2022.12.23寄稿
フランスのマクロンは、別にプーチンに向けて言った訳ではなかろうが、「核は使わない」などと要らぬ発言をするetcで優れた政治家とは思えない状況が続いているが、
最近一ついい事をした。12月8日に発表されたもので、来年1月1日から、18歳〜25歳の若者は薬局でコンドームが無料で入手出来るようになったのだ。「condom」はフランス語で、これを発明したのはフランス人だとの説もあるので。今回はこれを話題にしようと思ったが、それは私が「室蘭民報」紙に33年間連載している「本の話」の方に書く事にして、別の話にするが、その前にフランス語の「con=コン」に触れておく。これは「女陰」の事なので、確か作家の今日出海が渡仏した時は姓を「今=いま」にしたと聞いた。昔、室工大在職の頃学生にその話をしたら「何故?」と言う。「何故って、例えば空港での呼び出しで、”ムッシューコン”=”オ◯◯コ様、お呼び出し申しあげます”とやったら皆驚いて総立ちになるだろうが」と言うと理屈ぽい奴で、「話はわかったが、総立ちはしないでしょう」と言う「どうして」と聞いたら「オ◯◯コ」と聞いて立つのは男だけだと。序でに思い出した。昔ダークダックスがソ連に行って、日本の民謡を歌ってからはやし言葉の「ホイホイ」を付け足したら、満場ざわめいた。何故ならロシア語で「ホイホイ」は性器のスラングなんだと。
話を戻す。マクロンの発表を聞いて私は書庫に入って性関係の書棚からタテ9cmヨコ6cmの豆本の「突撃一番」を出したこれはコンドームの文献だから「本の話」に使う。その横に高月靖著「南極一号伝説、ダッチワイフからラブドールまでー特殊用途愛玩人形の戦後史1」があったので今回はこれに触れよう。但し、この本は2008年の発行で古いから実用(と言うのも変だが)にはならぬかもしれぬ。
今時のものは想像を絶する位すごいらしいからーとかいたが、このテーマは解説不要だから書影だけ出しておく。代わりにと言っちゃなんだが、いい機会だから同じ棚にあった本を出しておく。埼玉県皮膚科医会会長、同県皮膚科治療学会会長を務めた竹村司医師の「いんきんの話2 」なる軽妙洒脱な本で、読めば分かる。
むろん「インキンタムシの事も書いてある。むずかしい話はしない。こう言う本もあるよと言う事を知って欲しくて出す。中に狸のキンタマの事がでていて「陰嚢がカブレルと大きく腫れ、想像以上の大きさになる」とある。私は昔これになった、と言ってもインキンではなくてーある年の年末、正月にかけて、豪雪で今もしょちゅう話題になる青森の酸ヶ湯温泉に腰痛を治すために湯治に行った。我妻さんと、義母と私。酸ヶ湯は混浴だが湯の温度が高いのと空気が冷たいので、浴場は湯気、また湯気で何も見えない。ひたすら湯に浸かり、湯の滝を浴びて。あとは部屋で寝るだけー。それで腰の方は軽くなったが、どうも「ふぐり=陰嚢」がどうした訳か、ふくれて来て、おまけにじくじくと痛み出し何やら滲み出す。それで、10日で我慢できなくなり、急いで帰蘭して、姉の俳句仲間で、私が添削してやっていた皮膚科の曽根先生に掛かった。見た途端先生は「敏明君、これは急性なんとかだよ」と専門用語を使った、で何の事と聞くと、「早い話が”やけど”だよ袋だけでよかった、竿にいったら大変だった」と言う。そう言われた私の両のふぐりは特大の夏みかんのように腫れて、千葉さんという今はあの世に行った女性が優しく優しく薬を塗って布で包んでくれた。薬を塗るときには赤ん坊のオムツ替えのように両脚を持ち上げられてーとなる。
我妻さんがこんな事はしたくないと言うので私は暫し千葉さんのお世話になった。懐かしい。結論酸ヶ湯の熱泉でやけどした私のふぐりは、敏感かつ繊細だったのだ。この狸のキンタマ事件いついてはあと二つ話がある。
