2013.01.10寄稿
○月○日 朴正熙は軍事政権の独裁者として日本では嫌われ者だが、実際は経済を立て直したとて韓国では人気があるのだ、との話しを読んだ事があるが、それかあらぬか先の韓国の大統領選挙では、その娘が当選した。朴で思い出したが、朴が「維新政友会」を立ち上げた時、日本側はこれを明治維新の真似だと冷かした。ところが朝鮮古代史の豊田有宣によると、朴が典拠としたものは昔も昔の「三国遺事(さんごくいじ)」の中の「家邦を維新し」なる言葉で、つまり日本側が無知をさらけ出した事になるそうな。石原と、橋本が拠って立つ組織の名が朝鮮出来だと知ったら、中国、韓国嫌いの両名、どんな顔をするだろう。
○月○日 選挙と言えば「原発反対」を掲げた山本太郎が立ったのは結構で、落選したのは残念だったが、選挙が終わってみたら、太郎の頭にストレスによる円形ハゲがで来ていたそうな。ガンバッタなあと誉めつつも、何だかおかしくて笑ったが、それを知った日の新聞の川柳欄に「孫帰りハゲが出来てたうちのネコ」があって又笑った。DVDの「マイウエイ」に、この太郎がオダギリジョーと共に、憎々しい下士官役で出ていたが、中々上手だった。
○月○日 アンデルセンの最初の作品が、デンマークの国立公文書館で先年見つかった由。自分の存在価値に自信のないローソクが火打ち石と出会い、芯に火を灯すことで、自分が世にあることの意味に気付く作品。題して「獣脂のローソク」だそうな。
アンデルセンと言えば自伝が有名だが、私はこれが好きでない。何が嫌かと言えば、社会に自分を売り込んで行くときの臆面もない図々しさ。あれはどうにも苦手だ。
○月○日 「文化人類学入門」の著者・祖父江孝男が昨年12月15日86歳で死去した。私は大学一年の頃東大正門前の古本屋・南陽堂書店で、この学者の蔵書印が捺してある本が10数冊あるのに気付き、その半分ほどを買ったことがある。仏文学・渡辺一夫の「ラブレー覚書その他」「空しい祈祷」「白日夢』」などがその中にあった。皆太平洋戦争敗北直後の仙花紙のもので、今では真茶色(まっちゃいろ)になっている。「空しい祈祷」の発行所は「勤労学徒援護会』などと、時代を語るもので、どれも懐かしい。
○月○日 新刊書に必ずついている帯(おび)、通称腰巻は、日本独自のもので外国の本にはついぞ見ぬものだ。これは、読者に向かって、どうぞこの本を読んで下さいとの意を込めて、著者やら編集者らが頭を絞って名文句を述べる場だ。それで昔、吉行淳之介らがやっていた雑誌「面白半分」では、「日本腰巻き文学賞』なるものを、設けていた位だ。
単行本が文庫になった時、帯に「○○年○○賞受賞」などとあると、ようやく廉価版になったか、とつい手も出るし、それは書誌的な資料の意味もある。それなのに、TUTAYAもGEOも平積みにしてあった本を棚に収める時に、店員が態々(わざわざ)それを剥いでいる。文庫と新書が特にやられている。帯についての認識がない故だろうが、是非やめてもらいたい。帯はつけたままにしておいてくれ!!
○月○日 江戸時代、山梨は大月の笹子峠は、甲州街道の難所で知られた処だが、地元の追分では、「笹子追分人形」なる人形浄瑠璃が盛んで、何故そこに、今では無形文化財に指定されている芸能が出来たかと言えば、難所の笹子峠を越えて往来する旅人を慰め、もてなす為だったと言うから、泣ける話しだ。その笹子峠の下の高速道路のトンネルで、天井版崩落事故が起きた。道路公団側が充分に余剰金を保有しているにもかかわらず、点検費をケチった結果が原因のようだ。これを書いている1月10日の記事にはナントナント1,211ヶ所の不具合が見つかったと言う。公団側、下請け側いずれも、車で往来する時代とは言え、旅人をもてなし慰めるなんて気遣いは毛頭なかった訳で、逆の意味で泣けてくる。
○月○日 私はホット・ドックとハンバーガーを一度も食べたことがないが、日本マクドナルドが、注文品を出すのに60秒超えたら、次回無料のハンバーガー券を出すサービスを始めた由。一見客側には良さげに見えるが、これつまりは店員を機械なみに働かしているんじゃないの。ひょっとしてこの無料券、遅れた罰として店員が負担させられているんじゃないの?と勘ぐりたくなる。宅配便の人が小走りで配達しているのも気の毒にと気になるが、今まで以上にマクドナルドに入る気がしないな。
○月○日 12月号でG.ドパルデュ−主演のフランス映画「刑事ベラミー」にちょっと触れたが、このドパルデューが社会党のオランド政権の富裕層増税に反発してロシアに国籍を写した。徴税亡命と言うものらしいが、ドパルデュ−曰く、”増税は成功や創造性、才能に対する処罰”だと。この言い草、早い話しが「貧乏人、もっとガンバッテみたら」に等しく、どうも好感が持てないなあ。プーチンも好遇していると言うが、もう観てやらんぞと言う気になるね。
○月○日 インドで23歳の女子学生が輪姦の末殺されたのを悼んで、ダージリンに600人のギタリストが集まって、ジョン・レノンの「イマジン』を演奏した。レノンと言えば、「さいたま市」のジョン・レノン・ミュ―ジアムが2010年に閉館となっている。オノ・ヨーコから有償で借り受けたレノンのギターなど、130点余も展示していたと言うのになあ。人間は飽きるからなあ。どの人も皆「忘却の徒」だからなあ