第254回 吉野作造、最上徳内、安藤広重、丸山薫

`06.11.7寄稿

室工大で建築を学んだ水野君は、若干26歳でガンに倒れた.彼を偲んで仲間が集り墓参りをしてから、3.4泊の旅をすることに決めて、今年は早や、27回忌になった。毎年々々、よく続いたものだ.時には墓のある仙台を遠く離れて、沖縄まで、出かけ,その地で水野君を語ったりもして...その旅はいつも観光コースからそれて,美術館めぐり、を中心とするものだった。美術を一番愛した水野君が生きていたら、「ふくろう文庫を」どれ程喜んでくれたろうかと、いつも思うが、それも詮無いことだ。で,今年は久しぶりに仙台周辺に的をしぼり... 続きを読む 第254回 吉野作造、最上徳内、安藤広重、丸山薫

第255回 天才音楽家達

`07.1月寄稿

10月末の丸井での「ふくろう文庫特別展―浮世絵特集ー」を用意している或る日、道新の報道部長・日浅尚子さんが取材に来て呉れて2時間余、色々な話をした。その時の話は10月18日(水)の道新・夕刊の全道版の「今日の話題」なるコラムにまとめられて、この一文を読んだとて、小樽、札幌、江別あたりからもお客さんが来てくれたから、まことにありがたかった。 続きを読む 第255回 天才音楽家達

第256回 細木数子の社会悪

`07.2月寄稿

世に八卦(はっけ)判断と言うことばがあるが、この八卦をする人を,八卦見、或は八卦置(はっけおき)と言うらしい。そして八卦とは「うらない」即ち、「易」のことで、「易」とは、中国の思想書「易経」の説くところにしたがって、算木さんぎ)と筮竹(ぜいちく)とを使って、吉凶を判断するうらないの方法で、古くから中国で行われた。これが広く民間に伝わったのは,この他に2つある「うらない」の中で、この方法が一番簡単だったからだと言う。

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第259回 日本美術の流失とフェノロサ

`07.5月寄稿

おいしいワインをみつけたから、とて、貸しておいた本を返しがてら、咲美さんが姿を見せた。そして、本に挟んであった1枚の絵ハガキを私に示して、“これ私の好きなもの”と言う。見ると、平櫛田中(ひらぐしでんちゅう)・1872〜1979)作の「五浦釣人」だ。五浦とは茨城県の海岸で、今岡倉天心の美術館のある所だ。近くには天心の旧宅や、天心が愛した「六角堂」がある。これ、天心が作らせた小さい建物で、断崖の上に建っていて、此処で天心は太平洋を眺めつつ、思案にふけったのだろう.土饅頭型の墓もあったと記憶している。と言う訳で、田中の作品は、釣りを好んだ天心像なのだ。あでやかな咲美さんが、この木彫作品が好きだとは、渋いことよ...と私は好感を持ったが、内心、偶然だと驚いたのは、私が、今回本棚で取り上げようと考えていたテーマが、天心とコンビを組んだフェノロサだったからだ。 続きを読む 第259回 日本美術の流失とフェノロサ

第260回 眉山とポルトガル人モラエス

`07.6月寄稿

我妻さんに誘われて「眉山」を観て来た.宮本信子が出る。この映画、私はまるっきり事前の知識がなくて、と言うことは、まるきり観たいと思っていなくて、それで誘われた時にも「1人で行ってこい」とは言いかねて、映画関係のファイルを出して、今迄映画館に行くたびにもらって来たパンフレットと映画評を出して見たが、どう言う訳か「眉山」関係はゼロで、で、つまり事前の知識は持ちようもなかった訳だ。 続きを読む 第260回 眉山とポルトガル人モラエス