2022.9.1寄稿
今回は一寸回りくどい話をすることになるが、まあ最後まで付き合ってくだされ!。私の書棚に優に1,000ページを超える大冊がある。索引だけで60ページだ。
昭和18年に出た金井紫雲(かないしうん)の名著「東洋画題総覧 」(とうようがだいそうらん)全11冊を1冊にまとめた復刻版で平成9年に国書刊行会から出たもの。その大著のP331に「狛犬こまいぬ」なる項目がある。長いけど写す
「狛犬とは支那(中国)で兕(じ)と言う蒼黒(そうこく)色一角の獣のこと。その皮硬ければ鎧に作ったという。倭訓栞(わくんのしおり)には高麗(こま)より渡ったと言い、御即位の時、承明門の左右に銅の犬を置かせらるるものこれであるという。その像の高麗の国より伝わったので、その国の犬と見て狛犬と呼んだものであろう。兕(じ)は祥瑞(しょうずい=めでたい前兆)のものであり、犬は善く衛り魔物を払うと言う所から警衛の具とするのであろう。また、獅子は、天竺(てんじく=インド)において、群獣(ぐんじゅう)を畏怖せしめるけものとする。その伝支那(中国)に入って一対の石像などにして、宮室陵墓(きゅうしつりょうぼ)、仏寺の前などに飾られる。我が国では我が国では、獅子をも、狛犬をも一対にし、獅子と狛犬とを対せしむるは、それに倣(なら)ったのであろう。平安朝以後のことらしい。」後略。
上の記述が昔の文で難しいと言う人のために、旺文社の国語辞典の解説をおまけして出す。「(高麗=こま)から渡来した犬の意。神社の社頭や社殿の前に向かい合わせに置き、魔除けとする一対の獅子に似た獣の像」もう一つおまけ、「漢字海」から「兕(じ)は水牛に似て青色をしている獣だそうな。」ここまでで、「狛犬」の事は分かってもらえたとして、私も狛犬が好きで、少しは読んで来た。それで、今我が家の書棚にある「狛犬」の本の書影を出してみる。以上5冊だが、
「周防狛犬ウオッチング1 」
「日本の美術82 」
狛犬3 」
ここで話を変える。私が毎日読むのは、朝日、毎日、読売、北海道新聞、それから私が「本の話」を33年間連載している地方紙「室蘭民報」、これに共産党の市議が図書館に寄付してくれる「赤旗」が加わる。その「赤旗」の水曜エッセー欄で8月10日から山橋宏和(やまはしひろかず)の「大阪城の狛犬」が始まった。これ単なる「狛犬」の話かと思ったら、全く違って、ー大阪城の西の丸北門にある狛犬は中国は明の時代の文化遺産で、かつて日本軍が中国から略奪し、戦利品として展示され戦意高揚に利用されたものー云々でこの分捕って来た狛犬を中国に返そうとする市民運動について語ろうとするものなのだ。ところで、偶然だが、この連載が始まる頃に、私は、これまた「赤旗」が日曜日にのせる書評欄で教えられて、一冊の冊子を注文した。それが、「中国文化財返還運動を進める会」編による「中国文化財の返還〜私たちの責務ー」だ。A5版わずか54ページ。¥500の小冊子堕が、中味は素晴らしい。その素晴らしさを知ってもらうため目次を出してみる。おやおや、又しても「狛犬」だ。私は一読して、全ページ教えられる事ばかりだった。読んで興奮した位だ。だから私の拙い筆で各論をここに紹介するなんて、不遜な事はできない、興奮した私が先ず、すべき事は早く皆にこの冊子の存在を知らせる事だ。で、第一弾として、この「あんな本。こんな本」をネットに載せてくれている秋田は能代の建築家西方里見とその妻耿子夫妻に一冊進呈する事にして、他の人のためこの冊子の注文先を書いておく。「中国文化財返還運動を進める会」連絡先
東京都港区西新宿1-21-5(一瀬法律事務所)tel 03-3501-5558
mail: info@ichinoselow.com
又は郵便振替:00120−7−636180(口座名称 中国文化財返還運動を進める会)
ついでだから昔読んだ朝鮮についての同じテーマの本も出しておく。「民俗文化財を探し求めて4 」 又私の昔の文章をたしておく。
この「本の話」no186の発表時、室工大建築卒の根元邦篤から「家族で不思議に思っていた岩木山神社の「コマオニ」を知る事が出来ました。ありがとうございました」との礼状が来たことがある。