`02.9月18日寄稿
二昔も前、青森で卒業生(室工大)の婚礼があり、夫婦して出かけた時の話だ。別用があったので、前夜は黒石から山奥にはいった温湯温泉に泊まった。翌朝は一番で出て、黒石から、2輛編成の電車に乗った。見渡す限りの田んぼの中をこぐようにして、電車はゴットンゴットンと行く.退屈だから私は立って運転手の脇に行き進行方向を見ていた。すると前方右手線路の傍らに余り若くはない女が一人うずくまっている。それが、電車が近づくにつれて、ゆっくりと立ち上がり、あれよ?と見る間に電車の前に身を投げた。電車はまるで片足をあげて何かをまたぐような感じでゴーットーンとそれをひいて...止まった。
物凄いショックで、私は腹を持たせかけていた横棒のおかげで、倒れずに済んだが、うしろを見ると、網棚の荷物は殆ど落ちて、進行方向に背を向けていた人以外は大方通路に転がっている.運転手を見ると、呆然として、意外にゆっくりと、線路に飛びおりて歩きだした。
ついでに私も降りて後方を見ると、首、胴体、足と言った具合に4カ所程に身体、いや肉塊が乱れ散っている。運転手のノロノロした歩みに合わせて私も付いて行くと、突然、すさまじくも、血の匂いが鼻に来た.血腥い(ちなまぐさい)とはこのことか??そこで進むのを止めていると、最初の首の所に辿り着いた運転手は、自分の制服を脱いで地上に敷き、両手で首をかかえると、押し抱くようにするでもなく、これ又ノロノロとした動作で首を置き首を身頃でおおうと袖で縛った.そこまで見て私は顔をそむけた。
そのあと、私は他の乗客と語らい合乗りで、タクシーをやとって、青森に出、辛うじて婚礼に間に合ったのだった。
先年、私の同学年の、Kの父親が、足の親指に出来物が出て、痛いからと市内の個人病院に入った.医者の見立てでは、単なる出来物で、何の心配も要らぬと言う事だったので本人もKも気をらくにしていた。
ところが、これがどうしたことか、腫れがひどくなるばかりで、1週間か1ヶ月かは忘れたが、股の付け根までふくれあがり、しかも激痛を伴った。
して結論から言うと、ナントナント片足切断(付け根から)とされてしまった.呆れたKは誤診ではないか...とて掛合ったが、まあこれ又結論から言うと切られ損と言うことに相成った。そしてこれからの話が私にはよく分からんのだが、病院側は切断した足一本をKに引きとらせた、と言うのだ.これ、あれか?つまり、死体を一旦我が家に引き取ってそれから、葬式に出すと言う理屈と同じか?まあ、納得いかぬながらも、Kは足一本を受け取って(何でくるんだか忘れた)ワゴン車の後に積み、役所に行って、火葬の許可証をもらって、焼きに行ったと言う。K曰く、“山さん、片足も重いぜー”と。
“片足重いぜー”で思い出したのが、昔I市の労災病院に入院した時、看護婦から聞いた話....“炭坑の落盤だとか、爆発だとか言う時はすごいの.次から次とかつぎ込まれて来る患者を手術する先生も、急ぎに急いでいるから、足を切断した時なぞ放ってくるの。置くんじゃなくてね!!それを銀盆(と言うのか?)で受けるときの重さと、ショックと言ったら!!。
東海道線の汽車で、まだ開け閉めの窓で走っていた頃、私の友達が、トンネル内でいきなり腕が一本ひざの上に飛んで来て度肝を抜かれた...と言っておった。トンネル入り口で跳び込んだのがいて、轢断された手がふっとんで来たと言う理屈だった。えっ??
何で気色の悪い話ばかり続けるのか?って??
実はこの9月から、私は「たんぽぽ文庫」(室蘭)と、「ふくろう森の会」(苫小牧)の支援を得て、両市立図書館で月に1度、「英仏文学.連続講座」を始めることに相成って、室蘭定例、第一火曜日の9月3日には、「オスカーワイルド」、苫小牧定例、第2土曜日9月14日には「エミール・ゾラ」を語った
すると、「オスカーワイルド」の話の後、一婦人が言うには、「19世紀のロンドンは殺人が沢山ありましたよね」と
私はあえて触れなかったが、19世紀のイギリスにはすこぶるお上品な時代で、と言う事は即ち、偽善がはびこった時代で、表面はともかく、現実には、売春と、殺人が巾をきかした時代であった。私は時間が足りなかったせいもあるが、殺人の方については、語らなかったのだが、まあ、殺人は大いにあった。その代表的なものが御存知(出ない方には失礼だが)“切り裂きジャック”だ。
圧倒的に女性が被害者だったことを説明して、当時選挙権だ何だと「女権拡張論者」の鼻息の荒いのに業をにやした男が男の力を物見せんとて、女を殺傷したのではあるまいか!!と言う論もある。この説の当否は、I don`t know!!
と言う訳で、殺しをお好みの方は①〜④をどうぞ、但し私の話位で気色が悪くなる人は、読みなさんな!!
①「切り裂きジャック1 」
②「ジャックザ・リッパー2 」
③「恐怖の都・ロンドン3 」
④「殺人百科4 」