年頃ウイーンっ子にその辺りを確かめた特派員の記事に、72歳なるウイーン子の次のような冷たい感想が書きまとめられている。
世界中の人が愛しているあの主題歌を作ったカラスはいわゆるウイーンっ子かとの質問に答えたものだ。曰く、 ”冗談言ってはいけない。カラスはハンガリー人、はっきり言えばチゴイネル(=ジプシー)さ。それにチターと言うのは酒場で酔客に聞かせる楽器だよ。ウイーンの音楽じゃない” これを偏見と言わずして、何を偏見と言うのか!!と私などは思う。
と言う訳で、アントンカラスを扱ったのが、「滅びのチター師4 」と「第三の男誕生秘話5」 第三の男誕生秘話はマッターホルン出版の処女出版だ。ご祝儀にこれも買ってあげてちょうだいね。ものすごくいい本だ
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「A study of the Third Man 」は第三の男誕生秘話の著者がすすめている本だが、昭和61年に著者徳江が70万円の自腹を切って500部出した本で入手は無理。私は当時新聞で知って手紙を出して買った。元サラリーマンの著者は要するに「第三の男」のとりこになった人だ。この一念誉めるべし。それ程の名画じゃ煮よって11月17日は是非観にきてたもれ。