`00.1.14寄稿
北辰中学校(今の常磐小学校)の生徒だった頃、帰路、退屈すると、札幌通りを歩かずに,白川の米屋から,真直ぐ港へ出て,旧室蘭駅の裏と言うか,,,横と言うか、この辺りにあった水上警察所まで歩いたものだ。歩くと言っても,道路を歩いてくるのではなく,へさき、又はともを並べてつながれている漁船からポンポン蒸気船の上を伝い歩きしてくるのであって,船の列が途切れれば陸に上がり、又船が続き出すと元の如くに伝いはじめる,,,と、まあ呑気なものだった。途中で面白かったのは、魚市場で、色々放り出されている中で、いつも無様(ぶざま)に見えた最たるものは「カスベ」だった。
何しろ,ひっくり返されて,生殖器丸出しで,ベローンとしているのだから、どうひいき目に見ても優美とは言いがたい。この「カスベ」は、つまり「鱏=エイ」でこの煮こごりがおいしいだのなつかしいだのと言う人は多いが私は,別に好きでも嫌いでもない。
只、昔、パリで夕食に「カスベ」を出された時には、内心、パリくんだりまで来て、何で又「カスベ」を食わねばならんのかと,我が運命を嘆いたが、これは恥ずかしながら,無学の浅慮(せんりょ=浅はかな考え)と言うもので、実は,フランス料理では「カスベ」は高級魚なのだ。,,,と同時に「幸運を運んでくる魚」と言う意味があるので、つまる所、食ってよし、持ってよし(グッズ)の魚な訳。おまけに皮としても等で,,,となると、1500年代、我が国にカンボジアから鮫(さめ)皮として輸入されていたものは,実は鱏の皮なのです。と言う訳で「僕が鱏だった頃1 」永さんの書いたエイ、イヤイヤ、いい本だ
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平べったいものを書いたから細長いものを、と思った訳ではないけれど...。
先日、イタリア映画「バンボラ」をビデオ屋から借りて来た。何しろ,欧米騒然として,バチカンが禁止、などなどで、その完全無削除版と書いてあるのだもの,どうして借りずにおられりょか。ナニ?下品な方!!私なら借りてこないって?あー.そー.そういう「いい振りこきのしらみたかり」でくるんですか。そう言う人にはこの映画は目の毒、そして以下の文章は気の毒じゃによって、どうぞ飛ばして下さい。
さてこの映画.「バンボラ」なる,美人とはちっとも思えないが、どうにもこうにも男心をそそる若い女が引き起こす悲劇なのだが,,,開港、イヤ幕が上がると,えらく肥った婆さんが、ウナギをブッタ切っている。まるで丸太をナタでちょん切るみたいに、両手の指を合わせても掴めぬ程の太さのウナギを、ドスンドスンと音立てて輪切りにしている。どこかで見たような,,,と思いつつ、最後まで行き登場人物一覧を見てブッタマゲタ。
「アニタ・エクバーク」なのだ。1952年のミスユニバースのスエーデン代表。かの巨匠、フェデリコ・フェリーニの名作『甘い生活」に出て「マルチェロ・マストロヤンニとローマ街中の泉水に跳び込んで170㎝あると言われた巨大なバスとをふるわせた、身長175㎝の大女...あのエクバークなのだ。
しかし、170㎝なんてバストあるのかねえ?イヤ又間違い。語ろうとするのはウナギであってバストではない。,,,こんな薪(まき)みたいなウナギ...とおどろくなかれ、琉球列島から東南アジア・オセアニアにかけて広く見られる「オオウナギ」は長さ2mに達するそうだ。となると、エグバーグのぶった切ってるウナギはまだちょろいと言わねばならぬ。
さて鰻と蛇について語った「物言う魚たち2 」をおすすめしたいが、洪水をおこす鰻だの情夫だの,,と話が豊富過ぎて、まとめることが出来ぬ。一層のこと、項目別にして事典風にしてほしい位だ。
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ところで昔(江戸)、天然痘を防ぐのに、赤い張り子のみみずくを使ったものだがそのことに触れた本を紹介する余裕がない。私は「ふくろうコレクター」として面白く読んだが、皆さんにも面白い筈だ。3
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「利根川流域の疱瘡神4」
以上新春第一弾今年もよろしくご愛読の程を!!2000年1/14(金)
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