`01.11.16(金)寄稿
いつ頃流行った歌だったか、調べずに書くのは、申し訳ない話だが、「俺は死んじまっただあ〜」と言う歌い出しの歌があった筈。タイトルも正確に覚えておらんし、このあとどう続くのかも判然とせぬが、確か「天国いいとこ一度はおいで、酒もうまいし,姐チャン(ねえんちゃん)もきれいだ」てな文句があったのではないあかしらん。本当かなあと思いつつ、しかし一度はおいで、なんぞいわれてもな,,,と,行く方法がわからぬ身には、仲々せつない勧誘だ。
もっとも「臨死体験」なる,歴とした言葉があって,立花隆の本を初めとして、「生と死の境界で」、人は何を見るのか、を論じた、いや体験者が報告したものは、二.三点にとどまらぬ。
しかし、臨死の際にどの人も皆、天国に向かうのか、と言うと、どうも、そうではないらしく、例えば「臨死体験で見た地獄の情景1 」などと言う、余り、と言うより、間違ってもお誘いを受けたくない傾向の臨死もあるらしい。
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土台、わざわざ臨死しなくとも、酒はうまいぞ、姐チャンもきれいだぞ,,,と言われて、ついていったら、そこは、まぎれもなく地獄だったとは、ススキノだの、新宿歌舞伎町辺りでの体験として、よく週刊誌に出ていたりするんじゃないの,,,かな,,、わしゃよう知らん!
地獄行きの臨死はともかく、天国へ行った方の臨死で、私がいつも不思議なのは、多くの人が、”天国は花が咲き乱れていて,,,,”と言うことで、温帯.熱帯.寒帯を問わず、つまり、地域性にかかわらず、地球のどこから行っても、天国ならば”花咲き乱れ...”となるのかなあ?,,,と言う疑問がぬぐい切れない、しかし、まあこの疑問は,臨死について無知な私の疑問があるからして,誰ぞに答えてくれと言うものではないですぞよ。
ところで,”花咲き乱れる”天国と言えば,私は,18歳の時,下宿の布団の中で聞いた放送劇を思い出す。
題も,作者も,皆忘れていて,覚えているのは,男の主人公の名と、わずかの筋(らしきもの)だけ。 男の主人公は18歳で、何とナント”敏明”さんなのだから忘れようとしても忘れ得ぬ。 その”敏明”と”ナントカ子”が恋をする.,,,が,,,原因は忘れたが、この恋が破れ、しかも、”敏明”はその若さで死んでしまう。”ナントカ子”は、成就せぬ恋の原因が自分にあることを知っているので、死にいく”敏明”に”天国で待っていて、おっつけ必ず私も行くから”と言うのだが,,,〔まあ、大体,こう言う女に限って、えらく生き永らえて、他の男と家庭を成し、,,,と,,,天寿を全う(?)して〕ようやく、天国に行く。(来る)そして、天国で、”敏明”さんをさがし始めると、”イタ、イタ”!!18歳のままの敏明が!!
かけよった”ナントカ子”は”敏明さん”とすがりつくが、敏明は”ナントカ子”をおびえた様子で突き放して、”僕は貴方のような老女は知らぬ“と言う、”ナントカ子”は、愕然として、”私、ナントカ子よ”とつめよるのだが、トドのツマリ、ダメ!!!
18歳の私は、この劇の本意を、天国も、地獄も当てにならぬ。あるのは唯一”現世”と受け取った。この受け取り方は18歳をはるかに上回った今でも変わってはおらぬ。”あの世の恋”なんてのは”たわけごと”。あるのは、生きている今の世の、その時、その時の今。と言う訳で、では”酒もうまいし””姐チャンもきれいだし”で、やれ”愉しや、嬉しや”と言う具合の生き方をした人はいるのかしらん。? となればそれがいるのです。
その人は、オマール・カイヤムで、ペルシャの人(おおよそ1050〜1123年代)その作品が「ルバイヤート2
」で内容はと言えば、酒と女への賛美で、つまりは天国でも地獄でもなく、現世=この世の謳歌(おうか)と言うこと
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この「ルバイヤート」がイギリスの詩人エドワード・フィッツジェラルドによって英訳されて世に広まった。我が国にこれを紹介したのはかの「小泉八雲」こと、
フラフカディオ・ハーン、これを受けて、英文学者上田敏(敏明さんでないぞ)が、明治32年に英訳第4版所収の101編を全て訳出した。
さて、ブッシュだ、タリバンだと騒然たる今こそ、イランの生んだ最高の文化ルバイヤート」を味わおう。カイヤムは天文学者でもあって、彼の手になるジャラリー歴は、グレゴリオ歴の誤差26秒よりも少ない19秒だぞ。
「日本人の中東発見3 」は「地中海学会へレンド賞」受賞作の秀品。イスラムについてもっと知ろうと言う人に
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「猟書今昔物語4 」は、上田敏亡きあと「ルバイヤート」の最良の理解者だった英文学者の本。「オーマーカイヤムの翻訳」なる文章を収める。
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「The Rubiaiyat of Omar Khayyam」は一寸カッコつけてみただけ。フィッツジェラルドの英訳読みたい人はルバイヤートに戻ればいい。*ペルシャ語で読みたいと言う疲れを知らぬ人は、「ルバイヤートペルシャ語対訳5 」をどうぞ
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