その①は、酸ヶ湯から青森まで戻って連絡船にはまだ間があるので寿司を食べる事にして駅前の寿司屋に入った。入る前に近くに住んでいる当時室工大の電子科4年の野沢君にTELをしたらすぐにやって来た。寿司屋でカウンターに座って出されたお茶の茶碗を見ると寿司のネタの魚名がびっしり書いてあり、更にカウンターの上の壁にも漢字が並んでいる。それを見ていると、寿司屋が全部読めたら4人分ロハでいいと言う。それで私は寿司を食べながらゆっくりと読んでいった。当時の野沢君は仲間の中でも大食くらいで有名だったから、パクついている。茶碗の字を一通り終えてカウンターの上の壁の字に移り、それを読んでいるうちに寿司屋の親父の顔が目に見えて青ざめて行って、読み終わったら、つまり全部正解したら親父の顔がけわしくなった。それを見て義母が「旦那さん、心配しなくていいわよ、払うから」となって親父の顔もゆるんだが、まあ面白い出来事だった。その後野沢君は私達の仲人で結婚し、一男児をもうけたが、細君は先年、胃がんで早死にし、野沢君本人も胃がんいやられて今は小食だ。人生は、はかなき事、かくの如し。
もう一つは、2年先輩の岩淵さんが遊びに来て、狸のキンタマ状態の私の股間を見て、「敏明君どうした?」と言うのでカクカクシカジカと説明し薬をぬって布でくるんでいると言うと、後日「会社にワンサとあるわ」とウエスを大量に持ってきてくれたのには、嬉しいような困ったようなだった。因みにウエスは「waste」で工場の器具手入れ用のボロ布のことだ。その岩淵さんも今はあの世だ。
話を変える。今迄呑気なことを書いて来たが、次の話は重苦しい話で新年は余りふさわしいと思えぬがいつかは書かなければならぬから、仕方がない。
大学同期でイラストレーターの渡辺純子さんから手紙が来た。京都に用事があって行って来たそうで、その途中に京都で買った新聞ですーと12月23日あたりの毎日新聞のオピニオン欄の切り抜きが入っていた。そのテーマは「死刑制度」だ。
先日、最たるバカタレの法相が「死刑ははんこ押すだけ」の発言をして、「法相の適格性ナシ」と難じられたのを初めとして新聞の川柳欄にも「ハンコさえ捺せたら法相になれる」とか「死刑のハンコ軽いと思う人辞任」とかの句が相次いでいる。純子さんが送ってくれた切り抜きの筆者は「ナチスのキッチン」などの筆者で私も信頼している京大の藤原辰史。藤原は死刑反対の立場で④つの理由をあげる。
その①は「政府によって死刑が恣意的に用いられて来た」として、その例として「大逆事件」を出す。
その②は「死ぬまで受刑者に徹底的に恐ろしい罪と向き合わせ続けるということを死刑は断念させてしまう。
その③は「死刑制度」は社会秩序を保つための抑止効果だと主張されるが果たしてそうか。
その④は「死刑そのものに関心が薄いのに死刑制度をやめないという死に対する集団的浅薄さ」以上藤原見事な論理の展開に私は納得するし、私も死刑反対だ。但しあの人は納得しないだろうなと思う人がいる。石井光太が「43回の殺意3 」で描いた、中学1年で殺された遼太の父親だ。遼太を殺した3人の少年の中、星哉と言う人物は知れば知る程恐ろしい。世に殺人鬼は数々居れど、この男の気味悪さは!!と言う位のものだ。父親は言う「殺人は被害者から生きる権利を奪い撮る行為です。そんな罪を犯した人間がなんで生きる権利を守られなければならないのでしょう」藤原考え方は届くだろうか。この星哉は少年法に守られて、30歳前で娑婆に出てくる。思っただけでも恐ろしい。
政治コラムニストで元朝日の政治部長だった早野透が死んで、11月13日葬儀と新聞に出た架蔵の本を出しておく。関心のある人どうぞ。
「国権と民権4 」