2012.01寄稿
昨年12月2回続けて洞爺湖に泊った。日頃「ふくろう文庫」に支援の目を向けてくれている野口観光の野口秀夫社長が、「ザ・レイクビューTOYA 乃の風リゾート」を新たに開いたので、「貧者の一灯」的な」お礼に泊りに行ったのだ。2回目の時はロビーで、どこかで見たような、エライ「まんまるけ」のフットボールみたいな顔の男の人に出会って、「ハテ誰だっけ?」と思ったが、あとでSTAだかのテレビ取材のアナウンサーだと分かった。バイキンの夕食の時、ウエイターが「お客様はケロリンを御存知ですか?」と訊く。「ケロリン?、うん知ってるけど、薬の方かい風呂おけの方かい」と訊き返すと、「実は新館に”昭和の銭湯”が出来て、そこにケロリンの桶が有るんです」と言う。先刻のテレビもその銭湯を主に取材する云々、で、年若いこのウエイターは、ケロリンが最初わからなくて、父親に訊いて分かったのだが、見た所年かっこうが父親に似ている私にも確かめたのだと分かった。
で、これがたいへん結構な湯。”昭和の銭湯”とはよくぞ名付けたりで、入り口の下駄箱から始まって、脱衣のカゴ、体重計りとヌケタものがない。番台もちゃんとある。
そして嬉しいのが、壁一面のペンキ絵。おっ?と思って右下の文字を見ると「なかじま」とあって、職人の名かと思いつつ、改めて絵を見ると、これが定番の富士山に有らず羊蹄山で、その下に洞爺湖と中島...と来た。
「こりゃいいや」と大満足で朝食に行くと、違うウエイターが又「銭湯どうでしたか」と訊く。「ありゃ満点だ。外国人客も驚くよ、きっと」と返すと、「あれ社長のアイデアなんです」と言う。「へえ、やるねえ」と感歎しきりで食堂を出ると、昨晩挨拶済みの野口社長にバッタリ出会ったので「good idea」と伝えたあと、「あのペンキ絵いいねえ。職人連れて来たの」と言うと、「そうなんです。今2人しかいないんです」とひとしきり話しが弾んだ。と言う訳で、帰宅して棚から出したのが「風呂屋の富士山1 」。19年前のこの本では、ペンキ絵師は6.7人とあるが、今では2人に減ってしまった訳だ。
この風呂屋の風景絵、1912年(大正元年)東京神田の「キカイ湯」が、子供達を喜ばせようとて画家に頼んだのが始りで、人気が出てたちまち関東に広がった由。洞爺湖温泉を寂れさせる訳にはいかぬと、休業中のホテルを買収、再会させた野口社長だが、その「侠気=おとこ気」は、絶滅寸前に等しい「銭湯絵」を生かしたところにも如実に出た。私は銭湯絵の羊蹄山に黙礼して上がって来た。心ある人は行ってみるべし、浴すべし!!
「乃の風リゾート」で風呂、食事、部屋、応接と全てに満足して宿を出たあと、昼食でソバ屋に寄り、見るともなくテレビを見ると、三春のデコ屋敷が写っている。我が家の居間のカベには、このデコ屋敷で買い求めた天狗とカラス天狗の面が掛けてある。三春には10年間隔で3度ほどいったが、村の変わり様は驚くばかりで、以前の記憶の確かめようもない。と思いつつ張子を作るオバアさんを見ていると、対する女の子が「オバアさん、大きな手ですね」と言う。おや!と思いつつ、私と我妻さんは思わず吹き出した。
この女優「ICHI」や「おっぱいバレー」や、タイトルは忘れたが,中井貴一の出る映画で、豊臣秀吉の残党が大阪でどうのこうの...思い出した「プリンセス・トヨトミ」だ....と言うのに出た,ナントカ「はるか」だが、何ゆえ吹き出したかというと、毎日新聞だったか、「あなたへ」の撮影日録?が出ていて、この「はるか」が初対面の高倉健に「大きな耳ですね」と言って,苦笑したケンさんが「そうなんだよ。だから人より風が当たるので,冷たいんだよ」てな答えをした云々の話しを思い出したからだ。この女優若いながらに「話し」のとっかかりに先ず相手の身体的特徴を言うんだろうが、ナニヤラおかしかった。そのあと高倉健の耳がそんなに大きかったかなと,確かめる為に、ケンさん自身が好きだという「夜叉」と「ぽっぽや」を借りて来て観たが、さほど大きくは見えなんだ。だけど、もしケンさんが、「そうなんだ、余り大きいからダンボみたいに空を飛べるんだ」とでもいったら、天然ボケと評される「はるか」はどんな顔をしたろうかと,又おかしくなって来たが、そのうち「耳」で飛んだ女の話しを思い出した。
三国時代、呉の朱恒将軍の家にいた女中は、毎晩寝たあと、首が抜けて耳を翼にして飛び上がり,天窓から出入りして明け方になると戻ってくる。気付いた周りの者が夜中に見ると,胴体だけがあるので、それに布団をかぶせると,帰って来た首が,苦しげに床に落ちて死にそうな顔になったので,布団をはねのけると,首は元通りに付何事もなげに寝息をたてているーという話。千宝(かんぽう)の「捜神記2 」にある話だ。これ、中国の怪異譚を集めた最初の書物。著者の千宝自身も、不思議体験者で、ナニシロ父の死後,一緒に埋められた父の妾が,墓中で10年余も生きていたのを発見したと言うから凄い。「はるか」に読ませたらどんな顔をするだろう。
妾と言えば,妾と情婦がどう違うか分からんが、イタリアのベルルスコーニ前首相が、余りに女遊びが過ぎるとて妻君から三下り
半を突きつけられ、日本円に換算すると1日?、1ヶ月?3,000万円の慰謝料を払う羽目になったとか。そんなことは「ザマーみろ」で済むが、この男で許せないのは、現役の時に、ローマ市内で起きた連続婦女暴行事件に際して、「レイプは避けられない。レイプを防ぐには美しい女性の数と同じ位兵士が必要だ」との発言。
「強姦の歴史3 」
レイプと言えば、聞いた話しだが、瀬戸内寂聴が或る所で「“源氏物語”は詰まるところ,光源氏の強姦の話です」とやったところ、某放送局の人が「強姦はやめてレイプと言って下さい」と注文付けたという話。某放送局ならやるだろうと納得したが、それはともかく、このレイプ,2年前には「犯す時に、これから犯しますよ(と誰が言うか)」発言をした田中聡沖縄防衛局長なる愚者がいたし,アメリカのリチャード・マードック議員は「レイプによる妊娠も神の意志」と言うし、その「レイプで出来た子供でも、おろすことはならん」というローマ法王もいるし...,今度はインドで23歳の女性が,あろう事かバスの中でレイプされ,運転手を含む6人が逮捕された。それらの馬鹿共にこの本を読ませたい。
「ビクトル・ハラ 終りなき歌4 」
2008年9月号(No,92)の本欄で、チリの軍事政権に、ギターを引く手をくだかれたシンガーソングライターのビクトル・ハラのことを書いたが、正月早々ハラの虐殺に関与した元軍人8人が逮捕された。40年振りに真相がわかるかどうか。「独裁の犯罪者は場所と時間を超えて訴追されなければならぬ」とのハラの妻、ジョアン・ターナーらの主張は正しい。